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異様な姿の人間。怪談・逢魔が時物語「宇宙人」

私の先輩が40年ほど前、青森県H市で
見てしまったという。

先輩が少年の頃、一人で好きな映画を見に行った。
夕方、映画の余韻を感じつつ、歩いて家路を
急いでいた。

ある民家の前を通ろうと歩いていくと、驚いた。
見知らぬ、異様な姿の『人間』を見たのだ。

身長は軽く2メートルを越えている。
ひょろりとして手足の細いそいつは、
その家の小屋の辺りをふわふわと徘徊していた。

異様なほど背の高い割には、頭部が小さ過ぎる。
ギュッと縮んだように小さくて、風船のように
まん丸い。


いちばん近いイメージは、宇宙人だった。


先輩は怖ろしくなり、別な道を通って家に
ダッシュで帰った。
そのことを息せき切って母親に伝えた。

すると、とんでもないことが判明した。
先輩の母親も家の近くで『それ』を目撃した
というのだ。

家の台所の前は雑木林で、その先は海の断崖に続く。
つまり、どこにも道は無く、どこからも人は入れない。

それなのに『それ』は背丈ほどもある雑草を掻き分け、
こちらへ降りて来ていたのだ。

遠過ぎて『それ』の具体的な姿ははっきり
しなかったらしい。

母親は不審に思ったものの、いつしか雑草の中に
消えていた。

先輩と母親が見たものが何だったのかは
わからないままだ。



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         ・投稿 aquaさん(男性・東京都)

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