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舌の役割|食べ物を味わうだけではない!
言語学を勉強中に感動したことは多々あるが、その中でも「舌」の役割を知った時には感銘を受けた。
「舌は、食べ物を味わうのが役割でしょ」と思うのが普通である。
私自身も、舌といったらこのイメージしか頭になかった。
舌が無ければ、甘味や塩味などの微妙な違いが分かる事はない。
でも言語学で学んだ舌のもう一つの役割は、「言葉を話すこと」である。
舌は柔軟なので、口腔内のいろいろな位置に動かすことで声の違いを出す事ができるという。
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つまり舌が無ければ、私たちが自然にしている「話す」という行為ができない。
舌がどのように発声と関連あるかピンとこないかもしれないので、「百聞は一見に如かず」、ぜひこの動画を見て頂きたい。
国立国語研究所 言語学レクチャーシリーズに、人間が発声する時のMRI映像が載っている。
なんの変哲もないイソップ童話「北風と太陽」を20代男性が読み上げている時のMRIである。
全体は長いので1:50 ~ 2:23 だけご覧いただき、発話時に舌がどのように動いているか注目してほしい。
動画を見ると、舌がまるで生き物のようにあちこち動いていることに気付くだろう。
舌先だけでなく、舌の根元も上がっており、全体を使って発声している。
舌は食べる専門の器官ではなく、言葉を話す際にも使われる「二刀流」器官だったと知り、非常に面白いと感じたのを覚えている。
言語を話す際、舌は唇とともに、肺からの空気の流れを妨害し、様々な音を発音する。
「妨害」という点がポイントである。
子音はまさにこの空気を妨害する役目がある。
たとえばタ行「t」の子音で考えてみると、舌が歯の裏あたりでいったん止まって空気の流れを邪魔している。
カ行「k」はどうだろう。「t」よりももっと後ろの方にある「軟口蓋」で舌が空気を妨害している。
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子音ごとに、呼気を妨害する位置が異なっている。
舌は柔らかいので、口腔内のいろいろな場所を訪れては「空気を妨害」できるというわけである。
ちなみに舌以外にも、私達は発声時にいろいろな器官を使っている。
例えば肺、咽頭、喉頭、口腔・・・
なにやら病院で聞いた事のあるワードだが。
言語学では、発声する際に使うこれらの器官を「調音器官」という。
たとえば肺は呼吸をするだけの器官ではない。
声を出すのに必要な「空気の流れ」の源になっていて、発声時に不可欠な役割を果たしている。
肺がなければ空気の流れが生じず、「口パク」のようになってしまう。
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舌にしても肺にしても、まさに「二刀流」の器官なのだった。
人間の体は本当によくできている。
ちなみに言語学には「音声学」という分野があり、人間がそれぞれの言語音をどのように生成するかに注目して研究している。
これについてはまた別の機会に記事にしてみたいと思う。
最後までお読みいただきありがとうございました。