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子供だけ見える! 怪談「逢魔が時物語」5.30号『子供幻視』

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            ━━ 2024 ━━
        ★ 怪談 逢魔が時物語 ★

            5.30 #14

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        ★ 逢魔が時物語へ、ようこそ ★

 ここは、あの世とこの世の間にあるユラユラとした境界です。
 今宵も、ゾッとする怖い話、不思議な話をお届けしましょう。

 では、5.30号は『子供幻視』という怪談です。

               逢魔プロジェクト主宰・雲谷斎

ーー 目 次 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ■oma-kwaidan『赤子震撼』
     ・逢魔怪談「トロトロ運転」
     ・逢魔怪談「茶色いおじさん」

 ■Information
     イベント 出版物 逢魔が時チャンネル 売店

 ■oma-column
     ・あのイベントこの放送

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  ■cafe逢魔「五月の病放送」5月28日(火)アーカイブ
  落語家のアレやコレ。お客:笑福亭純瓶さん(落語家) 
 https://www.youtube.com/watch?v=GEWFwcpGKfU
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            逢魔怪談
   ~~~~~ 「トロトロ運転」 ~~~~~

 その昔、福島県にワゴン車で家族旅行したときのこと。

 帰りの高速は渋滞でトロトロ運転だった。
 みんなぼんやりと車が連なる前方を眺めていた。
 すると、後部シートの長女が前を指さしヘンなことを言う。

「ねぇ、お母さん、あの白い服の女の人、なんで高速道路
 なのに歩いてるの?」

 ちょっと驚いて前を見たが、私には何も見えない。
 娘たちに言わせると、車はどうやらその女を追い越したようだ。

「あの人、何だか変だったよ。何であんなに目が大きいの?
 出目金魚みたいに目が大きかったよ」

 なんだか異様なことを言う。
 振り向いてみたが、やっぱり私には見えない。

「誰もいないよ~」

 そう答えると、娘が二人が口を揃えて怖がっている。

「お母さ~ん……あの人、さっきは遠くにいたのに、
 何で急にうちの車のそばにいるの?」

 一瞬のうちに、車の真後ろに立っていたという。

 次の瞬間、娘たちはパニックに襲われた。
 絶叫を上げながら、ワゴン車の運転席と助手席の間に
 二人がなだれ込んで来る。

 二人とも半べそだった。顔色も真っ青である。
 理由を訊いて、私もちょっと驚いた。

 娘たちが振り返ったとき、その女は車の後ろ窓に
 ベッタリと張り付いて中を覗き込んでいたというのだ。

 私や夫にはまったく見えなかった。
 トロトロ運転でも走っている車に、瞬間移動できるわけがない。

 娘たちだけに見えた女は、何だったのだろう……。

             ・投稿:saeさん(女性・東京都)

 《雲谷斎のイッチョ噛み》

 「高速道路をウロチョロする出目金みたいな目の女。
  高速料金を請求されたら、コワいから払ってしまうわ」

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            逢魔怪談
   ~~~~~ 「茶色いおじさん」 ~~~~~

 ある日、いとこの家に遊びに行った。

 そこには一年生の男の子と二歳の女の子がいる。
 食事も終わって、くつろいでいたとき。
 男の子がキャッチボールをしたいと言い出す。

 近くの公園で楽しく遊んだその帰り。
 男の子は立ち止まって電柱を指差し、「あっ!」と叫んだ。

「え、何かいるの?」
「うん、いるよ!」

 そう言って、きゃっきゃと嬉しそうに騒いでいる。
 しかし、私には何がいるのか、よく見えない。
 その場は、適当に話に合わせるしかなかった。

 すると二本目の電柱を指差して、また「あっ」と声を上げる。
 私はもう一度、「ねぇ、何かいるの?」と訊いた。
 男の子はそれに答えず、また騒ぎ始めて、興奮している。

「さっきのヤツと同じだぁ!」

 見えない私は、また適当に話を合わせるしかなかった。
 いったいこの子は何を見て騒いでいるのかと思った。

 しばらく行くと三本目の電柱。
 すると、また男の子はその辺りを指差して騒がしい声を上げる。

「ねぇ、それってさっきと同じヤツなの?」

 私はどうせ答えないだろうなと思いながら訊いてみた。
 すると、男の子は嬉しそうに言った。

「またまた、茶色いおじさんだぁー!」

 不可解な答えに、えっ? と思った。
 茶色いおじさん……? 何、それ。

 私は訳もなく気味が悪くなり、少し恐怖さえ感じた。
「そんなこと、言わないの!」
 大人げなく、男の子を叱ってしまった。

 それでも男の子には家に帰るまで、ずっとそのおじさんが
 見えているらしく、笑い声を上げながら騒いでいた。

 家に戻って、男の子のママである友人に一部始終を話した。
 しかし、友人は「あはははは、茶色いおじさんって何よ」と、
 まったく信じてくれなかった。

             ●

 そんなことがあって、二ヶ月後。
 その友人から電話がかかってきた。
 
 いつもの明るい友人の口調ではなく、やけに暗い。
 なんでもそれから家の中で、男の子があらぬところを指さし、
 茶色いおじさんがいる、と時折り笑っているらしい。

 つまり、電柱の影にいた『茶色いおじさん』が家にいる。
 どうやら、憑いてきたのかもと怖れているのだ。

 そして、男の子の誕生日。
 ケーキのローソクを男の子が吹き消す写真を見せてくれた。

「きれいに写っているねぇ」

 私は楽しそうな写真を見て、素直に返した。
 すると、友人は顔色を変える。

「そうなのよ、わかった? ホントにきれいに写っちゃったのよ」

 なぜか、妙な物言いをする。
 私は何かヘンだなと思い、よく見直してみた。

 すると、いた。
 男の子の後ろで、いっしょに笑っている茶色いおじさんが……。

           ・投稿:伽羅さん(女性・和歌山県)

 《雲谷斎のイッチョ噛み》 

 「茶色いおじさんって、いったい何ですやろね。
  色彩感覚からいうと、なかなかシブ好みのユ~レイと見た」

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 【読者便りー5.10号】

「泣き声」
 諸々の背景から切り離された、単体としての赤ん坊ってのは、
 案外恐ろしいものなのかもしれません。

「先輩は見た」
 『進撃の巨人』みたいに、顔面削れちゃってたんと
 ちゃいますかねえ。。。

 離島怪談されるんですねえ。
 島はそれぞれ異なる文化や習俗があるでしょうから、
 都会とは違った色の闇が広がっているのかもしれませんね。

                <maoさん(女性・東京都)

 【読者便りー5.20号】

「あーちゃん」
 ご家族に最期の挨拶をされたのでしょうね。
 いつか再び会う日を夢見て。

「歌声」
 OBAKEさんのお母様、メルモちゃんの不思議なキャンディ
 持ってるのとちゃいます?

 cafe逢魔「五月の病放送」お疲れ様でした。
 笑福亭純瓶さん、不覚にも存じ上げませんでした。
 「怪談師はなんで仲が悪いんだろう問題」と落語家の
 結束の固さについての考察も面白かったです。

 (落語の世界だと、円楽一門会や立川流、落語協会、落語
 芸術協会といった所属団体の違いで、色々あるのかもしれ
 ませんが・・・)

 東山トンネルの探検映像も楽しかったです。
 それにしても雲さんの『たまご』は落語にしても
 オモロイでっせ!

                <maoさん(女性・東京都)

「離島怪談は離島が好きな人が多く、いい雰囲気でしたよ。
 純瓶さんのような落語家は、トーク力ありますよね」雲

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 ■イベント

 ・『肥後橋 おも怖怪談ナイト』
   6月22日(土)18:30開場19:00開演 大阪 アワーズルーム
   渋谷泰志(盗聴バスター)×藤井正之・佳代(心霊サイト管理人)
   ゲスト・雲谷斎
 【詳細】http://hourz.co.jp/

 ・怪談ライブ『関西怪談オールスター2024 in 遍満寺』
  7月6日(土) 17時開場17時30分開演
  遍満寺(阪神電鉄姫島駅から徒歩約4分)
 【詳細】http://kwaiutsuro.org/archives/1173
 【予約】https://peatix.com/event/3962891/view

 ■逢魔が時チャンネル(YouTube)

 ・cafe逢魔「五月の病放送」5月28日(火)アーカイブ
  落語家のアレやコレ。お客:笑福亭純瓶さん(落語家) 
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 ・cafe逢魔 全アーカイブ
 https://note.com/omaproject/m/mf22ad92a3c84
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 ■出版物

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 ・「泣ける怪談」本
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  昨日、『離島を怖がる夜 離島×怪談 大阪の段 二の怪』。
  ほぼ満席で楽しくやらせてもらいました。離島というテーマ
  のあの話この話。面白かったです。先月末にyoutubeで放送
  した『cafe逢魔』五月の病放送のアーカイブも上げてます。
  ふらっと立ち寄ったのは、落語家・笑福亭純瓶さんでおま。

 ■cafe逢魔「五月の病放送」アーカイブ
 https://www.youtube.com/watch?v=GEWFwcpGKfU

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