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マップ作成、第2弾はメルボルン:「世界の都市・パブリックスペース」を考えるソトノバ・スタジオ第3回

 こんにちは。ソトノバ・スタジオ:「世界の都市・パブリックスペースクラス:シドニー・メルボルン・アデレード」感想レポート担当の新村です。このクラスも早くも折り返しの第3回め。今回は前回のシドニーに続いて、オーストラリア第2の都市、メルボルンを題材に、マップ作成演習の第2弾です。本日の進行も、シドニーの時と同じ手順に沿っていくとのご説明から始まりました。

まずメルボルンのイメージを共有


 最初に前回と同じく、各人が持っているメルボルンについての知識やイメージ(実際に行ったことがある、メディアを通して触れたことがある、などなど)を共有するアイスブレイクでウォーミングアップ。クラスもきょうが3回めで、顔と名前もだいぶ一致するようになりました。すべてが初めてで手探り感満載だったシドニーの時と違い、勝手がわかっていることもあり、「アイスブレイク」するまでもなくスムーズに話し合いが進みます。

「世界で最も住みやすい都市」メルボルン

 続いて泉山さんの「メルボルン基本情報」プレゼン。メルボルン市は、英経済誌「エコノミスト」の調査部門が毎年世界主要140都市を対象に「治安」「医療」「文化・環境」「教育」「(交通・住宅などの)インフラ」の5項目を基準に採点、発表している「世界で最も住みやすい都市」ランキングで2017年まで7年連続で1位だったそうです。ちなみに18年はオーストリアのウィーンがトップでメルボルンは2位、大阪が3位、シドニー5位、東京8位、アデレード10位と、オーストラリアと日本で上位の半分を占めた格好。

シドニーとの共通点、相違点

 メルボルンは、シドニーと共通する面もあれば、ずいぶん違う面もあることが紹介されます。

 共通点は、まず「メルボルンも2つあるんです」。シドニーと同様、「大都市圏」と「City」の2つ。Cityは大都市圏の行政区のひとつで、Central Business Districtを核とするエリアのこと。

 そして、メルボルンもシドニーと同じく、大都市圏とCityそれぞれのレベルで作られた都市計画が進行中。ビクトリア州政府は " Plan Melbourne 2017-2050 " という中期的構想を掲げ、「人口」「仕事」「住宅」「交通」「環境」「コミュニティと住みやすさ」という6つのキーワードに基づいてコンセプトを軸とする総合計画を掲げているそうです。

                                                                          (出典  https://www.vic.gov.au/)

 一方、メルボルン市も "Future Melbourne 2026" という計画を策定しており、「環境に配慮する」「創造的である」など、9つの目標を掲げています。また、都市計画の「ビジョン」を作るプロセスも大事にしているそうです。「ビジョンを設定したら、それに基づいて戦略を立て、さらに具体的なプロジェクトに落とし込んでいく、というステップは、日本の都市計画に比べたらとてもシンプル」と泉山さん。さらなる「住みやすさ」に向けて様々な動きが始まっているようです。

                         (出典 https://www.melbourne.vic.gov.au/Pages/home.aspx

ルーフトップバーとlaneway

 次にメルボルンのパブリックスペースの紹介。特徴的なものとしてあげられたのが、日本では「屋上テラス」と呼ばれるルーフトップバーと、lanewayという一種の「裏通り」です。

 ルーフトップバーは、古いビルの屋上をバーやレストランに改装したもので、泉山さんのご紹介ではCBDのチャイナタウンあたりを中心に20軒以上があるとのこと。

 天気が良ければ青空のもとで開放感にひたりながら、コーヒーやアルコール類を飲みながら、家族や友人、仕事仲間とおしゃべりを楽しめる環境です。

 一方、lanewayは、100メートルx200メートルのグリッドで構成されるCBDの中にある細い路地に、レストランやカフェがテーブルや椅子を出して、食事やドリンクを楽しめるようにしたオープンスペースです。車は朝の荷捌き以外は入って来ず、営業が終わればすべて片付けられて元のstreetに戻るとのこと。

 面白いと思ったのは、lanewayをカフェなどに使用するには市の許可が必要ということ。

 どちらも、空間としては必ずしも「ゆったり」ではないイメージですが、それが逆に、そこを訪れる人にとって親密さを演出する、有効な仕掛けになっていると感じました。

図書館でチェス?

 どうしても自分の体験の範囲から比較してしまいますが、ほかにも挙げられたメルボルンのパブリックスペースの中で印象的だったのは、ビクトリア図書館。まずデザインの美しさに目を見張りました。

 そして、利用の仕方もユニークです。図書館でチェス(日本なら将棋)ができるという発想は、なかなか日本ではお目にかかれないのでは。


グループワーク開始!

 プレゼン終了後、いよいよグループワークの開始です。

 2回めとあって要領は心得たもの。グループで選んだテーマに沿って、どのような「視点」からマップを作り上げていくか、てきぱきと作業が進みます。パソコンで「視点」を軸にリサーチし、そこで得られた情報をベースマップに重ねたトレーシングペーパーに書き込んでいきます。色ペン、付箋も使って、視覚的にもわかりやすくなります。

 今回は事前にかなりの下調べや打ち合わせをしてきたチームもあったようです。敬服しかありません。

さあ、プレゼン

 1時間あまりの作業は今回もすぐに終了してしまいました。チームごとにプレゼンがスタートです。

カフェは地元市民の利用が多い?

 「ストリートとカフェ」がテーマの「Team K」は、シドニーとの比較で、シドニーではランドマークに向かって人も店も配置されている傾向がみえたのに対して、メルボルンでは歩道が広い大きな通り沿いは意外にカフェが少ないと指摘。

 カフェの利用時間も9−10時ぐらいがピークのようで、「利用者は地元の人が多いのではないか」と考察していました。

移動手段ごとに「おすすめ経路」情報

 続いて「モビリティ(x観光)」がテーマの「モビサイト」チーム。きっちり事前準備されてます。移動手段としては、電車、トラム、自転車と種類は豊富。最近東京などでもよく見かけるシェア自転車も定着しているようで「おすすめ自転車ルート」なんて情報もあるそうです。

 「おすすめ」情報には、「散歩道」「インスタ映えしそうな写真が撮れる場所」などもあり、さすがSNSが定着している現代っぽい発見と思いました。

公園よりもストリート活用?

 「公園」がテーマの「チームさんさん」。泉山さんのプレゼン後の質疑では、「メルボルンのCDBの中にはあまりまとまった広さの公園はないみたいです」との説明がありました。

 CBDに限れば、スペース活用はストリートのほうが充実しているらしい、というのがリサーチから得られた考察、とのことでした。「公園にはカフェはないようです」というのも意外でした。

個別の特徴から共通項を見出だせるか

 わが「チーム食いしんぼう」は視点を少し絞ってリサーチ。Rooftopやlanewayにあるカフェやレストランを調べてみました。

 結果としては、なかなか共通項を見出だせるには至らず。視点を再検討してみる必要がありそうです。

 次回のアデレードに向けてみなさんがんばりましょう。

Photo by Sotonoba Studio Staff, Toshio Shinmura
Text: 新村 敏雄


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