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「おいしい」味覚と気持ちを育てる

Oleaで大切にしている「食事」。

見出しの写真は、ある日の昼食。子どもたちと一緒につくりました。メニューは、鶏肉のソース炒め、ごぼうとしめじの卵とじ、キャベツの梅醤油和え、わかめとお麩の味噌汁、麦入りごはん、温かい日本茶。この日の野菜たっぷりメニューも子どもたちはすべて食べました。

(コロナ禍…料理前の手洗い、器具の消毒、手拭きのこまめな取り換え等々…しっかり対策を心がけています。)

どうして「食事」?

◯毎日3回(おやつを入れたらもっと)ある
◯生きているうちにずーっとある生活イベント
◯元気の素
◯料理はプランニング
◯感謝の気持ちが生まれる

食事のいいところ。

繰り返しの必然性

起きている間に、定期的に「食事」はやってきます。基本的生活習慣を支えるタイムキーパーにもなります。

お手伝いもしやすい生活イベントです。
Oleaでの配膳。はじめは、パートナーが「ごはんだから箸ね」などと言いながら、人数分の箸と箸置きを渡します。そのうち、お子さんは炊飯器の炊けるまでの残り時間を見て、人数分の箸と箸置きを出してくれるようになりました。さらには、メニューのバリエーションに合わせて、スプーンやフォークなど、食べやすそうな食具を選んでくれるようになっています。

このようなお手伝いも、1日に複数回チャレンジすることができます。朝食ではヒントをもらったけど、昼食は自分で考えて箸を出せた!など、自分で考え行動する、もし間違えてしまっても、そう遠くない未来にもチャレンジする機会がやってくる。必然的に…そんな特徴が「食事」にはあると思います。

さかさまおはし

ちなみに、食事中に箸をあっちこっちに置いてしまうので、箸置きを導入。はじめは、ほぼ全てのお子さんが持ち手の方が高くなるように置くという…(箸枕とも言うらしいですね)何度か使ってみて、使い方がわかったり、使う理由がわかったりして、今では使いこなしています。
テーブルクロスが汚れない!

いつ?どこで?誰と?何を?

食事は、いつ?どこで?誰と?何を?ということを、毎回考えるものだと思います。(生活習慣によっては、省いてしまうこともあると思いますが、なるべく私たちも、いつ?どこで?誰と?何を?を考えるような食事をしていきたいですね。)

お子さんにとってはどうでしょう。いつ?どこで?誰と?何を?について、どのくらい関わっているでしょうか。生活リズムや環境で、ある程度決まっていることかもしれません。
Oleaでも、おおよそプログラムに組み込んでいますが、通室を始めたばかりのお子さんとは「何時から食べようか」「サラダは何を入れようか」「うどんは何味にしようか」など、部分的に関わるシーンを設けます。そうすることで、自分も食事に携わっている感覚が生まれます。
ご家庭でも、休日などに、いつ?どこで?誰と?何を?の一部分で良いので、お子さんと相談してみてはいかがでしょう。考える力の第一歩です。

また、食事は生きている間、ずっと続く生活イベントです。だからこそ、大切にしたいのは、「誰と?」の部分。食卓を囲む中で、「おいしいね!」とやわらかに進む時間を心地よく思えたり、同じ時間を過ごすことで笑顔になれたり。はたまた、「しょうゆ、とって」「いいよ」などの自然のやりとりができるようになったり。人とうまく関わる力の基礎が育まれる場所です。

血となり、肉となり、心となり…

食べることは、生きること。

食べることは、わたしたちの体だけではなく、心も元気にしてくれます。Oleaでは、農林水産省「食事バランスガイド」を参考に、メニューづくりをしています。

また、和食を中心としたメニューづくり(高たんぱく低カロリー)を心がけています。和食は、素材の色や形を生かした料理が多く、火を通す過程が1回しかない(煮る、焼く、蒸すなど)料理が多い(=工程がわかりやすい)ため、子どもたちにとって、自分が手掛けた料理であるということが、見た目や味わいで実感しやすいという特徴があると思います。

さらには、子どもたちにもおいしい色を覚えてほしいなぁと思っています。いわば彩りを考えると、たくさんの野菜も必然的に使います。献立にもよりますが、多い日には1食で10種類程度の野菜(干ししいたけなどの乾物含む)を使います。

えっ!うちの子、そんなに野菜たべない…と、ご家族から伺うこともあるのですが、子どもたちの食べている様子を見ていると…食べるんです。
切り干し大根の煮物などはわりと大人気メニュー。(もちろん、にんじんやきのこ、大豆なども入っています。)子どもたちが見て何の食材かわかる程度の大きさにカット、歯ごたえを残して火を通しすぎない、味付けはシンプルに、熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに、などの工夫が効いているように思います。これは、子どもたちが料理しやすい条件とも言えます。

他にもこんな効果があります。いろんな食材をよく噛んで、味わって食べることができると、口の中をたくさん使うので、おしゃべりも上手になります。食べられるものが増えると、自然と食事の時間もゆったりとした時間になります。

料理は、選び出し、掛け合わせ、組み合わせ

・栄養バランスを考えた一食を視覚的に組み合わせるプログラミング
・「いただきます」に向けての時間のプログラミング

この2つをOleaでは育てたいと考えています。

冒頭の写真にもあるとおり、一汁三菜を基本に、おかずを一つのプレートに盛り付けることで、一目でその構成がわかるようにしています。併せて、栄養面でも自然とバランスがとれるよう、このプレートで覚えられるようにしています。

例えば、

一番広いエリアには、大好きなお肉料理。
二番目に広いエリアには、次に好きなトマトやキュウリのサラダ。
一番狭いエリアには、ちょっと苦手だけど…煮物。
これにご飯と味噌汁をつければ、完成!

というように献立を考えられたら、バランスのよい食事に近づくのではないでしょうか。

Oleaでは、通室し始めた当初は、献立をあらかじめ設定し、まずは「一汁三菜」という組み合わせを視覚的に覚えるところからスタートしていきます。そのために、写真のランチプレートが大活躍。

そして、料理の流れや献立のパターンが覚えられたところで、まずは「一番大きいところは何にしようか」などと三菜のうちの一品を子どもたちが考え、パートナーと一食をつくる。最終的には、三菜全てを子どもたち自身が考え、子どもたちが料理するということを目標にしたいと考えています。

将来的に、一食すべてを毎回料理しなくてもいいと思います。いまは、スーパーやデパ地下のお惣菜、レトルトや冷凍食品など、栄養バランスも考えられた簡単に食べられるものも増えています。並んだお惣菜を前にして、唐揚げやコロッケだけでなく、「煮物」も手にとれるようになったらいいなぁと思っています。

自分で栄養バランスを考え、食べる物を選択し、元気が出る食事をとれるように…

次に、「いただきます」に向けての時間のプログラミング。
熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに、食卓を囲む仲間と一緒に「いただきます」をするためには…例えば…

ごはんの早炊き機能を使うと32分だから、その間に料理しちゃおう。(子どもたち、この早炊き32分はわりと集中できる時間なので、なるべくこの時間内に一食つくれるようにしています。)今日のおかずは、肉を焼いて、味噌汁をつくって、サラダをつくって、さっと野菜を煮て…でも、サラダはつくって冷蔵庫に入れておけるし、煮物も覚めても大丈夫だから、順番的には、サラダ→煮物→味噌汁→肉かなぁ。野菜はサラダの野菜を切る時に一緒に切っちゃおう。あっ、お箸やお茶の準備もしないとなぁ。「いただきます」の前にフライパンは洗ってしまいたいなぁ。

こんなふうに、「いただきます」に向けて、時間と作業を効率よく進めるために、いろいろ考えるわけです。基本的には、パートナーがこの時間と作業の流れをつくって、お子さんがこの流れに乗れるように促します。回数を重ねると、どのお子さんも、流れに乗れる時間や、やりたくなっちゃう作業が増えます。

この「段取り」する力。日常生活でも応用できるとても大切な力だと思います。食事づくりは、「段取り」力を短時間で(煮込み料理などの時間をかけることがおいしいにつながる料理は別として)繰り返し育むことができます。

いただきます、ごちそうさま

おやつではなく試食でもなく、一食のうちの一品を子どもたちが料理して、パートナーたちと食卓を囲む。「◯◯さんのつくった味噌汁だね」「うん」「おいしいね」という経験を重ねることで、ただの「食べる」ことから「食事」に変わってきたなぁと思っています。

どういうことかというと、例えば、包丁を使って、野菜を切ったり、手でちぎったりした食材がプレートにあれば、見ますよね、子どもたち。「これは自分が手がけた料理だぞ!」と。(大袈裟かもしれませんが)
食材をとてもよく見るようになり、苦手かな?と思っていたものも自分から口に運ぶことが増えました。

そして、誰がつくるかということにも興味をもち始めています。実は、お子さんたちはキッチンでのできごとにとっても興味をもっているようです。だけど、日常的にはご家族が多くを担ってくれていること。火は危ないと言われているし…なんだかいそいそと動いているし…近づきがたいけど興味がある。Oleaでは、安全にかつ自然にこの興味を引き出しています。子どもたちの興味を解放することで自分から「やってみたい」が次々と生まれていきます。

ぼくも、わたしも、あなたも、みんなでつくったから、一緒に食卓が囲める。それってうれしいことだなぁ。このことが、感謝の気持ちにつながるのではないかと考えます。


食事のいいところ。こんなにいっぱいありました。そこから得る学びはすごく大きいもの。少しずつ、でも確実に、お子さんたちには、「食事」をとおして、たくさんの力が芽生え始めています。
はじめは、他人事でもいいのです。みんなはじめはそうでした。でも、みんなそれぞれのペースで変わっていきます。私たちは、お子さんひとりひとりの「今」と向き合いながら育てています。

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くらしのまなび舎 Olea
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