地獄めぐりファンタジー:嘘つき閻魔と十王裁判第三章 閻魔大王の意外な過去 #創作大賞2024 #漫画原作部門
「しーっ! 静かに!」
騒然とする裁判所内に、ガイコツの甲高い声が響き渡る。
「な、な、なんじゃこりゃあ!?」
机の下から這い出てきた閻魔大王は、真っ青な顔で震えていた。
「閻魔様…嘘、ついてましたね…?」
恐る恐る尋ねると、閻魔大王は肩を落とし、ボソボソと語り始めた。
「わ、わしは…本当は嘘が大嫌いだったんじゃ…。昔は、どんな小さな嘘も見逃さず、厳しく罰してきた…」
「じゃあ、なんで…?」
「地獄の仕事は、想像以上に過酷でな…山のような書類仕事、終わらない裁判、モンスターペアレントならぬモンスター罪人の対応…。毎日毎日、休む暇もなく働かされ…」
閻魔大王は、大きなため息をついた。
「いつしか、嘘をつくことに罪悪感を感じなくなっていたんじゃ…。自分を守るために、楽をするために…。そして、ついには、嘘をついていることすら、分からなくなっていた…」
閻魔大王の告白に、裁判所内は静まり返っていた。
「閻魔様も、大変なんですね…」
思わず同情の言葉が漏れる。
「…違う! これは、言い訳にはならん! わしは、閻魔の資格がない…」
閻魔大王は、自責の念に駆られて、頭を抱えてしまった。
「閻魔様、諦めないでください!」
その時、意外な人物が声を上げた。
「え…?」
声のした方を見ると、そこにはガイコツが立っていた。
「閻魔様は、確かに間違えました。でも、閻魔様だって、完璧じゃない。誰でも、間違えることはあります」
ガイコツは、閻魔大王に近づき、こう続けた。
「閻魔様が、本当に閻魔の資格がないと思うなら、もう一度、嘘をつかないと誓ってください。そして、これからは、罪人たちと真摯に向き合い、正しい裁きを下していくと約束してください」
ガイコツの言葉に、閻魔大王は顔を上げた。
「ガイコツ…」
「閻魔様なら、きっとできます。私は、そう信じています」
ガイコツの真剣な眼差しに、閻魔大王の目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
「…分かった。わしは、もう一度、閻魔として、やり直す! 嘘をつかずに、誠心誠意、罪と向き合っていくことを、ここに誓う!」
閻魔大王は、力強く宣言した。
「閻魔様…!」
私は、そんな閻魔大王の姿に、かすかな希望を感じていた。
第三章はここまでです。
嘘つき閻魔は、更生できるのか!?
そして、誠の裁判の行方は…?
地獄めぐりファンタジーは、さらに続きます!
この度のご縁に感謝いたします。貴方様の創作活動が、衆生の心に安らぎと悟りをもたらすことを願い、微力ながら応援させていただきます。