パラレルPay

先日、コンサートに申し込んだ。
今月また別のコンサートにも申し込む。
スムーズな申し込みのため、日々の指トレを欠かすことはない。

ふと気になったのが、このチケット代は誰が払ってくれるんだろう?ということ。

というのも私は無職。
一般的な大人が持つ「支払い能力」というものが現在の私にはない。

必然的に、未来の自分か過去の自分に支払いをお願いしなければならない。

一応現在の自分に確認したところ、働く気はない、旅行に行きたい とのことだった。
現在の自分がこの調子なら未来の自分、少なくともコンサートが開催される5月時点の自分が支払い能力を取り戻しているかと言われれば、あまり期待はできない。

過去の自分に頑張ってもらうしかない。
私は慣れない早起きをし、過去の自分のもとへ頭を下げに行く_____


「5月に好きなアーティストが来日します。」

それを聞いた過去の自分は案の定浮かれた様子で謎のステップで踊り出し、ハイタッチを要求。
支払いを迫られるとも知らずに、、、

私はハイタッチをスルーし、本題に入る。

「嬉しいですよね。ただ未来のあなた、、つまり今あなたの目の前にいる私は、なんと働いていないのです。なのでどうか今のうちにチケット代を稼いでおいてほしいのです。今日はそのお願いに参りました。」

さっきまで飛び跳ねていた過去の自分の表情は翳り「そう言われても、会社員が突然給料を上げるなんて無理な話です。」とぼそぼそ返事。

しかし、どんな困難も機転を利かせて乗り越えるのがこの私。
常に現在の自分より劣る存在である過去の自分でも、何か手を打ってくれるはず。

しばらく悩んだ後、過去の自分はこんな提案をしてきた。

「とにかく今の私がより多く稼いでおけば、未来の私はチケット代に怯えなくて済むんですね。」

「そうです。」

「分かりました。なら今よりも給与の高い会社へ転職しましょう。
一旦は会社を辞めて収入が途絶えることにはなるけれど、、少し時間をもらえれば可能です。」

なんということでしょう。
この頼もしいお方が、私?

過去の自分の発する言葉は力強く、その眼差しは、恐ろしい程にまっすぐだった。
大体無職の私から見れば、会社員というだけで、何を言われても信用できる。

「本当にありがとう!早くこんな会社辞めて、もっと良い会社でSS席代を稼いで下さい!」

「任せて下さい。では未来の自分よ、コンサート楽しんで!」

過去の自分と誓いの握手を交わし現在に戻り、ほっとした気持ちでこの日記を書いている。

過去の自分よ、その節はありがとう!
で、転職活動はどんな調子ですか?

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