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今シーズンからベルギーリーグを追いたい人のための入門記事


前書き

昨今、Jリーグから日本人選手がヨーロッパのリーグでステップアップするための環境としてベルギーリーグが注目されております。しかし、ベルギーリーグのリーグ・プレーオフフォーマットはともかく日本での配信環境と注意点・移籍情報を知るために参照すべきアカウントやサイトを取り扱った記事は余り無いように思うのでこの記事を作成したいと思いました。
ちなみに、昨シーズンからシントトロイデンの試合を追いかけ始めて調べた範囲内での個人的まとめ情報としても作成いたしております。

何でベルギーリーグに移籍する日本人選手が多いの?

日本人選手は一般的にヨーロッパサッカーにおいてEU外国籍選手と定義されておりますが、ベルギーリーグにEU外国籍選手枠は存在せず外国籍選手への最低年俸も約10万€で低い年俸で雇う事が可能です。(ただし、制度的に6人以上のベルギー国内で育成された選手が登録されなくてはならない。)

しかし、他のヨーロッパ各国のステップアップリーグでは制度面などが異なります。例えばオランダのエールディビジはEU外国籍選手枠は存在しないものの20歳以下の外国籍選手への最低年俸が約20万€で21歳以上からは約40万€とクラブ側に経済的な制約を掛けております。スイスのスイススーパーリーグもEU外国籍選手制度は存在しない建前ですが試合出場可能な外国籍選手は1試合5人まで、ポルトガルのリーガ・ポルトガルはブラジル人選手がEU外国籍選手扱いではないもののそれ以外はEU外国籍選手扱い、オーストリアのオーストリア・ブンデスリーガもレッドブルザルツブルクやシュトゥルム・グラーツといった経済面に恵まれたクラブを除いた多くのクラブが外国籍選手の試合出場を制限するリーグからの自国籍選手優遇制度を受け入れている状況です。
ベルギーリーグと似たようなEU外国籍選手に経済的・制度的制約が掛けられてないリーグは昨シーズン鈴木唯人選手の活躍が注目されたデンマークのデンマークスーペルリーガもありますが、まだまだベルギーリーグ程日本人選手と縁が強くはなく厳しいのは確か。

また、五大リーグの二部もイタリア・セリエBは制度面が雁字搦めで事実上無理、スペインのセグンダ・ディビジョンもEU外国籍選手は二人まで、フランスのリーグドゥもEU外国籍選手に制限あり、労働条件が緩和されたイングランドのEFLチャンピオンシップも昨シーズンのイングランド選手の起用時間に左右される要素があり、EU外国籍選手への制度的制限が無いのはドイツのブンデス二部ぐらいです。

現状、ベルギーリーグ程EU外国籍選手への制度的制約も緩く日本人選手が活躍してステップアップ出来た実績を持つヨーロッパのステップアップリーグは存在しないのが実情です。

ベルギーリーグのリーグ・プレーオフフォーマットとカップ戦を含めた試合数

デンマークやオーストリアなどのヨーロッパ各国のステップアップリーグではシーズンの優勝・降格などを決めるプレーオフ制度を導入しておりますが、ベルギーリーグもプレーオフ制度を導入しており詳しいプレーオフ制度の内容はfootballistaでシェフケンゴ氏が著述した記事をご一読ください。


ベルギーリーグ全体の試合数はまずリーグ戦30試合ありリーグ戦の優勝を決める1位から6位までのチームが優勝プレーオフ10試合7位から12位までのチームがECLプレーオフ10試合13位から16位までのチームが降格プレーオフ8試合に挑まなければなりません。
また、優勝プレーオフ4位または5位のチームはECLプレーオフ1位のチームとヨーロッパカンファレンスリーグ出場権を懸けた1試合限定のプレーオフに進み、降格プレーオフで2位のチームはベルギー二部の昇格プレーオフを勝ち残ったチームとH&Aの2試合入れ替え戦に挑まなければなりません。
要するにベルギーリーグのチームは最低36から最大41試合の試合数をこなさなければならないのです。更に、リーグと並行して行われる国内カップ戦のベルギーカップに優勝するには最大6試合行わなければならずまた昨シーズン欧州コンペティションへの出場権を得た上位チームは7月後半の予選から本大会までを勝ち抜かなければならないためシーズン通して戦い抜くには非常にタフである事を求められる環境である事は確かです。

ちなみにこのフォーマットってヨーロッパ出場権を得たチームに対して過酷すぎるのではお気付きの方もおられると思いますが、昨シーズンのオフにリーグ内で強い力を持つチームが集まってチーム・試合数の削減によるリーグ・プレーオフフォーマットを変更しようとする動きがありました。
しかし、いざフォーマットの変更を決議する懐疑が始まるとフォーマットを変更する修正案が否定されてどのプランも賛同を得られなかった結果、現行のリーグ・プレーオフフォーマットを5年間維持するという案が決まりました。
これは強豪クラブがリーグ内でも強い権限を持ち複数回リーグ・プレーオフのフォーマット変更を行ってきたベルギーリーグでは極めて珍しい結果です。

日本でベルギーリーグを観るための配信環境とその問題

日本でベルギーリーグの試合を視聴するにはスポーツ配信サイトである「DAZN」と契約するか、無料で見るならDAZNと提携しており今シーズンから配信しているabemaで視聴する事が可能です。

注意事項としてDAZN・abemaで行われるベルギーリーグの1節ごとの配信試合数は最低3~4試合なのですが、シントトロイデンだけは全試合確実に見る事が出来ます。何でDAZN日本支社はシントトロイデンを優遇してるんだよ!とお思いの方もいると思いますが、シンプルにシントトロインデンのオーナー企業であるDMMがDAZN日本支社のスポンサーやってるからだと推測できます。
町田ゼルビアのオーナー企業であるサイバーエージェント傘下のAbemaが町田の試合を毎試合無料で配信するのと同じ理屈です。

ベルギーリーグ配信3~4枠の内1枠をシントトロインデンが独占しておりますが、残りの2~3枠の試合も「アンデルレヒト」・「クルブ・ブルッヘ」・「アントワープ」・「ヘンク」・「ヘント」・「ユニオンSG」といったベルギーを代表する強豪チームの試合でほぼ占められます。
これに関してはベルギーで中堅~弱小に該当して日本人選手が所属している「コルトレイク」・「ルーヴェン」・「スタンダール・リエージュ」といったチームでも日本人に忖度することなく試合が配信されていない事が日常茶飯事です。
また、DAZNは強豪チームの試合でも試合前日になって配信が予定されていた試合を中止する行為が常態化しているので強豪チームの試合でも確実に配信されるかというと難しいのが現実です。
しかも、DAZNによるヨーロッパサッカーにおける1試合毎の配信期限が試合配信から1週間と決められており興味を持ってる選手のプレーを見るには確実に試合を見逃さないという意思と1週間以内に試合を見るための余暇を作る事も重要になってきます。

ここまでDAZNのシントトロイデンとベルギー・強豪チームへの配信優遇を書き連ねてきましたが、リーグ戦が終わってプレーオフ期間に突入すると配信する試合が上位6チームによる優勝プレーオフ3試合とシントトロインデンの試合1試合の配信が行われます。何が言いたいかというと、シントトロインデンが昨シーズンと同じようにECLプレーオフに進出した場合4枠の配信枠が優勝プレーオフ3試合とシントトロインデンのECLプレーオフ1試合で占められて他のECL・降格プレーオフの試合は配信されないという事態が起こります。(実際に、昨シーズンのプレーオフ配信でこんな事態が起こった。)

前述したようにベルギーリーグの試合を視聴するにはリアル的な余暇と絶対配信期限内に試合を見る意思が重要になります。

ベルギーリーグの移籍情報などを知るためには

ベルギーリーグの移籍情報を知るために押さえておくべきジャーナリストは
ベルギー方面の移籍情報に強いSacha Tavolieriで、他にもメディアによるクラブ専門のジャーナリストも存在していたりします。

ただ、こういう複数のジャーナリストを押さえてなきゃいけないの面倒くさいってなる方は、クラブの移籍情報以外にもクラブごとの負傷者情報などを纏めるベルギーリーグの情報アカウントであるSuperSub - Jupiler Pro League Fan PageTheconerflagといったアカウント、ベルギーサッカー情報サイトであるvoetbalbergieといったサイトも存在します。
ただSuperSubやVoetbalbergieは以前、日本の某噂アカウントを正式なジャーナリスト扱いか信憑性のあるソース扱いした経験があるので一応彼らの流す情報に疑ってしまうものが出てきたら疑ってみる事をお勧めします。

正式なジャーナリストたちの流す情報を知りたかったら、SupersubがフォローしてるTavolieriなどのジャーナリスト達のアカウントを確認してみるべきだと思います。

個人的に今シーズンのベルギーリーグで注目してる選手

・GK Tobe Leysen 2002年3月9日生まれ

現在のベルギーリーグにはヘンクでトップチーム出場2試合でチェルシーから約2000万€の移籍オファーを受けている2005年生まれのMike Pendersやスタンダール・リエージュで今シーズン正GKの2004年生まれのMatthieu Epoloといった若手GKがおりますが、OHルーヴェンで昨シーズンから正GKを務めているTobe leysenも注目の若手GKです。
Leysenは昨シーズン27試合に出場してFbrefのPsXG+4.2、Fotmobのゴール阻止効果だと+4.48の好スタッツを収めており、セリエAのインテルからも注目を集めました。これらの数値は単純に今シーズンブンデスのRBライプツィヒに移籍したヘンクのMaarten Vandervoordtの昨シーズンリーグ戦PSxG+3.4/ゴール阻止効果+3.60、セリエAのパルマに移籍したシントトロインデンの鈴木彩艶のリーグ戦PSxG+3.5/ゴール阻止効果+4.16の数値を大きく上回っております。
今シーズンも第二節のヘンク戦でチームを勝利に導く活躍を見せており、国内外のリーグでも注目を集めるGKになれるのではないかと期待しております。

・攻撃的MF Konstantinos Karetsas 2007年11月19日生まれ

昨シーズンの優勝プレーオフでデビューを果たしたヘンクの神童昨シーズンのベルギー二部では6G4Aの好成績を残し、昨シーズンの冬の移籍市場以降もマンチェスター・シティやエールディビジのアヤックスなどからも注目を受けている逸材でもあります。
今シーズンはヘンクのトップチームで開幕戦からレギュラーを務めており、今季からヘンクの監督を務めるThorsten Finkは昨シーズンのシントトロイデンだと若手プロスペクト大好きの試合に固定的に起用する、時には心中する事すら厭わない監督でもありますのでチェルシーから移籍の噂があるPenders同様にレギュラー起用されていくのだと思います。

・守備的MF 藤田譲瑠チマ 2002年2月16日生まれ

昨シーズンのシントトロイデンだと所々の試合でドリブルなどの個人技で光るものを見せていたが、シーズン全体で好パフォーマンスを維持する事が出来なかったためフィンクの信頼を得られずの控えのポジションでした。
今季のシントトロイデンはレギュラーの座を掴んでいた主力メンバーの大半が移籍しており、藤田はU-23代表でのアジアカップ・パリオリンピックでのも活躍を見る限りクラブがベルギーリーグで確実に残留するためにも戦力として必要不可欠な存在になると思われます。
昨シーズンのような好パフォーマンスを維持する事が出来ない場合、個人としてのステップアップやクラブの残留に影響を齎してしまうのは明らかであるので何としても今シーズン奮起してほしい存在の一人。

・CB Matte Smets 2003年生まれ1月4日生まれ

昨シーズンのシントトロイデンだと攻撃的MFのJarne Steuckersや守備的MFのMatthias Delorgeの二人と同じようにレギュラーとして大きく活躍した下部組織出身の若手高い守備能力とフィード能力を持つ左利きのCBで、シーズン終了後は欧州五大リーグのチームから移籍オファーが届いたが監督のFinkと同僚のSteuckersと同様に15歳までを過ごしたヘンクに帰還した。
ベルギー代表監督であるDomenico Tedescoも注目しているCBの逸材で、今シーズンのヘンクで大活躍する事が出来れば更なるステップアップの道を進むことが出来るベルギーの若手選手の一人

・CF 後藤啓介 2005年6月3日生まれ

昨年のジュビロ磐田で7G1Aの活躍を見せチームのJ1昇格に貢献したセンターフォワードの逸材。2024年1月にベルギー二部に所属するアンデルレヒトのBチーム「RSCA Futures」に期限付きの内容で移籍し、PKを2本決めながらも14試合6G1Aの活躍でチームのトップスコアラーとして貢献した。
調べた限り、ベルギー二部リーグで好成績を収める選手はベルギーリーグやオランダ・エールディビジのトップチームへとステップアップ出来る環境のようなので、RSCA Futuresで残り16試合ストライカーとして大活躍する事が出来れば今シーズンの後半戦でベルギーリーグデビューを果たせる可能性を持つ逸材として注目している逸材の一人に名前を挙げています。
今季、彼は「RSCA Futures」からトップリーグにステップアップする事が出来るか!?

・CB Luca Vusukovic 2007年2月24日生まれ

昨シーズン、プレミアのトッテナムがクロアチアのハイデュク・スプリトから約1400万€で獲得したCBの逸材。今シーズンはトップリーグでの経験を積むためにベルギーのウェステルローにレンタル移籍となっており、リーグ戦が開幕する第一節のセルクル・ブルッヘ戦からCBのレギュラーとして起用。
第二節のメヘレン戦でもスタメン起用されており、移籍後初ゴールを挙げる事が出来たがどうも後半開始直後に交代。交代の内容は負傷交代であるようだが、17歳でベルギーリーグのレギュラーを務められる若手は居ないため無事を祈りたい。

後書き

本noteの内容は個人的に前々から作成したいと思っていたnoteの内容を一部流用していますが、調べる事が出来た内容をこの記事で反映する事が出来て良かったです。ヨーロッパのステップアップリーグにおける制度面を調べる時に他の方からアドバイスを貰っていたため、ご助言頂く事が出来てありがとうございました。
昨シーズンにleysen・Smettsといった若手のプレーは確認する事が出来ていたが、KaretsasやVuskovicといった若手もまだプレーを確認出来ていないため絶対に確認してみたいです。
注目してる選手にヘントのDelorge・横田、ヘンクのSteuckersなどを挙げる事が出来なかったのは心残りでもあるのは確かです。

ご一読いただきありがとうございました、また新しく自分が作成した記事を読む機会があるのであればその時はお願いします。





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