エッセイ㊾ 『卵と私どっちが大切?』
どうも、シンスケです!
ソファーに横になり、スマホ片手にフォルダ内の写真を整理している。ある日のフェリーに乗船している私と奥さんの写真が出てきた。名門太陽フェリーだったかな?それにしても、二人とも首回りがシュッとしている。
2013年。振り返ると早いもので結婚10年を過ぎ、11年目を迎えていた。その間、夫婦間で特に大きな喧嘩などもなく日々穏やかに過ごしている。
そんな私達にも何年かに一度、決まって奥さんからチクリとある話を繰り出される。
同棲を始めて間もなかったあの頃。
二人は人目はばからず、ムフフと寄り添いながらスーパーへと入店。
「今日は夜ごはん何にしようかぁ?」
「牛乳まだあった?確認するの忘れてたから、一応買っとこうか」
「あと卵もか。ラッキー、今日安いねっ」
二人で右手と左手。一つの卵パックを互いに手に取り、今日もラブラブだった。
支払いを済ませて、レジ袋に詰め込んだ所で、さぁ荷物をカートに乗せて駐車場に運こぼう。
ガラガラガラガラ
車までは20mくらいだったでしょうか。
ガラガラガラガラ
私は先にトランクを開けて、荷物が乗りやすいように整理をしている。
ガラガラガラガラ
さて荷物を受け取ろうか・・・な?
ガッシャーーーン
カートの車輪が溝にはまり、奥さんごと派手に転んだ。
人間って瞬時の判断には、本性が出るんですよね。
「卵割れんかった!?大丈夫?」
「え?」
奥さんの怪我よりも、1パック198円の卵の安否を気にかけた私に、奥さんは寝転びながら冷めた表情。
「間違った。怪我無かった?」
時すでに遅し。その日の晩ごはんは、卵料理のオンパレードでした。
その日以来、オリンピックと同じ周期にその時の話を繰り出される。
今年もオリンピックが開催された。そろそろ奥さんも思い出したように、チクリと繰り出すに違いない。
ーーーおしまい