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そのトイレには入るな! 怪談★逢魔が時物語#11「トイレに何かが」

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           ━━ 2023 ━━
        ★ 怪談 逢魔が時物語 ★

            4.30号 #11

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       ★ 逢魔が時物語へ、ようこそ ★

 ここは、あの世とこの世の間にあるユラユラとした境界です。
 今宵も、ゾッとする怖い話、不思議な話をお届けしましょう。

 さて、今号は『トイレに何かが』という話です。

               逢魔プロジェクト主宰・雲谷斎

ーー 目 次 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ■oma-kwaidan『トイレに何かが』
     ・逢魔怪談「トイレの戸」
     ・逢魔怪談「待っていたよ」

 ■Information
     イベント 出版物 逢魔が時チャンネル 売店

 ■oma-column
     ・社会派になったcafe逢魔?

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 ■cafe逢魔「黄砂迷惑放送」4月25日放送済アーカイブ
  https://www.youtube.com/watch?v=_eq7fzHk0mo
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            逢魔怪談
    ~~~~~ 「トイレの戸」 ~~~~~

 ずいぶん昔に住んでいた古い実家でのこと。

 冬のある日、私は一人で留守番をしていた。
 家族は誰もいないので、当然家は静まり返っている。

 昼間はいいが、日没になると辺りには闇が侵食してくる。
 怖がりの子供だった私は、幽霊が出るかも……と怖れた。

 そう思うと、無人の家が余計に怖くなる。
 ずっと我慢していたが、いよいよトイレに行きたくなる。

 家中の電気を点け、それでもこわごわトイレに入った。
 急いで用を済ませ、トイレから出ようとした。

 すると、トイレの戸が開かない。
 戸は中から鍵は掛かるが、外からは鍵が掛けられない

 押しても引いても、戸はギシギシいうだけで開かないのだ。
 一気に恐怖が押し寄せ、「どうしよう!」と思った瞬間、
 私の真後ろに『何か』の気配を感じた。

 えっ! という感じで体が固まってしまう。
 恐る恐るゆっくりと後ろを振り返ってみた。
 すると、奥の和式トイレの暗い個室に、それが居た。

 老婆である。
 白髪を振り乱した老婆が、生気のない目で睨んでいた。

 あまりもの怖さで叫ぶことも忘れていた。
 必死で、トイレの戸をガタガタと全力でこじ開けようとした。

 ガタガタガタガタ…………カチャ……
 奇跡的に戸が開いた。

 私はまっしぐらに、部屋のこたつに頭から潜り込む。
 こたつの赤いヒーターと温もりが守ってくれているようだった。

 スタ……スタ……スタ…………。
 老婆らしき足音が近づいてきたように思った。

 しかし、こたつ布団をめくられることもなく、
 いつしか老婆の気配は消えていた。

 あの老婆は何だったのかは今もってわからない。
 未だに実家のどこかに居るのかも知れない。

 怖がりの子供だった私の妄想であればいいのだが……。

            ・投稿:いちごさん(女性・新潟県)

 《雲谷斎のイッチョ噛み》
 個室にこもってた祖母のバァバが出てきたんとちゃいます?
 見知らんお婆やったら、不法侵入ユ~レイやけど。

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            逢魔怪談
    ~~~~~ 「待っていたよ」 ~~~~~

 大学生のTさんは就職のため東京に出てきた。

 住むところは、かなり古い賃貸アパートを見つけた。
 台所、トイレ付きで、襖を外せばけっこう広く使える。

 日当たりも換気も悪いが、寝るだけだからいいかと思った。
 ただ、一週間ほど住むと、ちょっとした異変が起きる。

 深夜、ふっと目が覚めることが増えた。

 気づくと、なぜか布団の上に立っている。
 そして、猛烈に尿意を覚えるのだ。

 慌ててトイレに行くと、いつも勝手に電気が点いている。
 それも毎日のように続くと、さすがにおかしい。

 次の日、目が覚めると今度はなんとトイレの前に立っていた。
 廊下もトイレも、点けた覚えのない電気が点いている。

 何かに引かれるかのようにトイレに入った。
 用を済ませ、電気を消しトイレのドアを閉めたそのとき。

 ゴトン……何かがトイレの床に落ちたような鈍い音がした。

 何だと思い、トイレのドアをそっと開けてみる。
 真っ暗のトイレの中に、有り得ないモノがあった。

 首である。
 子供の首がゴロンと転がっている。

 首の先は天井へと長く伸びていて闇に溶け込んでいた。
 その子供の首が、彼を見てニッと笑ったという。

 『今日も電気を点けて待っていたんだよ……』
 訳のわからないことを言う。

 「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 彼は部屋から一目散に逃げだした。

 雨が降っていたことだけは覚えているが、気がつくと病院。
 高熱で倒れていて、救急車で運ばれたらしい。

 退院するとき、60キロあった体重は10キロも落ちていた。
 あのアパートのあの部屋に、何が巣食っていたのかは不明だ。

 10歳ぐらいの子供の首のことだけは鮮烈に覚えている。

                 ・投稿 暁政さん(男性)

 《雲谷斎のイッチョ噛み》
 元病院をホテルに改装するやなんて、まぁSDGSやけど。
 病室がそのまま客室やと思うとイメージ膨らみすぎるわ。

 もっと怖い、もっと不思議な話、ありますよ。
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【読者便りー4.20号】

 cafe逢魔『黄砂迷惑放送』面白かったです。
 今回のお客さま、障がい福祉アドバイザー、カキビト・ジュン
 さんのお話は興味深かったです。
 いやあ、しかし……特に日本という空気を読まないと
 生きていけない国の中で、非常に立ち位置を見つけることが
 困難な方もいらっしゃるんですよね……。

 「予備の部屋」

 怪談ではおなじみの足音だけの幽霊。
 幽霊の方が、生きてる人間より健康的な生活
 送ってるんちゃう?

 「お持ち帰り」

 そもそも建物として性質の違い過ぎる、病院から
 ホテルへの改装。色々歪みが出来ていると思いますよ。

               <maoさん 女性・東京都>

 「インバウンドの中でも、マニアックな人は
  心霊スポットになったホテルに泊まりなさい」雲

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  雲谷斎が書いた本、作ったDVDなど売ってます
 ・「怖すぎる実話怪談」シリーズ10冊(文庫ぎんが堂)
 ・「逢魔怪奇探偵団」再出発の章 電子本(DL、PDF)
 ・「泣ける怪談」本
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 cafe逢魔、4月25日放送済みの『黄砂迷惑放送』。お客さん
 は障がい者施設で働く人でした。選び方ユニークでしょ?
 身体・知的障がい者施設でのあれこれ、タブー視せんと聞き
 たいことを聞き、言いたいことを言うてます。もちろん怪談
 もありますよ。この放送も社会派Eテレぽくなったかのぉ。

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