1960年代〜1970年代 米国vs旧ソビエト ギター戦争勃発??
たいそうなタイトルになってしまいましたが、実際にはソビエトのギター製作においてmade in U.S.Aに対抗していたのか?
定かではないんですが、面白いのは、弦を巻くパーツのペグは、基本的に我々の慣れ親しんでいる巻き方向とは逆周りが当たり前なんです。
また、コントロールノブの回し方も逆周りといった次第で、明らかにアメリカに対してNO!と言っているとしか思えません。
多分、アメリカではそんな事など知る由もなしだったと思いますが...。
米国とソビエトが冷戦中だった1960年代までは、基本的にソビエトではエレクトリックギター製作はアメリカ文化の流入とされ、反社会的といった理由から闇仕事とされていたみたいです。
そんな中でも、様々なギターが作られていたんですが、微妙なところに愛国心?が伺えるなんとも可愛らしい反抗だと思いませんか?
デザイン的に見てもギブソンやフェンダー系ではなく、どちらかと言うとTIESCOや、GUYATONEの様な当時の日本製ギターからインスパイヤーされている様に感じます。
70年代に入り、やっとギター製作が表舞台に出て来る様になってから独創的で面白い事をやってます。
ボディに使用する材は木材だけにとどまらず、ブリキやプラスティックカーボンなどと色々で、当時のmade in U.S.Aにはあまり無かった新しい試みをしていた様です。(確かアメリカ製のギターで、GFRのマークファーナーがアルミニウム製ボディのギターを使用していましたね。)
ある意味、1950年代〜打ち上げられたスプートニクや1970年代に打ち上げられたソユーズロケットを生み出した国、ソビエトのフロンティアスプリット意識が楽器作りにも感じられます。
と、ついつい宇宙規模にまで行き着いてしまいましたが、先に書いたペグやコントローラーの話は、間違いなくmade in U.S.Aに対しての嫌悪感と言うか、反骨意識を持っていたと言ってもいいと勝手に思っています。
そんな旧ソビエト製のギターですが、少し手を加えたら充分に使える1台になります。
1960年代物となるとどうなのか?はわからないのですが、1970年以降は部分的にリプレイスメントすれば、独特なものとして重宝されるギターに仕上がると思います。
これらのギターには、U.S.Aのギターと同じフィールドで比較するのでは無く、自身で弾いてみてグッドと感じるか?アウトと感じるか?の感性が必要な気がします。
まあそんなに難しい事でもなく、簡単に言うと、好きか嫌いかのどちらかでいいと思います。
そんな、旧ソビエト製のギターを紹介したいと思います。
1970年代製作のMALIA社のMARIA model です。
こちらのギターは、1970年初頭から78年まで製造されていたギターです。
ボディ部の素材がなんと、プラスティックカーボンと言う材で出来ているんですよ。
オベーションのそれとは全く別物で、なんとも言えないレトロな質感です。
最初は、トイギター?と思いきや、アーチドトップ形状で335風の結構しっかりしたギターになっています。
多分この状態で、現存している個体は少ないと思います。
ネックは、木製で普通のギターと変わりありません。
以外と、生鳴りも良くギターとしての機能はしっかり果たしていますと言うか、結構使えるとギターだな。と言うのが実感です。
最近では、EASTWOODや、SUPROなども再生産されていて、レトロなサウンドが再認識されているので、その手の音を探しているギタリストにとっては重宝するギターでしょうね。
リアルレトロサウンドです。
が、しかし内部は色々困った状態だったので、とりあえずプレイヤーズコンディション状態に改良しました。
ペグは、元々が通常の回転とは逆周りなのですが、巻いてみれば通常巻きも出来たので、名残でそのままにしています。
細かい改良場所はホームページの guitar topics の中で記していますので、ご興味のある方は、お時間のある時にでものぞいてみてください。
https://www.nyufactorystore.net/ol-fant
4/10 4/11 に開催される 2021サウンドメッセオーサカ at ATCホール にも出店します。
他にもいろいろ珍しいギターを出展していますので、是非試奏にお越し下さい。
こちらも、かなり面白い仕上がりになっていますので、是非とも試し弾きにいらして下さい。