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赤鼻・白塗り・普通の顔:クラウン、パントマイム、お笑い芸人はどう違う?

こんにちは、芸能事務所トゥインクル・コーポレーション所属 パントマイムアーティストの織辺真智子です。

前回、クラウンの定義について詳しく説明しました。赤い鼻と派手な衣装で知られるクラウンは、笑いと感動を生み出す独特のパフォーマンスアートです。ただ、パントマイムとクラウンはどう違うの?一緒なの?と聞かれることはたまにあります。

そして、笑いと言えば・・・日本ではお笑い芸人がまず真っ先に思い浮かびますよね。クラウンとお笑い芸人はどう違うのでしょうか。

もちろん、これらの芸術形態には共通点があります。
そして例えば、パントマイムの要素を取り入れたクラウンや、クラウン的な身体表現を用いるお笑い芸人も存在します。
しかし、それぞれの核心には明確な違いがあります。

こちらでは、クラウンを中心に据えながら、これらの芸術形態の違いと共通点を探っていきます。

クラウンの表現方法と外見的特徴

クラウンは、パントマイムやお笑い芸人とは異なる独自の特徴を持っています。まず、クラウンは言葉と身体表現を巧みに組み合わせたパフォーマンスを行います。

パントマイムが基本的に無言であるのに対し、クラウンは状況に応じて言葉を使うこともあります。また、お笑い芸人が主に言葉によるコメディを中心とすることが多いのに対し、クラウンは身体表現を重視し、言葉は補助的に使用することが多いです。

クラウンの動きは大胆で誇張されています。例えば、単純な動作でも大げさに行うことで笑いを誘います。階段を上るだけでも、足を高く上げすぎて転んだり、手すりにぶら下がったりと、日常的な行動を滑稽に表現します。このような誇張された動きは、観客の想像力を刺激し、日常生活の中に潜む面白さを引き出します。

衣装とメイクもクラウンの重要な特徴です。派手で目立つ衣装、大きな靴、そして象徴的な赤い鼻のイメージは、クラウンのキャラクターを強調し、観客の注目を集めます。
パントマイムアーティスト、お笑い芸人は、派手な服装の人もいますが結構な割合でシンプルであったり日常的な服装の人がいますがクラウンの衣装は非日常的なことがほとんど・・・。

クラウンの演技は、直接的でエネルギッシュな雰囲気を持ちます。パントマイムが繊細で詩的な雰囲気を醸し出すのとは対照的に、クラウンは具体的な状況や人物を滑稽に表現することが多いです。例えば、クラウンが演じる「椅子に座る」という行為は、椅子を探す、椅子を確認する、座ろうとして失敗する、最終的に成功するといった一連の動作を通じて、観客を笑わせます。

クラウンのパフォーマンス特性

観客との交流も、クラウンの特徴的な要素です。クラウンは観客を直接パフォーマンスに巻き込むことが多く、即興的に観客と交流します。例えば、観客の中から助手を募り、一緒に簡単な芸を披露したり、観客の反応に合わせてパフォーマンスを変化させたりします。
パントマイムは、「第四の壁」を維持してお話を成立させていくことが多いのとは対照的です。また、お笑い芸人も観客と交流することがありますが、クラウンほど直接的で身体的な交流は少ないです。

キャラクター性という点でも、クラウンは特徴的です。クラウンは完全に作り込まれたキャラクターを演じ、そのキャラクターになりきります。これは、多くの場合「素」の自分に近いキャラクターで演じることが多いお笑い芸人とは異なりますし、パントマイムの「物語の中の役柄」とは違うものです。
クラウンのキャラクターは、しばしば社会の規範から外れた存在として描かれ、それによって社会の矛盾や人間の本質を浮き彫りにします。

即興性もクラウンの重要な特徴です。クラウンのパフォーマンスでは、即興性がその中核を占めています。環境や観客の反応に応じて常に演技を変化させるのです。例えば、観客の予期せぬ反応や、舞台上の偶発的な出来事を取り入れて、その場で新しい笑いを生み出します。これは、準備されたネタを基本とするお笑い芸人とは異なるアプローチです。

クラウンの感情表現

感情的な範囲においても、クラウンは独特です。クラウンはさまざまな感情を呼び起こすことができますが、その主な目標は愚かさと喜びを通して観客を楽しませることです。
クラウンのキャラクターは、コメディと悲劇の両方の要素を体現していることが多いですが、一般的には深い感情的な反省よりも、不条理を通じて笑いを引き出すことに重点を置いています。例えば、失敗を重ねながらも諦めずに挑戦し続けるクラウンの姿は、観客に笑いと共に勇気や希望を与えます。

文化的な普遍性も、クラウンの特徴の一つです。クラウンは言語や文化の壁を越えて理解されやすいパフォーマンスを行います。身体表現や視覚的な要素を多用するクラウンの芸は、言葉の壁を越えて多くの人々に楽しまれます。例えば、世界中のサーカスでクラウンが人気を博しているのは、この普遍性によるものです。

赤い鼻の哲学者

クラウンはパントマイムやお笑い芸人とは異なる、独自の特徴を持つ芸術形態です。
言葉と身体表現の巧みな組み合わせ、誇張された動き、特徴的な衣装とメイク、観客との直接的な交流、多様なパフォーマンス場所、強いキャラクター性、高い即興性、幅広い社会的役割、独特の感情表現、そして文化的普遍性を持っています。
これらの特徴は、クラウンを単なるエンターテイメントの提供者以上の存在にしています。クラウンは、笑いを通じて人々に喜びを与えるだけでなく、社会に対する新しい視点を提供し、人々の心を癒し、時には教育的な役割も果たします。

クラウンの芸術は、パントマイムの身体性とお笑い芸人の笑いの要素と重なるぶぶんもありつつ、さらに独自の哲学と社会的役割を持つ、非常に特殊で奥深いパフォーマンスアートなのです。この独自性こそが、クラウンが長い歴史を経て今日まで愛され続けている理由の一つと言えるでしょう。

ぜひ次にクラウンをどこかで見ることがあったら、その独自の哲学を観察してみてくださいね。きっと気づきがあることと思います。

次回は、このようなクラウンの芸術がどのように生まれ、発展してきたのかを探ります。クラウンの歴史を通じて、この独特な芸術形態がどのように形作られてきたのか、そしてそれが社会とどのように関わってきたのかを、中世初期くらいまで追っていきましょう。
お楽しみに〜!

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