早すぎた口述対策の実現【試験対策編】
みなさま、こんにちわ。OLS編集部です。このまえがきを書いているのは、2022年1月。ちょうど短答直前期ということもあって、短答対策を頑張っている方も多いと思います。
さて、このたび一足先に予備試験最終合格を果たした小牧くんから、口述試験対策についての記事が届きました。
「今は口述のことなんて考えている余裕ねーよ」と思われる方もいるかもしれませんが、実は短答プロパーの知識って口述試験にも超役に立つ……らしいですよ!!(小牧くん談)
短答対策は単調で苦痛と言われがちですが、最後まで役に立ってくれると思えば多少やる気も湧いてきませんか?
5月までモチベを保つためにも、本記事をうまーく役立てていただければと思います。
それでは、ここで小牧くんにバトンタッチ。
さっそく本文とまいりましょうか。
突然の口述対策のはじまり
予想もしなかった論文合格の翌日、いよいよ口述対策が始まります。
私は論文に受かるとは思っておらずゆっくりしていたので、突如、3か月ぶり3回目の直前モードに引き戻されてしまったことに、困惑していました。
しかし、2週間は期間としては短いように見えても、実際に駆け抜けるとなると非常に疲れます。
途中の息切れを防ぐためにも焦りは禁物です。
発表当日は、模試の日程確認だけを行い、実際の勉強は翌日からとすることをお勧めします。
私も発表当日はやることの整理だけを行いました。
ちなみに最後の晩餐は、もちろんビール(←結局、2週間毎晩飲みました……)
とりあえず、やるべきことを整理してみた
発表当日の夜、まずはやることの整理を行いました。
私の場合は、OLS「早すぎた口述対策の実現」の内容を思い出すなどして、
をピックアップしました。
以下、1~3それぞれについて、何をどのように使ったのか、どのような使い方がおすすめなのか、私の場合の実例を余すことなくお伝えいたしますので、ぜひ参考にしてみてください。
1 練習
できる限りのツールを使って練習相手を探しましょう。私がお願いしたのは、
・予備校模試4社
・OLSの安田先生
・twitterなどで知り合いの先生方2人
・ココナラ
・受験仲間
です。のべ合計13回に渡りました。(すべてZOOMなどオンラインです。)
これに加え、なんと、法律知識の無い家族!
法律の知識は当然ありませんが、再現集を読み上げてもらって、答えを言って、という程度であれば練習になります。
口述はイメージが何より大事なので、できる限りの手を尽くしましょう。
インターネットがある時代において、社会人だから、一人暮らしだから、周りに受験生がいないから等はすべて「甘え」(※1)です。
練習の題材としては、まず何と言っても口述再現集がオススメです。
予備試験合格者の方であれば、ご自身が合格した年度のものを使っていただけるため、再現度が高いと思います。
また、受験生仲間には、基本刑法の事例部分を読み上げて頂くことをお願いしました。
成立する罪責や異なる立場からの説明をして、評価していただくことにより、刑事科目の効果的な対策となります。練習相手も受験生なので、少しは相手にもメリットがあったとしたら嬉しいですね。(※2)
この他、予備校やOLSの安田先生はオリジナルの出題をして下さりました。(なんと、試験前日に出題して頂いた安田先生のオリジナル問題は本番的中しました!)
※ 1 編集部注
小牧くんは地方在住の勤め人です。インターネットの恩恵により、地方在住民のハンディがなくなっているのは朗報といえるのではないでしょうか。
※2 編集担当コメント
基本刑法の読み上げ会に、読み上げ側として参加していました。当日はひたすら「基本刑法の事例を読み上げる→答える」作業を繰り返した感じです。ほぼノータイムで答えが返ってくる様子を見て、「目指すのはこのレベルなんだ……」と身が引き締まる思いに。ものすごく勉強になりました! 感謝です!
2 教材の繰り返し
口述対策は2週間しかないので、迷走している暇はありません。決めた教材を何度も回します。
私が選んだ教材は以下のとおりです。
・新版 完全講義 民事裁判実務の基礎 入門編(民事法研究会)
・新版 完全講義 民事裁判実務の基礎 続編(民事法研究会)
・基本刑法Ⅰ 総論(日本評論社)
・基本刑法Ⅱ 各論(日本評論社)
・総合講義一問一答 刑法(アガルート)
・入門刑事手続法(有斐閣)
教材の選択は、初見のものはやめておいた方が無難だと思います。これまでにも使ってきた教材から選びましょう。
(1)民事
民事系は要件事実から出題されるため、「民事裁判実務の基礎」のCASEを見て、訴訟物、請求原因事実などを即答できるようにしました。2週間で5周くらい繰り返しました。
正解できたかどうかの印を日付とともに付けておくと、当日の会場での見直しを含む復習にとても便利です。
口述試験では、「民事裁判実務の基礎」の入門編に掲載されていない要件事実も出題されることがあり、基本知識を応用すれば現場で導き出すこともできると言われています。しかし、私は念のため、続編も含めて対策を行いました。
なお、「紛争類型別要件事実」という本を使う方も多いとのことで、私もアマゾンで購入しました。しかし、開いて1分くらいで、「自分には向いていない」ということで使用対象から外しました。
教材には個人ごとの向き不向きがあります。短期決戦ですので、こういった思い切りも必要です。
(2)刑事
刑事系は、読み上げられた事例について罪責や保護法益が問われます。そこで、事例が豊富な基本書「基本刑法」の事例から、問題となる罪責と保護法益を即答できるようにしました。こちらも2週間で5回くらい繰り返しました。
さらに、基本刑法は、一つの事例について複数の見解からの考え方が掲載されているので、それぞれを理解することに努めました。
例えば、強盗罪が成立するために、実際に反抗を抑圧される必要があるか?といった点について、通説と判例それぞれの見解を説明できるようにするなど、深い学習をするのに適したテキストです。
これに加えて、構成要件の定義を即答できる必要があります。ここは具体的に説明した方が分かりやすいので、以下のイメージをご覧ください。
<イメージ>
上記のやりとりにおいて、「反抗を抑圧するに足りる程度の有形力の行使又は害悪の告知」というフレーズを即答できる必要があります。
そのため、アガルートの「総合講義一問一答 刑法」を使用しました。
この教材は、様々な論点や定義が一問一答になったものであり、様々な問題が掲載されていますが、私は構成要件の定義に関する問いにチェックを付けて、それだけを繰り返しました。
チェックした問いだけであれば1時間あれば回せるので、ほぼ毎日繰り返しました。
また、刑事実体法だけでなく、刑事訴訟法の知識も問われるため、「入門刑事手続法」(※1)というテキストを使用し、刑事手続の流れを押さえました。
論文では扱う機会が少ない公判前整理手続が頻出であるなど、短答以来触れていなかったテーマを思い出す必要があります(※2)。いくつか定評あるテキストがあるので、好みに合ったものを使いましょう。
※1 編集部注
小牧くん曰く、「入門刑事手続法」(第8版)は読みやすくてオススメとのこと。もっとも「基本刑事訴訟法 手続理解編」と内容的には被るという話もアリ。自分の好きな本を使えばよいのではないでしょうか。
※2 編集部注
論文試験の合格発表前、完全諦めモードだった小牧くんは刑訴の肢別本を再開させており、そちらも結果的に口述対策に役立ったのではないかという説がある。
3 条文暗記
口述試験では、過去に条文ナンバーを問われたことがあります。
令和2年、令和3年は聞かれなかったという声が多いです。しかし、民法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法・弁護士法・弁護士職務基本規程について、主要な条文の条文ナンバーを覚えておくようにしましょう。
とはいっても、条文ナンバーを覚えるなんて、気が遠くなりますよね?そこで、一つコツがあります。
例えば条文の数が多い民法の場合、総則・物権・担保物権・債権総論・債権各論・親族法・相続法といった分野ごとに、それぞれ何条から何条までが規定するかを覚えます。その次に、主要な条文の大まかな位置を押さえます。最後に、過去に条文ナンバーが問われたことのある条文の具体的なナンバーを暗記します。
こうすれば、問われたことのない条文が問われたとしても、大まかな位置は指摘できるので、試験委員も大目に見てくれる可能性が高く、かつ他の受験生も答えられると考えられる条文ナンバーは確実に答えることができるようになります。
なお、具体的な条文ナンバーを暗記するために、私はスマホ上で使える単語帳アプリを活用しました。
暗記の方法は人それぞれであるため、ぜひ工夫してみてください。
おわりに〜編集担当より
編集担当は偶然、小牧くんの口述対策に2回ほど立ち会う機会がありました。いずれの回も彼の口から細かな手続きや構成要件がスラスラ出てきて、「うおおおお、さすが短答法律科目8割はダテじゃないぜ」と唸った記憶があります。
論文合格発表から本番まではわずか2週間しかありません。しかし、それまでに積み上げてきた知識とラストの追い込みがあれば社会人でも本番で上位層に食い込むレベルの口述対策ができるのだと感じました。
と同時に、普段の短答対策がそのまま口述対策に直結するというイメージを掴むことができました。編集担当自身は短答初合格を目指す身ですが、先々まで見据えて本番まで勉強を行なっていきたいです。
本記事が予備試験最終合格を目指す皆さまのお役に立てたのであれば幸いです。
(本文執筆:小牧一 編集:OLS編集部)
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