まるで、ビニール袋だった。怪談・逢魔が時物語「透明クラゲ」
ある日のこと。
何の前触れもなく、唐突に奇妙なものに遭遇した。
私はいつものように、バイパスの側道をバイクで
走っていた。
陽は少し西に傾いていた時刻だが、薄暗いという
ほどでもない。
スピードも出さず、のんびりと走っていた。
すると突然、透明のビニールのようなものが
目の前を横切った。
余りにもすぐ目の前だったので、さすがに驚いた。
一瞬、バイクの運転を誤まりそうになったが、
なんとか立て直す。
風に乗って飛んできたビニール袋だろうかと思った。
バイクを脇に停め、それが飛んでいった辺りを
確かめる。
ところが見通しのいい場所なのに、何ひとつ
落ちていない。
おかしいなと思いつつ、今度は飛んできた先に
目を遣った。
飛んできたと思われる場所に、小さな古い墓地
があった。
目の前を横切った半透明のそれは、ビニールの
ようでもあったが、どこか生々しく海のクラゲ
にも似ていた。
もしかして・・・霊魂だったのではないのか・・・。
墓地を見つけたからといって、安易には結びつけ
られない。
しかし、目の錯覚ということもない。
何かを見たのだ。
何かが目の前を浮遊していったのだ。
※怪談・逢魔が時物語select
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投稿 doruさん(女性)