【球種シリーズ】2シーム・シンカー~中途半端な縦変化量を避け、4シームやスプリット、チェンジアップと偽装する、バックドア・フロントドアとフレーミングの合せ技~
2シーム(シンカー)の復権の予感
私は『ピッチングデザイン』の2シームの所(p.116)で以下のようにコメントしていました。
ザック・グリンキーも2シームを減らして4シームの割合を増やし、2015年以降は成績を伸ばしている。まっすぐに浮き上がるような4シームを投げ続けてきたカーショウが活躍してきたことも繰り返し触れている。
しかし、メジャーでは2シーム(シンカーに分類される)の指標がわずかにプラスへ転じていることも見逃せない。浮き上がるような4シームは効果的なものの、打者もそれにしっかりと対応してきているので質の高くない4シームは打たれている。投手がスライダー、カッター、カーブなど逃げていく球種を増やしていく中で、逆方向にシュート回転で曲がる2シームがわずかながら復権しているのは興味深い。
結局、デグロムやスラット・スプリット型投球で紹介したように、ピッチトンネルを通過してから鋭く曲がり落ちるような両方向のボールを持ち、緩急をつけるカーブやスラーブをたまに織り交ぜるのが王道の投球である。
浮き上がるような4シームや対になるカット、スラットを意識させておいて、鋭く沈んだり、食いこんだりするジャイロシンカー、スプリット、高速チェンジアップを投げることができれば、非常に効果的であるのは間違いないだろう。やはり引き出しを多く持ち、常に時代の先を行く思考を持ち続ける投手こそ最強なのだ。(『ピッチングデザインp.116~)
MLBでは2シーム(シンカー)の指標がやや回復傾向にあることに着目していましたが、今季予想以上のペースで2シームの指標がプラスに転じています。その活用法を例を紹介します。
◆アングルが低くても諦めることはない。
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