ラッキーの自分語り(アンコール) / 明日花のラブレター
ラッキーのシリーズが好評でしたのでアンコールを書かせていただきました。
前回はこちら↓
こんにちは!
僕はオスのラッコ、ラッキーだよ!
マリンピア日本海からお婿さん候補としてスマスイに来たんだけど、そこで明日花ちゃんに会って一目惚れしたんだよ!
恥ずかしながら、中編で話したように、僕はエッチするのが下手なんだ。だけど、その様子を興奮しながら撮影してた変態なお客さんがいたからちょっと見てみて。
うわー……ラッコのエッチ見て興奮する人間なんてちょっと引くわ…。
けど、これ見るといろいろ分かる。
やっぱり明日花の鼻を咬むほど激しくは出来てない。歳のせいもあるけど、もうちょっと頑張ってもいいんだろうな。だけど明日花のことあまり傷つけたくないから…。本当に愛していても。
「何書いとるんラッキー?」
「あ、ちょっ、みないd」
「あー…。ラッキーこんなん書いとったん…。『明日花のことあまり傷つけたくない』やって?まだそんなことゆうとるん?」
「ごめんって…。」
「この際やから言うとく。ラッキー。男ならもっと大胆に襲え!それがラッコの子作りや!!」
「そうだよね…。分かった。」
たしかにそうなんだよ。
僕は明日花のことが大好きだ。子作りもしたい。だけど傷つけたくない。
はぁ…。情けないやつだな…。女々しい。
「けど、そういうところがラッキーのええトコなんよねぇ。」
「まだ見てたの!?」
「まあラッキーがそういう性格なんはずっと前から知っとるから、なんぼ言うてもしゃーないんやけど」
「ひどいよ明日花ちゃん…。」
子どもを残せたら幸せだったんだろうけど、生まれたらきっと明日花と引き離されてたんだろうなあ。赤ちゃんとお母さんラッコにとっては、たとえ僕みたいなのでも、オスのラッコは危険だから。
そういう意味では、ずっと一緒に暮らせてよかった。
はやく明日花を迎えに行きたいと思っちゃうけど、明日花には長生きしてほしいとも思うから。ぐっと我慢する。
だけど、その時が来たら、必ず僕が迎えに行くからね。
空の上でも、一緒にいようよ。絶対だよ。
(おわり)
【明日花のラブレター】
ラッキーへ。
はじめはちょっとしつこいなと思ったけど、こんな性格なんやと受け入れてからは、そのことは気にならんようになった。しつこいけど。
ラッキーは本当に優しい男やね。いつもウチのこと構ってくれる。毛づくろいしたりじゃれ合ったりするのは嫌いじゃないんよ。だけど、ごはん横取りするのは勘弁してよ。ラッキーは十分なごはんもらってるはずやねんから。
ウチらはラッコやから、メスはそのオスを受け入れるかどうかしかないねん。まあ強引に襲うオスもおるんやけど。だから、オスは好きって言いたいならメスを攻めるしかないねん。
ラッキーにとっては、ウチが手で払いのけたりするの、嫌われとるって思うんかもしれん。けど、あれ別にそんなに大げさな意味はないから。どんなに仲がよくても、今はほっといてほしいって思うこともあるやん。そういうこと。端的に言えば、しつこいってことだけど。そう言うたらまたラッキー傷つくからなあ。
ラッキーが、ウチとじゃれ合ったりエッチしたりしたいと思って、ウチにちょっかい出した後、ウチがその気なかったとき、何事もなかったかのように顔ゴシゴシする癖、ウチは知っとるで。「なんでもないよー…!」って言いたいんかもしれんけどバレバレやで。
なんかこれではラッキーに文句ばっかり言うとるみたいになっとるから、話戻すで。
恥ずかしいからあんまり言わんかったけど、もっと早く言うといたらよかったわ。
ウチは、ラッキーのことが好きや。愛しとうよ。
ひとりになった今でも、ラッキーのことちっとも忘れられへんよ…。
夢でもええから会いに来てほしいんよ。
正直ひとりは寂しいんよ…。
ラッキーと最初に会ったときウチ13歳ってなかなかのおばちゃんやったけど、死ぬまでずっと愛してくれてありがとう。
来年の2月になったら、ウチもう23になるねん。ええ加減迎えに来てほしいと思っとうけど、ラッキーちっとも来てくれへんな。もう歳やし、いつ来てくれてもええんよ。ウチはラッキーに会いたいから。
空の上でもずっと一緒やで。
(おわり)