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地方私鉄の旅 Vol.1/ 松浦鉄道
OM SYSTEMカメラを持って、ぶらっと撮影散歩を楽しんできました。舞台は九州の松浦鉄道です。
松浦鉄道は、佐賀県の有田駅と長崎県の佐世保駅を結ぶ、全長約94㎞の路線です。その歴史は古く、有田-伊万里間は1898年(明治31年)に有田焼運搬のために開業し、佐世保側は1920年(大正9年)に石炭輸送のために開業しました。その後国鉄、JR九州松浦線を経て、1988年から第三セクターである松浦鉄道となりました。沿線には今も古い施設が残り、旅情をかきたてられるとともに撮影意欲が湧いてきます。
最近は浦ノ崎駅の桜のトンネルが有名ですが、それ以外にも魅力的な撮影スポットがたくさんあります。今回は佐世保側の一部区間ですが、OM-1をぶら下げて沿線をのんびり歩きながら撮影してきました。
まず吉井駅から歩いて福井川橋梁に来ました。この区間には古いコンクリート橋が多数残っています。福井川橋梁は川と道路を跨ぐ三連のアーチ橋です。今回は橋の一部と列車をアップ気味に撮りました。
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江迎鹿町駅では多くの学生さんが乗り込んでいきます。
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第1江迎川橋梁(※)は有名な撮影スポットです。緩くカーブしたガーター橋が江迎川を斜めに渡ります。西に傾いた光線がいい感じに当たりました。
※:橋梁名称に誤記がございました。お詫びして訂正いたします。
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川沿いの畑に実ったみかんの木を前景にして撮影しました。
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2日目は大学〜相浦間の橋梁から撮影開始です。PLフィルターを使って水面の反射をコントロールしつつ、ISO感度を上げてシャッター速度を確保して撮っています。
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坂道を上がって橋を俯瞰する場所に来ました。この橋は色々なバリエーションで撮影できるので、撮影していて飽きません(記事の冒頭の写真もこの橋です)。
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相浦駅に入線する列車をホームの待合室の中から額縁の構図で撮影しました。車両の前に壁や柱などAFの邪魔になるものがある状況ですが、AI被写体認識AF(鉄道認識モード)は確実に車両を捉えピントを合わせ続けてくれます。
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佐々駅近くの畑の脇道から撮影。順光で車両の色が綺麗に出ています。
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稲穂が光っていたので、ここにピントを合わせて車両をぼかして撮ってみました。
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真申(まさる)駅です。秘境感強めの写真にしました。この写真を最後に帰路につきました。
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私は鉄道撮影に行く時はできる限り鉄道に乗って行きます。予め目星をつけておいた駅で下車し、隣の駅まで歩きながらポイントを探して撮影します。撮影効率は決して良いとは言えませんが、思わぬ発見があったり、地域の方とお話しできたり、充実した時間を過ごせます。何より鉄道会社に運賃を払って乗車し、撮影させて頂くことが重要だと考えています。
今回はOM-1とF2.8のズームレンズ2本だけを持って行きました。このレンズでフイルム換算24mmから300mmまでカバーできて総重量は1.8kg余りと、1日歩いても身体への負担は少なく済みます。またOM-1の手振れ補正には絶対の信頼を寄せており三脚は持ちません。全ての写真を手持ちで撮りましたが、手ブレが気になる写真は全くありませんでした。
今回の撮影機材
OM-1に大口径F2.8の標準ズームと望遠ズームのセットです。
カメラ:OM-1
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
松浦鉄道は乗ってよし、撮ってよしの素敵な路線でした。今回は佐世保側の一部、全路線の3分の1程度のエリアでしたが、1日半の撮影を存分に楽しみました。残りのエリアも乗ってみたい、撮ってみたいと思っています。観光シーズンには特別な列車やイベント列車も走るようです。また違う季節に訪れ、違う表情に出会いたいと思います。
是非皆さんも小型軽量のOM SYSTEMを持って、のんびり散歩しながら鉄道撮影を楽しんでください。
撮影・記事
河本 秀哉 / Hideya Kawamoto
OM SYSTEM 鉄道部 部長
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