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フォロワー900人到達記念作品 900文字ショートショート『Y字路に佇む家』中編


前編↓

南向きに位置するY字路側の壁をよく見てみる。するとそこには、中腰の姿勢で入れる程の小さな扉があった。

改めて周囲をよく見渡してみる。この部屋の間取りは台形型をしていた。

(なるほど。この台形型の部屋がリビングになっていて、扉の向こう側は三角型の形をした倉庫か何かって事か)

その直後だった。

ブオーーー

マフラーの重低音と共に、ガレージに何かが乗り入れる気配がした。排気量が大きそうな、おそらくSUVか何かだろう。

バタン。

トランクから何かを出しているようだ。

(いかん!このままでは不法侵入の騒ぎでは済まされないぞ!しかも、階段で逃げようものなら、鉢合わせしてしまう。どうする?)

「おい、テメー!しっかりとそっち側持てよ」

怒号にも似た、ドスの効いた声がする。

「だってーこっち側持ちにくいんだもんー」

こちらは若い女性の声のようだ。

案の定、二人は階段を上がって来た。

(どうする?どうするっ!)

その時、とっさに先程の小さい扉が目に入った。

(ええい。もうここしかない)

一心不乱になって凄まじい勢いのまま、飛び込むかの様に扉を開けて入り込んだ。

ガンッ!

緊急事態というこの状況。瞬時の判断には対応できたが、さすがに扉のサイズ感までは把握する事が出来ず、おでこを強打してしまった。

(痛っ!ったくなんだよ。もう今日は滅茶苦茶だ・・・。仕方ない、しばらく様子を伺う事にしよう)

そう思い息を潜める。

すると、男と女が部屋へと入ってきた。

「コレよ、先輩が『用済みになったから山にでも捨てとけ』だってよ。でもこんな物捨てれるかって。ソッコー通報されるに違いない」

男が言った。

「そうだよねー。それにしても重かったね。この前の酔いつぶれた直樹の友達を抱え込んだ時くらい重かったー。しかもコレ、その友達みたいに体が曲がらないから、そこの角度がついた通路、運びにくかったー」

「そうだな。あとはコレの臭いがきついから、とりあえずお前、車からファブリーズとってこい。オレ煙草吸ってくるから、作業はその後だ」

「はーいOK」

そう言うと、再び二人は下へと降りていった。

(・・・どうしよう)

薄暗い倉庫の中で、一部始終聞いてしまった。

(コレって一体何なんだ?)

以上、900文字

ーーー続く

※フォロー900人ありがとう御座います。今回は、900文字にまとめてみました。次回はラスト後編となっております。1000人達成時に1000文字で書き上げたいと思っております。


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