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地方私鉄の旅 Vol.4/ 京葉臨海鉄道「旧 国鉄DD13形ディーゼル機関車も現役」

2023年11月千葉市・市原市の工場夜景ツアーに参加する機会があり、道中で見かけた貨物列車が気になったのがきっかけで、2023年12月と2024年1月に京葉臨海鉄道の撮影に出かけました。凸型のディーゼル機関車が牽引する貨物列車が魅力の京葉臨海鉄道、工場夜景との組み合わせで撮れるのか、2024年2月23日発売の「OM-1 Mark II」の新機能は活かせるか、などと期待を膨らませながら撮影に出かけました。


🔳 京葉臨海鉄道

京葉臨海鉄道は1962年11月20日、当時の国鉄と沿線の自治体、進出企業が出資をして設立した第三セクター方式の鉄道会社で、JR蘇我駅から北袖駅までの19.9km、北袖分岐点から京葉久保田までさらに2.3kmの鉄道です。旅客営業はないものの人気があり、これまでにも撮影会など開催されています。

千葉県内の国道16号線沿いで、企業や工場に隣接している鉄道で、車で出かけると止める場所に苦労はありますが、ディーゼル機関車が牽引する貨物列車はとても魅力を感じます。

■ 2023年12月27日・28日 魅力ある貨物列車

年末で休業に入る企業もあるかと、運行本数に心配はありましたが、ロケハンのつもりで出かけました。海ほたる経由で千葉県に入り、まずは木更津から一番近い京葉久保田駅付近に向かいます。近くに到着しても、線路沿いは企業や工場への出入口となっているところが多く、車を止められるところから歩いて撮影ポイントを探ります。

北袖分岐点-京葉久保田駅 間の直線区間での撮影、最初にやってきたのは、京葉久保田駅へ向かう「KD55103」の単機。旧国鉄「DD13-346」を譲受した機関車で、のちにエンジンを換装して現在に至ります。青い車体ではありますが、DD13後期型の面影が残っています。

KD55103(北袖分岐点-京葉久保田駅)
OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
焦点距離 (35mm換算) : 300.0mm / シャッター速度 : 1/160 秒 / 絞り値 : F7.1 / ISO感度 : 400

京葉久保田駅に到着後、コンテナを牽引して戻ってきました。積載していたコンテナは2つだけでした。

KD55103 コンテナ貨物列車(北袖分岐点-京葉久保田駅)
OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
焦点距離 (35mm換算) : 146.0mm / シャッター速度 : 1/500 秒 / 絞り値 : F4.0 / ISO感度 : 400

タンク貨物列車が撮れる千葉方面へ移動します。千葉貨物駅-市原分岐点の間で、やってきたのは「KD602」牽引のタンク貨物列車。旧 国鉄のDD13形に似ていますが、自社オリジナルの機関車です。

KD602 タンク貨物列車(千葉貨物駅-市原分岐点)
OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
焦点距離 (35mm換算) : 260.0mm / シャッター速度 : 1/400 秒 / 絞り値 : F4.0 / ISO感度 : 400

千葉貨物駅-市原分岐点にある村田川橋りょうは、1911年にアメリカで製作された歴史ある鉄橋で、旧 国鉄東海道本線大井川橋梁で架設されたものを、1963年に京葉臨海鉄道に移設、転用されました。やってきたのは、2021年6月に製造された「DD200-801」が牽引するタンク貨物列車。JR貨物のDD200形と同じタイプで、同じ赤の塗装で使われています。

DD200-801 タンク貨物列車(千葉貨物駅-市原分岐点)
OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
焦点距離 (35mm換算) : 300.0mm / シャッター速度 : 1/500 秒 / 絞り値 : F4.0 / ISO感度 : 400

工場夜景との組み合わせで撮影できるポイントが見つけられず、北袖分岐点まで戻ってきます。OM-1以降、高感度性能が高くなったので、夕方の走行シーンもクオリティが高く撮影が可能です。M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO は前照灯によるフレアも出にくく、ありがたいレンズです。

DD200-801 タンク・コンテナ貨物列車(北袖駅-北袖分岐点)
OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
焦点距離 (35mm換算) : 300.0mm / シャッター速度 : 1/125 秒 / 絞り値 : F2.8 / ISO感度 : 3200

翌日、12月29日は快晴。再度、千葉貨物駅-市原分岐点 間で待ち構えます。やってきたのは「KD55103」が牽引する長編成のタンク貨物列車。ここでの撮影で、この2日間の撮影を終了しました。

KD55103 タンク貨物列車(千葉貨物駅-市原分岐点)
OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
焦点距離 (35mm換算) : 90.0mm / シャッター速度 : 1/640 秒 / 絞り値 : F4.5 / ISO感度 : 200

■ 2024年1月30日 鉄道夕景・鉄道夜景

12月の撮影でより望遠が欲しいと感じたことと、工場地帯での夕景・夜景が撮りたくて出かけます。北袖駅-京葉久保田駅 間で待ち構えます。やってきたのは「KD604」牽引のコンテナ貨物列車。お天気もよく、側面が逆光となる撮影ポイントでしたが、道路に映し出された、凸型の機関車とコンテナ貨物の影の写真は、この日のお気に入りのひとつとなりました。

KD604 コンテナ貨物列車(北袖分岐点-京葉久保田駅)
OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
焦点距離 (35mm換算) : 346.0mm / シャッター速度 : 1/500 秒 / 絞り値 : F5.6 / ISO感度 : 200

12月の撮影で、より望遠で撮ってみたく思っていた北袖分岐点。広いヤードをやってくるコンテナ貨物列車を、超望遠レンズM.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROで撮影しました。

KD603 コンテナ貨物列車(北袖分岐点)
OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
焦点距離 (35mm換算) : 800.0mm / シャッター速度 : 1/400 秒 / 絞り値 : F5.6 / ISO感度 : 200

拡大をしてみるとくっきりと写ったナンバープレートに、機関車から排出される熱気までが写っているのがわかります。

拡大した写真

日が暮れ始めたので五井海岸近くへ移動。浜五井駅で停車する貨物列車の夕景をねらいます。赤く染まり始めた空と一緒に撮影しますが、空の色を出すと、貨物列車が黒くつぶれてしまいます。「おっ、OM-1 Mark IIに新しく搭載されたライブGNDの出番かではないか?」つぶやきながらの撮影。空と貨物列車の境界部分までライブGNDの境界線を下げ、列車に合わせて境界線を傾けます。空と列車の境界がでこぼこしているので、グラデーション部分の幅が選択できるフィルタータイプは「Medium」。GNDの段数は4段と8段で撮影をしてみます。8段の方が効果は高く、列車が明るくなりました。

KD601 タンク貨物列車(浜五井駅)
OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
焦点距離 (35mm換算) : 28.0mm / シャッター速度 : 1/80 秒 / 絞り値 : F4.5 / ISO感度 : 200
ライブGND(GND8・Medium)

日も暮れて鉄道夜景の撮影。浜五井駅に停車した下りのタンク貨物列車を撮影、工場の煙突からの炎が上がっているのが見えます。貨物列車と工場の距離が離れているため、望遠レンズの圧縮効果でその距離感を縮めます。

タンク貨物列車(浜五井駅)
OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
焦点距離 (35mm換算) : 440.0mm / シャッター速度 : 1/8 秒 / 絞り値 : F4.5 / ISO感度 : 800

浜五井駅に上りの貨物列車が入線してきたので戻ってきました。F1.2大口径単焦点シリーズの45mmで撮影をしてみます。機関車の質感だけではなく、運転席の雰囲気までいい感じに表現できました。ここで撮影は終了です。

KD604 タンク貨物列車(浜五井駅)
OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
焦点距離 (35mm換算) : 90.0mm / シャッター速度 : 1/5 秒 / 絞り値 : F2.5 / ISO感度 : 400

■ 貨物列車だけの鉄道

旅客列車が走っていない臨海鉄道の撮影、企業や工場の敷地に沿って走っているため、思った以上に撮影できるポイントが見つけにくいことに気づかされます。撮影時の立ち位置はもちろん、安全面でも配慮が必要です。企業や工場に限らず、地域沿線住民の方にもご迷惑にならないよう、こころがけて撮影に取り組みたいところです。


■ 進化するカメラ機能で新しい作品づくり

コンピュテーショナル機能を始め、カメラの進化により、これまで表現が難しかった撮影も可能になってきました。どのシーンでどう使うか、効果が活かせる条件をつかんでおけば、より魅力ある鉄道写真につながります。これまでに訪問してきた鉄道も、改めて撮影をしてみたい気持ちになります。

《参考》OM-1 Mark II ライブGND機能

ライブGND撮影は明暗差の大きな撮影シーンを美しく表現することができます。複数枚の画像を高輝度部と低輝度部で異なる合成を行うため、走行する列車には向きませんが、停車している列車を始め、鉄道情景撮影で、美しい作品に仕上げることができます。GND段数(2, 4, 8)、フィルタータイプ(Soft, Medium, Hard)、フィルター効果の境界位置をファインダーをのぞきながらカメラで自在に操ることができます。超広角や魚眼レンズなど、全てのレンズでGNDフィルター効果を得ることができる機能です。P / A / S / Mモードで使えます。

▼詳しい使い方は説明動画をご覧ください
OM-1 Mark II ライブGND(グラデーションND)機能【基本操作編】
OM-1 Mark II ライブGND(グラデーションND)機能【便利な操作編】


撮影・記事
高橋 渉 / Wataru Takahashi
公益社団法人 日本写真家協会 会員
公益社団法人 日本広告写真家協会 会員

●今回の機材
OM SYSTEM OM-1 Mark II
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO

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