人生の片手間に〜エッセイガッサイ➄その不格好な文字は時空をこえて親父から姉へ
最近は、パソコンに文字を打ち込む事ばかりで手書きの文字といえば、会社で書くメモや報告書のサインくらいのもんだ。
話は変わるが、親父が書く文字にはもの凄く特徴がある。横線は右上でなく平行で「とめ、はね、はらい」が無い、動きが硬いゴシック体のような文字だ。一つ一つ丁寧ではあるが、決して美しい文字ではない。
これは姉の話になるが、姉は今年から子供が習う剣道クラブの会計をやっている。活動に関する備品購入や遠征費、その他もろもろ会計報告書に書き残すそうだ。
姉も昔は子供達と同じ剣道クラブだった。ある日、姉が何となく過去の会計報告書をペラペラと捲り、遡ること1993年の記録。
当時の剣道クラブは、遠征も兼ねた夏のキャンプを毎年やっていた。
その時の記録で(食材は何を買ったのか、ジュースは何本でおまけにレクレーションに使用する花火の値段まで)会計なら当然だがその内容は事細かに書かれていた。
姉は
「何か見覚えがある文字だな」
そう、それは当時親父が書き残した会計報告書だった。
親父は引出しから取り出した爪切りを元に戻さなかったり、脱衣場にパンツを脱ぎ捨てるような性格だ。
その親父が、夏の遠征でのキャンプを楽しんでいる姉の陰で数字とにらめっこをしていたと思うと急にエモくなったらしい。
姉も会計報告を頑張ろうと誓ったのであった・・・
という話
本日もご一読ありがとうございました。
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