なかむら義宣・身近にある絶景を探して 〜前編 私の人生を変えたカメラとSNS〜
今回は滋賀県にお住いで地元近江鉄道の写真で数多くの作品を発表されているアマチュアカメラマン・なかむら義宣さんにご登場頂きます。なかむらさんのカメラとの出会いや写真の楽しみ、SNSとの向かい方、写真のチカラについて、2回に渡ってお届け致します。
カメラとの出会い
2003年に結婚した私は、新婚旅行にCAMEDIA C-40をずっと手に持ちヨーロッパ7日間の旅を楽しみました。
これが私にとって初めてのデジタルカメラ。
OLYMPUSとの出会いでした。
2009年長男の出産をきっかけに「少し良いカメラを」とOLYMPUS E-PL1を購入。
コンパクトデジカメとは違う画質に感動。
このころからずっとカメラを持ちながら家族でお出かけすることが多くなりました。
鉄道を撮ることに興味を持つようになった
やがて子供は成長し、電車に興味を持つようになりました。特に子供たちは自宅の窓からでも見ることが出来る近江鉄道が大好きになりました。
自分自身、まったく興味はありませんでしたが、子供のおかげでこの近江鉄道と鉄道写真の魅力に少しづつ興味がわいてきました。この頃から、様々な撮り鉄の方が実施されているブログを見るようになり、ある日新幹線の「流し撮り」の撮り方を解説している記事に目が留まりました。
「自分でもこんな写真が撮れるのかな?」と、ここで初めて私が持っているE‐PL1のマニュアル(説明書)を見て、流し撮りに何度も挑戦するようになりました。
初めて流し撮りに成功した一枚。
この頃から近江鉄道を見ると撮影をするといった習慣が生まれました。
カメラを自分の趣味のひとつに
徐々に写真撮影の魅力に引き込まれていった私は、もう少し本格的なカメラを使おうと思い、2013年12月にOLYMPUS OM-D E-M5 を中古で購入。
自分にとって、このカメラ購入が正式に写真を趣味とする起点日となりました。
当時鉄道だけでなく星空を撮ることにも興味があり、この事からさらにカメラの楽しさを感じるようになりました。なぜなら肉眼では真っ暗な夜空なのに、空に向かって長時間露光すれば満天の星空を映し出すことができる事が判ったから。
しかし、なぜこんな風に撮れるのか?とても不思議に感じ、カメラはどうやってこういった画像を作り出しているのか?をここに来て初めて勉強し、カメラの構造などをようやく理解しました。
この事から、今までは目に見えるものを忠実に記録する道具として撮影していましたが、この頃から肉眼では見えない風景などをカメラを使って自分なりの世界で表現することが出来る、そんな素敵な道具なんだ。
カメラは光を使った遊びなんだ!!
この事に気づき、さらにカメラの魅力にハマっていきました。
テーマを持つこと
当時私は様々な被写体に興味を持ち、地元滋賀東近江を中心に色々な場所で色々な物を撮影していましたが、OLYMPUSのサイトから「私の‘ゆる鉄’写真コンテスト」が目に入りました。
写真のコンテストなんて今まで投稿したことは全くなかったのですが、興味本位で当時子供のために撮影していた近江鉄道や新幹線の写真を2~3枚ほど投稿してみました。
コンテストの結果発表の時期も、受賞の通知メールも気づかず偶然「そういえばあのコンテストどうなった?」とHPを見たところまさかの大賞を受賞。
初めて応募したコンテスト。
当時から人気のあるプロの写真家、中井精也さんの事も存じ上げていなかったので、本当に驚きでしたが、プロの方に認めていただけたこと、自分の写真が世間から見て鉄道写真として認めていただけたこと。これは本当にうれしさと自信となり、このことが自分の写真のメインテーマを自宅周辺を走る「近江鉄道」を中心に撮影活動を行うキッカケになりました。
私と近江鉄道
自宅の窓からいつでも見ることができる近江鉄道。カメラを趣味にするまでは、特に何の興味もなかった「近江鉄道ですが、撮影者目線でこの鉄道を見た時、改めてこの鉄道のすばらしさに気づき、ドンドンと近江鉄道と沿線の風景写真の魅力に引き込まれていきました。
そして「近江鉄道」自体の魅力にもドンドンとハマっていき、鉄道会社としての歴史や、個性的な車両の数々にと、今まで当たり前に家の横を走っていた鉄道が大好きになりました。
また、メインテーマを「近江鉄道」に絞り撮影することにより、より個性を持つことができ、何より撮っていて一番楽しいものが一番身近にある事、本当に良いメインテーマに出会え、さらに撮影の趣味に没頭してしまいました。
SNSについて(人生を変えた一枚の写真)
鉄道写真に興味を持った頃、色々な方の撮り鉄ブログを見るようになった私はこういったブログをやっている人になりたい。。。
そんな気持ちが少しづつ芽生えました。
そんな中、2014年4月から思い切ってブログ「よっし~の写真日記帳」を開設。
現在に至るまでほぼ毎日一枚づつの写真を紹介してきました。
また、ブログ以外にも様々なSNSを使って沢山の方に写真を披露し、その「いいね!」の数を指標とし、どのような写真が良い写真なのか?を追求していきました。
2015年12月に撮影したドクターイエローと近江鉄道が並ぶ瞬間をとらえた一枚。これがTwitterで拡散され、たちまち色んな所でニュースになりました。
そして、この一枚の写真がきっかけで今までとは比べ物にならない位、非常に多くの方に私の写真を見て頂くキッカケとなりました。
まさに私の人生を変えたのはこの一枚の写真です。
最初はうれしかった。
有名人になった気分になった。
でも、そんな中でのSNSの拡散スピードは徐々に喜びから恐怖へと変わっていきました。
当時の私はSNSの使い方や撮影技術もまだまだ未熟で、時にはとても厳しいご意見を頂く事も珍しくありませんでした。撮影マナーもまだまだ未熟で、今思えば、知らず知らずに他人をに不快な思いにさせたり、批判されても仕方がないような行動もしていたと反省しています。
でも、この厳しいご意見にも耳を傾け、今はその事が自分の中でとても成長できる栄養だったと思えるようになりました。
自分自身がドクターイエローと近江鉄道の写真で今の言葉でいうバズった状態になったわけですが、もし自分が何気なくSNSへ投稿した写真で悪い方向でバズってしまったら。。。
それはSNSを使う人すべてにあるリスク。
有名人でなくても世間をざわつかせる威力があるツール。
そして、たまに見かける厳しい批判や不満苦言の投稿などを見ると本当に心が痛み、私は怖くなり本気でSNSへの投稿はやめようと悩んだこともありました。
SNSは「嬉しかったこと」「楽しかったこと」「ちょっと自慢したいこと」こういったことを共有するツールだと思っています。SNSで自分や他人の不満や苦言を共有するこのような使い方は絶対にしない、上から目線のような書き込みもしない、他人も自分も仲間も家族も絶対にSNSで傷つけないと心に決めました。
後編へ続く
筆者紹介
なかむら義宣(Yoshinori Nakamura)
1974年 滋賀県東近江市生まれ在住
会社員をしながら地元に走るローカル線「近江鉄道」をテーマに撮影活動を実施。
その活動はSNSを通じ写真以外のところへも広がっている。
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