分身が独り歩きしている! 怪談★逢魔が時物語#12「もう一人の自分」
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━━ 2023 ━━
★ 怪談 逢魔が時物語 ★
5.10号 #12
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★ 逢魔が時物語へ、ようこそ ★
ここは、あの世とこの世の間にあるユラユラとした境界です。
今宵も、ゾッとする怖い話、不思議な話をお届けしましょう。
さて、今号は『もう一人の自分』という話です。
逢魔プロジェクト主宰・雲谷斎
ーー 目 次 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■oma-kwaidan『もう一人の自分』
・逢魔怪談「身勝手な分身」
・逢魔怪談「ギャンブル好き」
■Information
イベント 出版物 逢魔が時チャンネル 売店
■oma-column
・5類相当になったけど
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■cafe逢魔「柏餅旨い放送」5月22日(月)21~23時放送
https://www.youtube.com/watch?v=RxK6kl6tLd4
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逢魔怪談
~~~~~ 「身勝手な分身」 ~~~~~
小学六年から中学一年にかけて一年半くらいの間、
じつに不思議なことが続いた。
始まりは、東京杉並区の自宅でのこと。
ある日、私が一階にいると、二階から降りて来た弟が
変な顔をして奇妙なことを訊く。
「あれ? 今、二階にいなかった?」
「ずっと、ここにいたよ」
普通なら「あ、そう」で済むはずだが、弟は納得がいかない
様子。やたら真偽を確かめようとする。
弟の目撃した話によると、私が着ていた服も同じ。
習字のときに飛んだ墨のシミまで、同じだったというのだ。
弟が話しかけても、私はボ~っとしているたけだったと。
さて、不思議の二つ目はほどなくして発現する。
うちのクラスと他校との間で、ボールゲームの試合が組まれた。
当然、選手として参加を希望したが、チームに入れなかった。
定員オーバーになのか、技量不足なのかは不明だった。
がっかりして肩を落として家に帰った。
次の日、落ち込んでいる私に三人の女子が食ってかかってきた。
まったく身に覚えのないことを激しくののしる。
「あんた、なんで、勝手に試合断りにいったのよ!」と。
まさに、「はぁ?」である。
なんでも相手チームのキャプテンの家に、
うちのチームは急な都合で、試合ができなくなったと、
断りに来た子の風体が私にそっくりだったらしい。
これは相手校から転校してきた子が持ち込んだ試合の話だった。
だから、私は相手キャプテンの家など知るはずもない。
その主張が功を奏し、私への疑いは晴れた。
ではいったい誰が? という答えは導かれなかったのだが……。
ただ、冤罪に怒りながらもある種の疑いを持っていた。
私は『自分』の仕業かも知れないと、どこかで思っていた。
そして、この不思議は三回目も用意されていた。
私は友達と映画に行く約束をしていた。
ところが、その友達の家にやはり私じゃない『私』が
断りを入れに行ったようなのだ。
結局、友達は一人で見にいったそうだが、
私の『分身』が二度ならず三度も出現したことにゾッとした。
幸運なことに、それ以降は現れることはなかった。
なぜ、そんな身勝手な分身が現れたのかはさっぱりわからない。
・投稿:山江まろんさん(女性・東京都)
《雲谷斎のイッチョ噛み》
「もう一人の『自分』がおったんですかねぇ……。
いやいや、『自分』が三人やったりしてねw」
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逢魔怪談
~~~~~ 「ギャンブル好き」 ~~~~~
ある年、札幌のパチンコ屋を中心に奇妙な目撃例が頻発した。
その店で私ではない『私』が何人にも目撃されたのだ。
目撃されたパチンコ屋には、私は一切行ったことがない。
否定すると、別人にしても双子ほど似ているという。
髪型や服装までそっくりらしい。
しかし、不思議なことにみんなが話しかけようとすると、
察知するかのように、スゥーッとどこかに行ってしまうとか。
それにしても、あまりにも見たという者が多い。
どうしても、その人物を見てみたいという気持ちが強くなった。
数々の目撃情報の中でいちばん出現率の高いところが、
某デパート内に入っているパチンコ屋ということだった。
私はパチンコをやらないが、捜索に行ってみることにした。
仕事が休みの日、よくそこで目撃するという友人と行く。
土曜のパチンコ屋は、ほぼ空き席がない。
店内をいつまでもブラブラ捜し歩くのも怪しいので、
とりあえず空いてる台を見つけ座ることにした。
隣同士で空いている席はなかったので、友人とは離れた。
辺りをキョロキョロしながらパチンコを打っていると、
友人が慌てた様子で駆け寄って来る。
「おい、いたぞ! 俺の打ってる列に『お前』がいる!」
私はすぐに友人とその場所に走った。
しかし、座っていたというその席は空席となっていた。
仕方なく、諦めきれない私たちはまた元の席に戻った。
私は敢えて『私』が座っていたという席に陣取った。
しばらくすると、同列の友人が席を立ってどこかに。
数分後、友人がさっきより慌てた様子で私のところへ来る。
「いたいた! トイレに行ったら、いるんだよ! お前が!」
その表情からも冗談を言っている感じはない。
すぐにトイレに走った。
しかし、またそこに『私』の姿はなかった。
確実に店内にいるはずだと隈なく探したが、消え失せていた。
驚愕すべきことは、すぐその後に起きていた。
私は当時、某飲食店で働いていた。
私たちが諦めてパチンコ屋を出た後、事件は起きていた。
『私』がその店に食事に来ていたというのだ。
それは後日、店の同僚たちの証言で発覚した。
つまり、とうとう私の職場にも挑戦的に現れたのだ。
休み明けに出勤した日、同僚達は好奇心もあらわに訊いてくる。
「昨日の女性って、彼女ですか?」
話を聞くと、『私』が女性を連れて来たというのだ。
楽しそうに話していたので、声をかけられなかったという。
もちろん、自分の働く店に女性連れで行ったりはしない。
しかし、同僚達は口を揃えてあれは『私』だったと言う。
それから少し経ち、あのパチンコ屋がつぶれた。
不思議なことに、それと同時にパッタリと
『私』の目撃例が無くなった。
今となっては、私は『私』に逢わなくて良かったと心底思う。
・投稿:F・Mさん(男性・北海道)
《雲谷斎のイッチョ噛み》
「もう一人の『私』ちゅうのはギャンブル好きで、
えらいモテるやつということですがな」
もっと怖い、もっと不思議な話、ありますよ。
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ついにコロナが5類相当に格下げになりよりましたね。
ゴールデンウィークはどこも鰯の大群みたいな人出やった。
一気に無罪放免となっとるけど、知らんで。大丈夫かい。
逢魔のイベントも、様子を見ながら再開を考えんでもない。
そやけど3年以上やってないから、来てくれる人おらんかも。
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