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「モンスターハンターワイルズ」コミュニティアップデート完全解説:

OBT後の改善点、調整意図、開発陣のメッセージを読み解く

2024年2月に発売を控える『モンスターハンターワイルズ(Monster Hunter Wilds)』は、シリーズ最大級の規模・新要素を盛り込み、クロスプレイをはじめとする革新で期待を集めています。2023年末に実施されたオープンベータテスト(OBT)では、世界中のハンターが参加し、幅広いフィードバックが寄せられました。

今回公開されたコミュニティアップデート配信では、ディレクターやコミュニティマネージャーが、寄せられた意見や要望を受け、製品版でどのような改良・再調整を行うか、具体例を挙げながら詳しく説明しました。以下では、その発言を元に、ゲーム全体の設計哲学から各種システム改善、武器・スキル・マルチプレイ・UI・パフォーマンスといった多岐にわたる改修点を深く掘り下げます。



1. パフォーマンス改善:

アップデート前提でのOBTと製品版での最適化

OBT段階は古いビルドであり、製品版ではフレームレートや描画品質が格段に向上すると明言。PS5やXbox Series X|Sではグラフィック/フレームレート優先モードを切り替え可能で、特にフレームレート優先モードで60fps近くまで引き上げる最適化を実施中。PS5 Pro対応によるさらなる画質向上も検討されており、PC版では要求スペックの緩和やベンチマークツールの公開も議論中。これらはOBTで顕在化した描画の粗さやジャギー問題、快適性不足への直接的な対応であり、発売時のデイワンパッチやその後の調整で、より多くのハード環境でスムーズなプレイを実現する方向です。

※OBTで見られた髪や羽毛など細かい部分のジャギーや、フレームレートの不安定さも改善するとのこと。開発陣はネットワーク負荷テストやサーバー負荷確認も狙いとしてOBTを早期実施していたため、製品版での最終調整が前提でした。


2. 武器アクションとインパクトの再強化:

手応えある攻撃演出とフレンドリーファイア緩和

ヒットストップ(手応え演出)強化
OBTでは「攻撃が軽く感じる」「武器の重みや衝撃感が足りない」という声が多く、開発側は攻撃時のヒットストップ、サウンドエフェクト、エフェクト表現を全面的に強化。さらに、味方プレイヤーを不要に吹き飛ばすフレンドリーファイアの頻度を低減し、新規参入者や不慣れなプレイヤーが快適にマルチプレイできる環境を整える。OBTで顕著だったハンマーのアップスイングによる味方打ち上げや、ガンランスの広範囲攻撃による迷惑行為が抑制される。

開発哲学として、「過去作では重みが強すぎると感じる層がいた一方、近年はハンターたちが“重厚な手応え”を求める文化が育った」との言及もあり、それをポジティブに捉え、改善の方向性を定めた。


3. モンスター挙動と移動頻度の見直し:

本来意図した自然な生態行動へ

OBTで「モンスターが頻繁にエリア移動しすぎる」問題は、想定外の挙動(バグ)だったことを開発側が明言。製品版では『モンスターハンターワールド』に近い自然なモンスター移動頻度となり、過剰な追いかけっこは緩和される。ただし、完全に移動しないわけではなく、モンスターの生態やテリトリー(巣)に戻る行動は引き続き存在。広大なマップを活かし、キャンプ設置などを駆使して効率的な追跡が求められる点は従来以上に戦略的。


4. 武器バランスの包括的見直し:

各武器に固有の強みを持たせ、底上げで選択肢拡大

開発チームは基本方針として「強武器を弱体化せず、他を底上げ」する方向を示し、全14武器種にわたる多数の微調整を実施。

  • 操虫棍
    OBTで消えていた「跳躍連弾」を復活。空中戦闘の醍醐味を取り戻し、抜刀中の起動や操作性、空中攻撃へのスムーズなアクセスを改善。特定メディアのプレビューでは「シリーズ史上最高」と評されるほどの仕上がりに。

  • ランス
    守備的武器の代名詞たるランスは、新要素「チャージカウンター」を導入。的確なガード後に多様な反撃が可能となり、ランス特有の「見極め→反撃」という醍醐味が強化。プロデューサーやアートディレクターらランス愛用者からの意見も踏まえ、過去作の意図的な要素復活やアクション速度調整も実施。

  • スラッシュアックス
    ゲージ管理難易度を軽減し、必殺技のダメージ・演出を向上。従来の「斧形態から剣形態への流れ」を維持しつつ、プレイヤーが気持ちよくフィニッシュ技を決められるバランスへ。

  • 片手剣
    ガード状態からの攻撃復帰や「Rising Slash」復活、通常攻撃・パーフェクトラッシュの底上げで小回り・連携力が向上。軽快さと多様な戦術性が強化され、片手剣特有の機動力をより有効活用可能。


  • 特定アクション(追跡弾+フォーカスストライク)に偏っていた火力を他の矢種や曲射にも拡張。コンボの組み立てやターゲット指定が洗練され、弓全体が「多彩なスタイルで立ち回れる」よう再設計。

  • 狩猟笛
    自己強化は強化、味方強化は相対的に抑制することで、過剰な強力サポート武器に偏らず、自己完結型の楽しさも維持。サポート武器としての立ち位置は残しつつ、過剰なメタ化を防ぐ狙い。

このように全武器をトータルで見直し、「各武器が独自の役割と強み」を活かせる形で底上げされる。


5. スキル構成の再定義:

武器と防具にスキルを分配し、サブ武器使用時も価値を維持

本作ではメイン・サブの2つの武器を同時携行可能となったため、従来のように防具側に火力系スキルが集中すると、サブ武器への切り替えでスキル価値が損なわれてしまう。そこで、武器側にも攻撃力アップやガード強化など武器特有スキルを付与し、防具には補助系スキルを中心に再配置。武器ツリーを進めるほどにスキル数やレベルが増し、防具と装飾品スロットの組み合わせで、多様なビルドが生まれやすい仕組みを実現。


6. マルチプレイ・コミュニケーション改善:

ロビーやチャットの制御で快適な協力狩猟をサポート

クロスプレイ対応や100人規模のオープンロビーなど大規模マルチプレイ環境では、チャット・スタンプスパムが課題となりうる。製品版では特定プレイヤーのミュート機能や、クエスト参加中は特定チャンネルにフォーカスが移るなど、情報氾濫対策を強化。プライベートロビーやスクワッドロビーで仲間内プレイにも対応する。

環境同期機能(リンクパーティー)も、複数マップや多様な天候条件が揃う製品版では有用性が増し、OBT時の「わかりにくさ」は発売後に真価を発揮する見込み。


7. HUD・UIやサポートハンター挙動の微調整

  • HUD・UI調整
    各武器固有UIのサイズ調整や更なるオプション追加を検討。文字サイズ・配置などもフィードバックを踏まえ改善予定。

  • ガード時の表情修正
    ハンターがシールドガード中に見せる表情が違和感を覚えるレベルだった点を修正。「没入感」重視の方向で自然な表情へ変更。

  • サポートハンター挙動
    OBTで見られた、プレイヤーの意図に反して傷口破壊を行う支援NPCの行動などを調整。将来的なアップデートで、どのサポートハンターを呼ぶか選べる機能も検討中。


8. ベータ再実施の可能性とリリース後展開

もう一度のベータ実施は「検討中」だが、もし行われてもOBTの範囲を基本踏襲する見込み。製品版での大幅改良はデイワンパッチやアップデートで反映されるため、真の完成形はリリース後に体験できる。

PC向けベンチマークツール、PlayStation 5 Proの詳細、さらなるアップデート情報は今後公式チャネルで告知予定。


まとめと展望

今回のコミュニティアップデートは、OBTを通じて得たフィードバックを真摯に取り入れ、製品版に向けて幅広い改良が行われることを明確に示した。パフォーマンス向上、武器アクションの強化、フレンドリーファイアの軽減、モンスター挙動修正、スキルシステムの再定義、マルチプレイ環境の整備、HUDやNPC挙動まで、あらゆる要素でプレイヤー体験を向上させようとしている。

「底上げ」の方針により、各武器が独自の強みを発揮し、スキルや装備構成が多彩なビルドを生み出す。マルチプレイはより参加しやすく、コミュニケーションも調整機能で快適化。ガード時の表情一つに至るまで、没入感を損ねない配慮がなされる。

このように、「モンスターハンターワイルズ」は単なるシリーズ新作にとどまらず、知的生産性を伴う「新しいハンティング体験」を創出する基盤へと進化する。その真価が製品版でどのように花開くか、コミュニティが形成し、環境が成熟する中、我々はハンティングの新たな地平を目の当たりにすることになるだろう。

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禅 現代_8000
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