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「未来への旅人」


広大な砂漠の真ん中に、一人の旅人が立っていた。彼の名はレオ。手にするものは何もなく、目の前には、どこまでも広がる砂の波が続いているだけだ。彼が信じられるものはただ、自らが選んだ「歩む」という行為と、自分という存在のみだった。


彼の足取りは重く、靴の中にはすでに砂が入り込んでいた。時折強い風が吹き、砂嵐のように周囲の視界を遮る。しかし、レオは止まらない。この旅の始まりは、ほんの小さなきっかけだった。学問や理論に埋もれた日常の中で、彼は真実を求めていた。だが、どれほど知識を重ねても、答えが得られることはなかった。


「知識は無限だが、それが真実であるとは限らない」


そう思い立ったとき、彼はすべてを捨て、この果てしない砂漠を歩く決意をしたのだ。自らが信じるものを見つけるために。


旅を続ける中、彼は疲労と孤独の影に覆われながらも、心の奥底に静かに問いかける声を感じていた。夜が訪れるたび、彼は星空を見上げ、自分がどれだけ小さな存在であるかを思い知る。それでも、彼は星の光の中に微かな安らぎを見出し、再び旅を続ける力を得た。


数日が過ぎた頃、彼の前に不意に影が差し込んだ。老人がそこに立っていた。黒いローブを纏い、乾燥した唇に冷笑を浮かべながら、静かにレオを見下ろしている。


「お前は何を探している?」と老人が問うた。


「真実を。そして自由を」レオは力のこもった声で答えた。


老人は薄く微笑みながら、やや嘲るように言った。「それはお前にとって、どれほどの価値があるものなのか?」


レオは言葉に詰まり、しばらくの間沈黙した。その問いが自分の内面に深く突き刺さる。彼は真実と自由を探しに来た。しかし、それが具体的にどのような形であるべきか、何も決めていなかったのだ。


「お前が追い求めているものは、目に見えるものではないのだろう?」老人が再び問いかけた。「自由とは何か?真実とは何か?それは誰かから与えられるものなのか?」


レオはその問いに答えられないまま、砂の上に立ち尽くしていた。老人の目は厳しく、彼の表情の裏には何か重要なことが隠されているように感じられた。


「お前は、自分自身が問いの源となることだ」と老人は言い残し、まるで幻のように砂の中へと消えていった。


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