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「レジリエンス」ある組織を目指す、全てのリーダーへ

初めまして。
「社会課題を成長機会にするクリエイティブチーム」olly(オリー)の依田と申します。

今回は「『レジリエンス』ある組織を目指す全てのリーダーへ」というテーマでお送りします。

「レジリエンス」とは
「外的衝撃にも折れてしまわず、しなやかに立ち直る強さ」
のことを指します。

(コスモスは中々に茎が折れないらしい)

これは「困難な状況に直面しても、乗り越え適応していく能力」という個人のメンタルヘルスの話でよく出てくる用語ですが、
この不確実な社会の中で、ダイバーシティを重要視する組織として活動するための力も指します。

本記事では「レジリエンス」が高い組織を作るために、まず取り組んでみて欲しいことを、以下の書籍をメインに引用させて頂きながらお話ししていこうと思います。

枝廣淳子「好循環のまちづくり!」(岩波新書2021年)

本の主な内容としては、タイトルにもある通り「まちづくり」に関するもので、地域創生に取り組む際のノウハウやコツが、筆者である枝廣さん自身の経験も踏まえて書かれており、大変興味深い内容ばかりでした。

大きなテーマは「まちづくり」ですが、「レジリエンス」という考え方は組織の在り方にも通じると思ったので、このテーマを選びました。

この記事を書くきっかけが、私が<2023年4月から9月>にかけて開催された【第3期未来創造ユースチーム】に参加し、そこでも書籍と同じ内容を筆者である枝廣さんから直接ご教授頂いたという経緯があったからです。

https://www.miraisozo-youth.com/team-6

ちなみにユースチームの最終回には、念願の熱海会場に足を運ぶことができて、熱海の海と街並みを堪能しました!(他はオンラインで参加)


意外にも渋谷から熱海までは電車2本だけ!
往復で三千円かかるけど、行くまでも楽しくてまた行きたい。(プチ旅行気分を味わえます。)

では本題に入っていこうと思います。
「未来創造ユースチームって?」から説明していくので、誰一人取り残しません。(そんな社会を目指して)

楽しみながら、ぜひご一読ください。


未来創造ユースチームとは

サクッと解説!未来創造ユースチームって?
「持続可能で幸せな未来を創り出したい」と願う29歳以下の若者に、環境ジャーナリストとして活動されている枝廣淳子さんが中心となって、ビジョンを立て実行するまでの考え方や、SDGsの目標を日本や世界の具体的な事例を取り上げながら「望ましい未来」を創り出すために行動する若者を育てるプログラム。

【目的】:共に学び合いながら、未来を「変える力」を身に着けること

【スケジュール】
ゼミ⑴ 4月15日(土)
『バックキャスティングでビジョンをつくる』
ゼミ⑵ 5月20日(土)
『「システム思考」でつながりから構造を考える』
ゼミ⑶ 6月17日(土)
『創り出したい変化の連鎖をデザインする』
ゼミ⑷ 7月15日(土)
『プロジェクトを進めるための効果的なコミュニケーション』
ゼミ⑸ 8月19日(土)
『社会的合意形成の進め方』
ゼミ⑹ 9月16日(土)
『振り返りと今後に向けて』

【約束】
・積極的に参加・発言
・年齢も背景も違う仲間が参加しているので、配慮すること
【メンバー】:約30人、小学生~29歳、日本各地・海外からも参加
【会場】:熱海・オンラインでも可能
【費用】:大学生以上は6,600円(小学生から高校生までは無料!)

「レジリエンス」を高める3ステップ

「レジリエンス」を高めるには以下3つのステップを、時間をかけて取り組む必要があります。時間や労力をかけた分だけ、地盤が固まり、(手段ではなく)目的で挫折する機会も減るので、一つずつ見ていきましょう。

ステップ①足を踏み出す方向を定めよう
1:「バックキャスティング」で想像を膨らまそう
2:ビジョンの描き方のコツ
ステップ②その背景には何がある?
1:「システム思考」とは
2:ループ図で頭を整理しよう(参考例あり)
ステップ③好循環を生み出す仕組みを考える
1:構造のハブはどこ?
2:指標の重要性
【コラム】このステップを踏むプロセスが重要な理由

ステップ①

まず一番最初に考えなければいけないのは、「どの方向に動きたいか」つまり、「何を目指したいか」を定めることです。

「いや、最初からむずい」と思ってしまう方もいると思います。

そんな方におすすめしたいのが、「バックキャスティング」という方法です。

1:「バックキャスティング」で想像を膨らまそう

「バックキャスティング」とは
「将来から現在を振り返る」、つまり「今、何ができるか、できないか」という現状を置いといて、「ありたい姿は何か」を最初に考える方法
を指します。

これと対比されるのが、「フォーキャスティング」というもので「現状立脚型ビジョン」とも呼びます。現状をベースに来年の計画や、2、3年後の未来を考えるのは、これの類です。

それに比べ、「バックキャスティング」には以下の特徴があります。
・「フォーキャスティング」での未来より、大きな変化を創り出せる
・共有しているみんなの結束力が高まる

「ビジョン」は、「見えてくるもの」ではなく「見るもの」なのだ!

29項

じゃあ具体的に「どうビジョンを立てれば良いのか」を説明していきます。

2:ビジョンの描き方のコツ

コツとしては、以下の3つがあります。

コツ①
「将来のある地点」を設定し、その時の理想の姿やありたい姿を自由に想像する。

遠い未来なので、10年後や20年後などの「将来のある地点」を設定しましょう。
「理想が100%実現したら?」「全てが思うようになったら?」
皆さんが想像する理想的な未来は何でしょうか?

「いや想像できないよ〜」という声、届いてます。
そんな方はぜひコツ②を試してみて下さい。

コツ②
現状と比べて、「増えてほしいもの」・「減ってほしいもの」・「変わらずにあってほしいもの」は何かを考える。

現状からの差分」であれば、想像がつきやすくなるかもしれません。
これは複数人とビジョンを考える際にも、とても役に立つ方法です。

本にある「まちづくり」での例を紹介すると

増えてほしいもの:「子供の数」「お店の種類」「みんなの笑顔」
減ってほしいもの:「空き巣や空き地」「犯罪」「ひとりぼっちの高齢者」「ストレス」「配偶者の残業」
変わらずにあってほしいもの:「人とのつながり」「子供たちの挨拶」「美しい里山の風景」「元気な高齢者」

といった具合に、「できるだけ様々な方向性から」考えることも、社会に本当に必要な変化かどうか、を考える上で重要です。

コツ③
「自分たちの声を引っ張る自分たちの声に負けない」こと!

最後のコツは、「そんなの無理でしょ」という自分自身のツッコミに、「その方法は後で考えるから、ちょっと待っててね」といってあげる事です。

先述した通り、バックキャスティングのビジョンは大きな変化や飛躍を生み出すものです。

そのため、怖がらず思いっきり楽しく理想を描くことが何よりも重要です。

その際に注意してほしいのは、
ビジョンと「手段」を区別すること
方法論の方がイメージしやすいため、手段の方が最初にアイディアとして出やすいことも念頭に置いておきましょう。「それは何のため?」と繰り返し問いかけると、手段からビジョンを導き出すことができます。

・他との比較や否定形では描かないこと
肯定形のビジョンの方が魅力的に映ります。

・自分(たち)らしい要素を入れること
自分たちのDNAを確認し、独自性を組み込むとさらに良い!

・内外の情勢や重要な側面を取り入れること
長期的な視点で見るために、今後ビジョンに関わるような重要事項を学ぶことで、幻想的ではないビジョンを作れます。

また組織でビジョンを決める際には
楽しいプロセスを設計する
・ビジョン作成のプロセスをできるだけ透明にする
を大切にするとさらに良いです。

ステップ②

「バックキャスティング」で、「あそこを目指したい!」が見つかると、すぐに行動したくなりますが、その前に「構造」を考えます。

つまり、そのビジョンを目指すにあたっての問題点や「その背景にあるものは何か」を考える作業です。

「構造を考える必要性がよくわからん」と思う方は多くいらっしゃるかもしれませんが、これはビジョンを立てるのと実は同じぐらい重要な事なんです。

なぜ重要かというと、今自分たちが見えているのは「氷山の一角」に過ぎないから。

あなたが表面上の問題を解決しようとした時、それは違う方向に悪影響をもたらしているかもしれません。これはまさに本末転倒そのものです。

それを防ぐために、また最優先で取り掛かるべきものは何かを考えるために、この「構造」はしっかり考える必要があります。

1:「システム思考」とは

そこで今回ご紹介したいのは、「システム思考」というものです。

「システム思考」とは
個別の要素ではなく、状況をシステムとして捉えよう
という思考法のこと。

システムというと難しそうに聞こえますが、「様々な要素が繋がっている全体のこと」をシステムと呼んでいて、

本質的で効果的な解決策を、副作用を予期・軽減しながら考えることができる」ため、国際機関やビジネスシーンでも使われています。

ここで、誰もが陥りやすい「対処療法」について少し解説しておきます。

「対処療法」とは
「目の前の問題や問題の症状だけを見て、『何をしたら良いか』を考える、『出来事→出来事』レベルの反応」
のことを指します。

まさに「システム思考」とは真逆の、目先の問題をその場で解決しようとしてしまう方法です。そのためいつまで経っても根本的課題が解決できず、疲労感だけが溜まってしまいます。

誰かの人格を非難する前に、現状のどういう「構造」がこの好ましくない結果を生み出しているのかを考える点で、かなり生産的でストレスフリーな思考法だと言えます。

2:ループ図で頭を整理しよう

では具体的にどう構造を考えれば良いのか。
そこで用いたいのが、以下2つのループ図です。

ループ図は、「いつもこうなってしまう」の構造やパターンを可視化するのに、大変有効です。
またどこにどんな原因があるかを考える機会になることで、問題の本質がどこにあるかを見定めることが出来ます。

ポイントは、「名詞形」で書くこと。
(掲載しているのは、本書のまちづくりの例です。)

①矢印で繋げるループ図

「同」=「同じ方向に変化を伝える」
「逆」=「逆の変化が起こる」
(消費力が増えると、地域外での消費も増えて、地域での消費が少なくなる)


実際に作成したループ図の例(す、すごい)

②中心に置いて広げるループ図

②は中心に「(増やしたい・減らしたい)大事なもの」を書きます。
左には、中心のもの「に影響を与えるのもの」
右には、中心のもの「が影響を与えるもの」
を書いてみて下さい。

依田の例:中心「ポジティブな姿勢」

私の場合、大事なものは何事にも「ポジティブな姿勢」だと考え、そこでそれぞれ影響を与えるもの、出るものを書き出してみました。
右左それぞれも繋がりが見えて、この姿勢は正のループを生み出すことがわかりました。(やっぱり心身の健康が大事)

少し面倒だなと感じてしまうかもしれませんが、一度騙されたと思って試してみて下さい。こんな繋がりあったんだ!って絶対新しい発見があります。

ステップ③

「ビジョン」を作って、「構造」まで考えられれば、あとは好循環を生み出す仕組みを考えます。

1:構造のハブはどこ?

先ほど「構造」を考えてもらった後に、「矢印がたくさん出ている要素」ありませんでしたか?
そこは所謂、構造上の「ハブ」的要素で、そこを変えることが出来れば様々な側面に波及効果を生み出すことが出来ます。

私の例で言うと、「健康」から2つの矢印が出ているのでこれがハブ的要素になりそうです。

つまり「ポジティブな姿勢」を増やしたいのであれば、まずこの「健康」についての取り組みを行うことが優先だということになります。

時間や労力が有限な中で「優先順位をつけること」はとても重要です。

作ったループ図を見て、どこにフォーカスすれば大きな波及効果を生み出せるかを考えてみましょう。

2:指標の重要性

では、最後に「指標の重要性」を説明しておこうと思います。

指標は「望ましい方向にどれくらい進んでいるか」を図るものです。
また指標のパワーは凄まじく、人を動かす力があるそう。

特に私が、「指標の重要性」について本書の中で納得したのは、
・自分たちにフィードバックでき、着実に改善や向上できること
取り組みへの理解や共感を広げられること(説明責任にも)
の2つ!

なので、達成したい何かがある以上、この「指標」は絶対に設定すべきです。

ここで指標を考える際のポイントも5つ紹介しておきます。

①目的によって「何を測るか」が決まる
例)体重を落としたいなら、「体重の数値」
脂肪を落としたいなら、「脂肪率」

②先行指標・遅行指標を区別する
先行指標:「実際の物事が動く前に動くもの」
遅行目標:「物事が動いた後に動くもの」
例)お酒を飲んでいる量=先行、頭痛の具合=遅行
多すぎる仕事量=先行、カフェインに手を伸ばす頻度=遅行

③「測りやすいものを測りがち」に注意する
指標として妥当かを、再度検討しよう

④測りタイミングや頻度を考慮する
「効果が出始めるタイミングか?」
「その後の効果は続いているか?」

⑤人が動きたくなる指標か?を考える
「多くの人がその増減に注目したくなるか」の視点も大事!
お堅いものではなく、これは達成したい!と思ってもらう

【コラム】このステップを踏むプロセスが重要な理由

ここまでざっくり3ステップのプロセスを見てきましたが、一朝一夕では成し遂げられない内容ばかりで、少し腰が重くなってしまうかもしれません。

ですが、このようなプロセスから生まれるものが

「希望」

だと枝廣さんは仰っています。

「自分たちは何を目指し、どうなりたいのか」が明確で、どう動けば良いかが具体的に可視化でき、それを理解しサポートしてくれる人が大勢いるなんて状況は、リーダーにとっては最高ですよね。

なので、「ビジョンを定める」・「構造を考える」・「好循環を生み出すシステムを考える」の三つは、組織を主導する前にリーダー全員が押さえておくべき内容だなと感じています。

最後に

いかがだったでしょうか?

「レジリエンス」を高めて、地盤が強固な組織を作り上げるには、闇雲に動き出すのではなく、動き出す前が肝心。

もちろん、ビジョンを固める前にやってみないとわからないこともあるかもしれませんが、まずは「心を合わせる」時間を意識的に取ることが必要そうです。

ollyとは

ollyは、「社会課題を成長機会にするクリエイティブチーム」として渋谷を中心に活動している団体です。

2023年10月現在で60名近くの学生が参加していて、学校もバックグラウンドも違うメンバーが集っています。

「学生の成長機会」を作ることを目的に、社会・環境問題を軸にしたプロジェクトを運営しています。

もし興味を持ってくださった方がいらしたら、以下のSNSにも遊びに来てくださいね!
ODA的組織を目指してまだまだ奮闘中ですが、その経緯も見守ってくださると嬉しいです。

HP:https://www.olly3.com/
Instagram:https://www.instagram.com/olly.shibuya/
応募先:https://activo.jp/articles/87315



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