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壊れても、壊れやすくても

写真:’20年11月
岡山・犬島

この島には、名前に「犬」がつくことに惹かれて行きました。

静かな浜辺や放し飼いのニワトリ、秋の花々、写真に写っているような銅の精錬所跡。
まばらでしたが観光客もいて、島は静かに賑わっている印象でした。


島を散々歩き回り、船で港に戻ったあとに待っていたのは駅まで徒歩3時間の道のりでした。最終のバスに乗れなかったためです(時刻表を確認してすらいなかった)。
無計画な遠出に、あんなにも打ちのめされるとは想像もしませんでした。

駅までは約11km。日は暮れたばかり。道中は山と田園地帯。
朝まで港でやり過ごすことも考えましたが、それは耐えられないと思いバスが通って行った道を歩き始めました。

野生動物や幽霊に遭遇しそうな山道がしばらく続き、始めは心底こわかった。
それを和らげて、むしろ勇ましい気持ちにさせてくれたのは小瀬村晶さんのピアノ曲でした。

中でも、この時を一番思い出す一曲は『Fragile』です。

曲名は、「壊れやすい」といった意味ですが、そうした存在を鼓舞するかのようなメロディです。この時まではそんなふうに感じてはいませんでしたが。


2時間くらい歩いてコンビニを見つけ缶のワインを飲むとハイになって、けど疲労感も感じつつゾンビのような足取りで歩いて駅にたどり着きました。最後の方のことはほとんど覚えていません。

犬島に行ったのはそれが最初で最後なので、次はきちんと計画を立ててまた訪れたいです。

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