むしゃむしゃ
お仕事で面白くないことがあったときは、お酒を飲みたくなる。なんもなくてもお酒は飲みたいけど、むしゃくしゃしたときは余計にお酒を飲むぞーって気持ちになる。
たいていお仕事の面白くないことなんて、業務外にあれこれ考えても仕方がないことで。それを考えたくないからお酒とおいしいものを食べて自分の好きなものに浸るんだけど、それがちょっと前まではお酒じゃなくて本だった。
毎日のように本を読んでいた。暇があれば本を読んで、面白いと思えば睡眠時間も犠牲にした。
流石に仕事中に読むことはなかったけれど。
そんなに本を読んでいた私だけれども、いろいろあって疲れてしまった。それから、本を読んで感情を揺さぶられるのが怖くなった。あんなに好きだったのに、毎日本を読んでたのに、本を読めなくなったことがつらかった。一番つらかったのが、私は本を読むことが怖いんだなと自覚したときだった。
新しい刺激がしんどくて、それがこわくてとにかく避けた。本屋にも行かなくなって、気づかないうちに一年が経っていた。
なんとなく、読みかけの本の続きが気になって行った行きつけの本屋さん。私が一年来なかったことについて顔見知りの店員さんは心配してくれていた、らしい。
なんとか本を少しずつ読むようになって、でも今でも前のように本を読めるわけではなくて、読める本だけを読んでいる。それでも、少し前と比べると本を読めるようにはなってきたから、ゆっくりでいいから前のように本を全力で楽しめるようになりたいな。
それはそれとしてお酒は飲むのだろうけども。
本を読めない間に覚えたお酒の味が多すぎるので、今更飲まない生活には戻れないだろうから。
世の中には面白くないことが多すぎるので。
好きなものだけを考える時間があったって良いと思う。
好きなお酒を飲みながら好きな本を読むってたぶんとても幸せなことだと思う。