半魚人とおばさんの恋の映画

最近見た映画で絵本を読んだような気分になれたものがあったのでご紹介。

「シェイプ・オブ・ウォーター　英語：The Shape of Water」　https://g.co/kgs/3ABd1j
※大人のSFラブロマンスなのでお茶の間で見たら気まずくなります。

一言でいえば、
「聞こえるけど声の出ない独身の（美人とは言い難い）中年女性が職場で半魚人に出会って恋に落ちる大人向けのSFラブロマンス映画」です。

これだけ聞くとヒロインの設定多いうえに相手役半魚人てどゆこと？
という感じですね。

この映画の見どころは、
　・アポロ宇宙飛行計画の時代にありそうななノスタルジックな設定
　・悪役だが立場における正義
　・善悪・意思の存在も不明な半魚人ヒーロー
　・微妙な中年ヒロインの恋
　・ゲイの男友達とその恋、人種を超えた女同士の友情、LGBTQ
かなと思います。


現実にあるわけないのに、アポロが宇宙に行った頃にはありそうな感じの小物を含めた設定がストーリーに没入させてくれます。
そして最初は中年の微妙なヒロインが次第に恋する乙女になり、その恋を応援したくなります。

人間同士の生々しいラブシーンはあえて獣っぽく描いている。一方でヒロインと半魚人はセーラームーンとかプリキュアの変身シーンみたいなラブシーンが印象的で大人向けの絵本を読んでいるような感じです。

ただし大人向けと書いたのは、勧善懲悪とも言い切れない、単純な男女の恋の話でもない。ゲイの男友達の恋、人種を超えた友情、LGBTQ、立場による正義もテーマになっているからです。

大人はみんな事情を抱えていて各々立場があって全部が丸く収まることはない。半魚人という「定義のできない不穏分子」の存在による苦味部分もちゃんと描かれています。

自分なら、自分が見たことない定義外の存在に、どう接するのか。
この映画をそんな風に見ることもできるかもしれません。

最後に。油断して見てると全編まんべんなくグロテスクなシーンが入っていますので注意してください。