進化
2023年3月2・3日、ホテルメトロポリタン長野にて第53回中小企業問題全国研究会(全研)が開催されました。
全国47都道から約1,350名の方が集い、神奈川からも約50名の方が参加されました。会員一人ひとりの今年の成果や教訓を一カ所に集め、長期的な視点に立って戦略的課題に取り組み、日本の未来を切り拓いていくというものでした。
テーマは、「今、この瞬間が未来をつくる〜地域が変われば日本が変わる〜」
これらは、中小企業家同友会全国協議会(中同協)が主催し、長野県中小企業家同友会が設営をしました。長野県は、SDGs未来都市に選定された豊かな自然と信州善光寺をはじめとした歴史的な観光スポットが魅力な街でした。
来年設立50周年を迎える長野同友会は、激変する経営環境でも「人を生かす経営」を主軸とした地域と共に成長していく、同友会理念の「国民や地域と共に歩む中小企業をめざす」を地域の特性を活かし、誇りと自覚を持って取り組まれていることが感じられました。
中同協が毎年行う全国規模の大きな行事としては、定時総会、中小企業問題全国研究会(全研)、青年経営者全国交流会(青全交)、女性経営者全国交流会(女全交)などがあります。
分科会会場は近隣ホテル3カ所で開催され、テーマは「情勢」「憲法」「事業定義の見直し」「市場創造」「デジタル化」「地域資源の活用」「企業変革」「採用」「社員教育」「環境経営とSDGs」「事業承継」など、企業経営の課題解決に向けた議論を行いました。
全国の志を同じくする仲間との討論は、異なる風土や歴史、地域性、業種、会社の規模、価値観、会社独自の特徴や立場などを通じて、お互いの学び方の違いから共通点を認識したり、それぞれの学び方の優れた点を修得できたり、一同友会では味わえない広い視点で捉える大切さを体験することができました。
基調講演は、松本市にある地域医療支援病院・相澤病院・理事長兼最高経営責任者 相澤孝夫氏が登壇されました。
TVドラマ「病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~」の元となった話で、10数億円の赤字を抱え倒産の危機に瀕していた状態を徹底した経営改革で乗り越えた話からは、リーダーシップが発揮されるプロセス設計や方法論や、一貫性のある経営体質の確立などは、まさに経営指針作成で学んだことでした。
改めてビジョンの重要性、環境分析、改革の必要性、具体的な改革の内容、組織改革の意義と留意点などを知ることができました。
というお話から、未来は与えられるものではなく、挑戦して自らの努力で掴むものであると痛感させられました。
そして、特別サプライズゲストしてワールドカップ通算30勝達成や平昌冬季オリンピックで金メダルを獲得したスピードスケート選手・小平奈緒さん(相澤病院所属)もご登壇されました。
というお話は、経営者の琴線に触れる優しさと強さを持った言葉でした。
経営者の生き様や熱量、覚悟や忍耐は、セミナーや本では到底味わえないものであり、自身の姿勢や思想を改める大きな刺激となりました。
小手先のテクニックに終始することなく、人生哲学やあり方までを変えてしまうほどでした。
進化とは環境変化による新しい種の出現であり、それは不規則に起きる突然変異と、周囲の環境の選択によって生まれます。
進化とは、新しいことにチャレンジするために経営者にとって最も重要な要素でもあります。全研行事に参加することで、「人を生かす経営」を主軸とした経営環境に対応できる強靭な企業づくりのための進化と素養を深めていきたいと考えています。
来年は三重です。今回惜しくも全国行事に参加できなかった方は、是非、大きなうねりを体験していただきたいと思います。
#384 2023/03/05