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「タイムコード」


アリサ・カシノバは、タイムコードのエラーに目を凝らしていた。2035年、過去を再現するシミュレーションシステム「タイムコード」は、膨大なデータを使い、歴史上の出来事や未来予測を行う。だが、2047年の未来データが、突然昨日と異なる様子を示していた。画面には荒廃した都市と、絶望的な風景が広がっている。


「2047年の都市が崩壊してる……」アリサは小さく呟いた。


「それはバグでしょ?」同僚のジナが答える。「過去や未来のデータなんて、精度の問題よ。システムが不安定なんじゃない?」


アリサは眉をひそめる。だが、データの変化は単なるバグでは説明がつかないほど精密だった。昨日は繁栄していた都市が、今日は廃墟と化している。そして、その原因は不明。だが彼女の胸の中で膨れ上がる疑念は一つだった。


「もし、私たちが触れたデータが、単なるシミュレーションじゃなかったとしたら?」


タイムコードが本物の過去や未来にアクセスしているのだとすれば、その変化には重大な意味がある。アリサは震える指でデータを遡り、数日前にタイムコードが記録した出来事にたどり着いた。彼女がテストを行った日――その瞬間に未来が変わったのだ。


息を呑んだアリサは、手元の端末を握りしめた。彼女の行動が、世界の運命にどんな影響を与えたのかも分からない。そしてその答えを知るために、彼女は一つの決断を下す。


「もう一度、アクセスするしかない」


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