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行ってはならぬ公園。怪談「逢魔が時物語」2.29号『公園の女』

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            ━━ 2024 ━━
        ★ 怪談 逢魔が時物語 ★

             2.29 #5

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       ★ 逢魔が時物語へ、ようこそ ★

 ここは、あの世とこの世の間にあるユラユラとした境界です。
 今宵も、ゾッとする怖い話、不思議な話をお届けしましょう。

 では、2.29号は『公園の女』という怪談です。

               逢魔プロジェクト主宰・雲谷斎

ーー 目 次 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ■oma-kwaidan『公園の女』
     ・逢魔怪談「ついて来る女」
     ・逢魔怪談「散歩する女」

 ■Information
     イベント 出版物 逢魔が時チャンネル 売店

 ■oma-column
     ・春の怪談祭り

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  怪談イベント+魔界ウォーク。京都で一日遊びません?

 ■cafe逢魔「怪談トークライブ+魔界ウォーク」
  4月7日(日)京都/ゲスト 宇津呂鹿太郎さん
  https://note.com/omaproject/n/ndd1d97f9a8c9
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            逢魔怪談
    ~~~~~ 「ついて来る女」 ~~~~~

 当時、私は秋田市に住んでいた。
 まだ若かったので、よく友人たちと深夜ドライブをしていた。

 その夜は『出る』と噂のО山公園に行った。
 小高い丘の公園で、秋田市が一望できる夜景スポットである。

 それまで私は霊体験など一度もなかった。
 だから、あれが霊現象だったのかどうかは、よくわからない。

 何事も起こらないので、公園から帰ろうということになった。
 下り石段では二人の後ろを私が歩いた。

 もちろん、私の後ろには誰もいない。
 早く三人で飲みに行きたいな~、と思いながら下っていた。
 すると……。

 チリン……。微かではあったが、ハッキリと聞こえた。

 鈴が地面に落ちたような音だった。
 ただ、どこから鈴が落ちるというのだ。

 後ろには誰もいないし、鈴が置かれるような場所もない。
 有り得ない『音』に鳥肌が立ち、ツーと冷や汗が流れた。

 それだけではない。
 『何か』が、私の後ろからついて来る気配を感じたのだ。 

 初めての恐怖に足が震えて止まりそうになる。
 ここで止まると追いつかれる、という恐怖があった。

 自分を鼓舞し、なんとか車に戻ることができた。
 危機を脱することができたようだった。

 車の持ち主は、じつは霊感がある。
 そこで私はさっきの出来事を詳細に話した。

 「いたね。ついて来た後ろの距離も合ってるよ!」

 あまり嬉しくない『当たり』だった。
 やはり女の霊らしい。

 ただ、女には悪気はなく、私たちを見送っていただけだという。
 ちょっと切ない気持ちになった。

 『寂しかったのかな……』
 私は階段に向かって軽く手を振り、その場を後にした

                ・投稿:reyさん(男性・秋田県)

 《雲谷斎のイッチョ噛み》

 「霊的なことが起きるとき、鈴の音がすることが多いらしい。
  野良猫の鈴やった、というオチやったらおもろいけど」

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             逢魔怪談
     ~~~~~ 「散歩する女」 ~~~~~

 私の家は名古屋のビジネス街まで十分のところ。
 背後には緑豊かな森林、平和公園、東山動物園がある。

 ある夏の夕方のこと。
 車に犬を乗せて、平和公園へ散歩させに出かけた。

 好んで犬の散歩をする場所は、広場ではなく静かな公園。
 人も少なく落ち着いた穴場でもあった。

 入り口付近の植え込みで、犬がモゾモゾと排便を始める。
 ビニール袋で後始末をしていたとき。
 斜め後ろの横断歩道から誰かが公園に入って来た様子。

 何気なく見ると、二十代後半らしき女性が一人で歩いて行く。
 おとなっぽいワンピース姿でサンダル履き。
 黒髪のミディアムヘアで、色白の肌をしていた。

 ただ、ちょっと気になることがあった。
 異様に後姿が悲しそうだったのだ。
 背中が泣いてるような、丸い肩をしていた。

 何かあったのかな? と思う後姿で、沈んだ雰囲気だった。
 外に出ないのか、肌の異様な白さも気になった。

 さらに、歩き方が変だった。
 人は歩くとき、軽く手を振るものだ。

 女は両腕をぶらんと下げたままで、指先は力なく曲がっている。
 しかも、バッグ類など何も持っていない。
 財布も持ってないし、スマホも車のキーすら持ってない。

 駅からも住宅街からも相当な距離がある。
 どこからどうやってここまで来たのだろう。

 そこで不可解なことを思い出した。
 駐車場からこの公園まで、他に人の往来はなかった。
 歩道にもこの女はいなかった。

 つまり湧き出たかのように、女は私の後ろを通り過ぎたのだ。
 

 そしてもう一つ。
 女が歩いて行く先は墓しかない……。

 一瞬で、この女が怖くなった。
 絶対に話しかけちゃダメだと思った。
 鳥肌が警告を発している。

 公園へ入りたがる犬を引っ張って、きびすを返した。
 その後、女がどこへ行ったかは知らない。
 興味本位で追うことなど、到底できなかった。

                ・投稿:河童山さん(男性・愛知県)

 《雲谷斎のイッチョ噛み》 

 「墓をめざして歩く女……完ぺきなユ~レイ女の登場や。
  後ろ姿だけで、顔を見んでよかったですやん」

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 【読者便りー2.20号】

 「上がり下り」
 足音の方向性を、投稿者さんとお母様とで真逆の認識を
 されているのが不思議ですよね。

 「危険な階段」
 これは思わず「志村、後ろ!」と、昭和生まれなら
 叫んじゃうやつですなあ。

 cafe逢魔「花粉襲来放送」拝聴しました!
 ゲストのエーコさんのオンライン展覧会のようで楽し
 かったです。
 私も絵を描くのが仕事ですが、作品が「何となく出来
 ちゃった」ってのも、怪異の一種なんだと思いますよ(笑)

              <maoさん(女性・東京都)>

 「トイレ、階段、窓が、家で怪異が起きるベスト3ですね。
  避けて通ることもできんから、諦めるしかないがな」雲

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 ■イベント

 ・京都で一日遊びません?
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 ・「怖すぎる実話怪談」シリーズ10冊(文庫ぎんが堂)
 ・「泣ける怪談」本
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 4月7日(日)はええ季節やし、どこかに行きたいですよね。
 よかったら京都に来ません? cafe逢魔という名前の『怪談
 トークライブ+魔界ウォーク』超ゴーカEVENTやりますよ。
 宇津呂鹿太郎さんが遊びに来てくれます。どこにもない逢魔
 らしい春の怪談祭りというノリです。絶対、面白いですよ。

 ■cafe逢魔『怪談トークライブ+魔界ウォーク』4月7日(日)
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