何かが路上に飛び出す。怪談・逢魔が時物語「反対車線」
神戸に住むAさんが、車で体験した異変。
夜十時頃、買った車の試運転で連れを乗せて走っていた。
反対車線の前方の交差点に、ハザード点滅のタクシーが
停まっている。
後部ドアは開いているが 運転手の姿は見えない。
じつは、反対車線にタクシーを見たときから、
何か嫌な感じがあった。
何かが起こりそうな強い予感があったのだ。
念のためにスピードを落とし、ゆっくりと走る。
すると突然、開いている後部ドア辺りから何かが
飛び出した。
それは色紙をガチガチと切り抜いたような、
黒い人の形をしたもの。
「うわっ!」
と思ったが、やっぱりなという感じではあった。
こっちの車のフロント三メートルぐらい前を
高速で移動した。
当然、人か? と思った。
それは人の形に切り抜いたようなもので、
手足の動きはない。
そのまま横スライドするような状態で、目の前を
横切った。
なんとか接触もせず、回避はできたものの冷や汗
ものだった。
助手席の連れも見たと言っているので、錯覚ではない。
対向車やこっちの車のライトに映った『固体』は
何だったのか?
半分透けていて、歩道でスゥ~パッと消えた。
ライトに浮かんだのは、二十代半ばの男だったような。
縦じまのシャツだったと記憶する。
数日後の昼間、その場所を確認してみた。
やはり……交差点手前の電柱の下に、供養花が置いて
あった。
※怪談・逢魔が時物語select
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・投稿 赤銅鈴之助さん(男性・兵庫県)