ヌラヌラと人ほどデカい。怪談・逢魔が時物語「黒いカエル」
あの信じられないものを見たのは、
まだ小学二年生ぐらいの頃。
目撃した場所は、京都府の京田辺市にある川の近く。
いつも通っている道で、そのときは一人で下校中
だった。
歩いていると、ふと何か異様な気配を感じた。
えっ? と思って反射的に気配のした川の堤防の
方に目をやる。
やや遠くにいたそれは、今まで見たことも聞いた
こともないもの。
全身が真っ黒。
ヌラヌラしていて、人ほどもある何か……。
そいつが四つん這いのままじっとしている。
いちばん近いイメージはカエルだが、断じてカエル
ではない。
しばらく、黒く巨大なものは微動だにしなかった。
すると突然、スクッと後ろ足で立ち上がる。
そのまま、なんと側転のポーズをとったのだ。
(あれ何? カエル? あんなこと出来るんだ……)
小二の知識ではもう訳がわからなかった。
茫然と突っ立ったままそれを眺めていた。
すると、それは動いた。
堤防の上から川に向かって見事な側転を決めながら、
ゴロゴロと斜面を回転していった。
あっという間に川に飛び込み、ザブンと盛大な
飛沫が上がった。
水面の波紋が消えて、それの姿は二度と見えなく
なってしまった。
※怪談・逢魔が時物語select
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投稿 日高英生さん(女性・京都府)