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今年読んだ本~~~!!!


はじめに

どうやら2024年が終わるらしい。早すぎて何が何だかだが、とにかく終わるらしい。忘年会と言うべきかわからないが、仲間内でも集まる予定がある。そういいう時分になってきたということを実感するが、本稿はそういう話ではない。

本稿ではタイトルの通り、今年読んだ本について振り返りたいと思う。あとはアマゾン履歴などを見つつ、どれだけの本を手にしたのか、そしてどれくらい消化できたのかという点についても振り返りたい。

総括─去年との比較

まず、今年何冊読んだのか、去年とは量的・質的にどのような差があるのかを見ていきたい。

2024年は34冊読んだ。単純化すれば月3冊はいかないくらいになるが、今月は6冊読んでいるし、冊数は月によって結構バラバラだと思う(9月はすごく忙しかったので1冊も読了していない)。

軽く調べる限りでは、冊数としては多分平均値より若干高いくらいらしい。諸賢は「読書人ぶっている割には大して読んでいないじゃないか」と思われるかもしれないが、僕も同じことを思っている。読むのが好きではあるものの、遅いんだよな。

とかく、去年との比較と行こう。冊数では26→33で増加した。増加した要因は恐らく読んだ本の種類が関係していて、去年は『ハプスブルクの「植民地」統治』、『ビザンツ帝国とブルガリア』、『バルカン近代史(みすず書房)』など研究書的なジャンルの本をたくさん読んでいた。翻って今年は新書、小説、世界史リブレットシリーズなど、読むのに時間がかからないものをたくさん読んでいたという点が関係していると思う。それにしてはあんまり増えてない感もあるが。

本の中身という意味では、今年はかなり歴史と関係ない本を読んだなと思う。歴史と近いジャンルでは宗教や哲学、また進化学的な書籍も読んだ。文学にも多少だが手を出し始めたし、今年の読書総括としては「歴史趣味から読書趣味へ」といった具合だろう。

紹介

以下、月ごとで今年読んだ本を簡単に紹介していこうと思う。

1月

『植民地から建国へ 19世紀初頭まで』
『南北戦争の時代 19世紀』

いずれも岩波新書のシリーズアメリカ合衆国史の本。教科書的理解を求めて買った記憶があるが、どちらかと言えば「アメリカ史入門」に近いような感覚だった。アメリカ史を考える上で大事な基礎概念みたいなものを提示してくれる書籍で、シリーズをひとしきり読めばアメリカ史趣味者としての第一歩を踏み出せると思う(僕は積んでいるのだが)。

2月

『ヨーグルトの歴史』
『冷戦史(上)』
・『はじめて読む人のローマ史1200年』

2月はこの3冊。『ヨーグルトの歴史』はだいたいはヨーグルトの通史だが、最後の方は作り方とかの話も書いてありヨーグルトそのものに詳しくなることができる一冊だと思う(あんまり覚えてないけど)。

続く2冊は簡単な通史本で、いずれもあまり知らない分野なので簡単に勉強できると嬉しいなと思って読み始めた。『はじめて読む人のローマ史1200年』はローマ人の気風と歴史の関連が論じられている部分が特に面白かった。『冷戦史(上)』は今まで冷戦史はあまり面白くないなあと思っていたのだが、読んでみると存外面白くて嬉しかった(まぁ下巻は積んでいるのだが)。

3月

『図説 宗教改革』
『東南アジアの歴史--人・物・文化の交流史』
『進化論はいかに進化したか』
『血の伯爵夫人エリザベート・バートリ』
『スペイン・ポルトガル史 上』
『神聖ローマ帝国』

3月は6冊。春期休暇があったのでまあまあ読んだらしい。『図説 宗教改革』、『スペイン・ポルトガル史 上』、『東南アジアの歴史--人・物・文化の交流史』『神聖ローマ帝国』辺りは基礎的な内容がまとまっている書籍で、『エリザベート・バートリ─血の伯爵夫人』は評伝で、彼女の人生が面白いのはもちろん巻末の裁判資料も興味深かった。『進化論はいかに進化したか』は進化論を中核とする進化学史で、こういう分野は全くの門外漢だが面白く読めた。

4月・5月

『一冊でわかるイタリア史』
『インド史 南アジアの歴史と文化』

4月は『一冊でわかるイタリア史』、5月は『インド史 南アジアの歴史と文化』を読んだ。なんでこんなに冊数が少ないのかはあんまり覚えていないが、いずれも苦手分野の基礎知識系なのでじっくり読んでいたのだろう。何か強く主張する書籍でもないので正直ここがこういう本でした、と印象に残ったものがあるわけではなかった。わかりやすくて面白かったです(まる)。

6月

『第一次世界大戦史 風刺画とともに見る指導者たち』
『物語 フィンランドの歴史』
『ギリシャ近現代史』※~4章

6月分。『第一次世界大戦史 風刺画とともに見る指導者たち』は中古で安いものがあったので読み始めたが、タイトルにもある通り画像が豊富でとても楽しい本だと思う。『物語 フィンランドの歴史』は恐らく国内にはあまり多くないフィンランド史文献で(あと明石書店のフィンランド史かな?曖昧です)、冬戦争、継続戦争などの有名ワードからなんとなくの印象でのみ語られがちなフィンランド史が簡単にまとめられている良書。

『ギリシャ近現代史』については当時作ろうと思っていた動画のリサーチのために読んだ本で、動画で扱いたい範囲が本書の第4章までなのでそこまでしか読んでいない。ちなみに動画のリサーチは終わらないまま忙しくなってしまい事実上凍結されている。

7月

『マニ教』
『物語 中国の歴史』

7月は上の2冊。『物語 中国の歴史』は基礎知識の本だが、長きにわたる中国の歴史が新著一冊にまとまっており、所々に蘊蓄も入っていて楽しい。『マニ教』は著者の書きぶりが面白いうえに、マニ教それ自体もとてもユニークな宗教で読んでいてかなり楽しい本だった。いつかボゴミル派について何かまとまったアウトプットをしようと考えており、その一部として読んだつもりが、マニ教が気になってしまった。

8月

『ダーウィンの呪い』
『ニーチェ入門』

8月は歴史が完全消失した月だった。『ダーウィンの呪い』は「(生物学的)進化=進歩」のイメージに関する話など、進化学史と進化学が社会に与えた影響について詳らかにする本。トランスヒューマニズムなどの現代における進化学と社会の関係にも触れ、この問題が歴史の問題でないことを理解させてくれる。

『ニーチェ入門』はタイトルの通りニーチェの思想に関する入門書で、彼の思想はもちろん、人生や思想的系譜、哲学史的影響についても記述がある。ただ(これは自分の理解力の問題だと思うだけど)どうしてもパワー系おじさんの感がぬぐい切れなかったので、もっとニーチェを読みたいなという感覚だった。

10月

『ロシア・ロマノフ王朝の大地』
『論理学 考える技術の初歩』
『物語 ポーランドの歴史』
『変身』

9月は用事が立て込み、『ロシア・ロマノフ王朝の大地』などの書籍は移動中などに読んでいたが、読み切ることができた本は1冊もなかった。『ロシア・ロマノフ王朝の大地』と『物語 ポーランドの歴史』はいつも通りの基礎知識本だ。『論理学 考える技術の初歩』『変身』についてはある程度流れや所感を述べたものを書いているのでそちらを参照。『変身』についてはネタバレではあるので注意されたい。

11月

小説にできること
アメリカ革命
地下室の手記

先月は上の3冊。『地下室の手記』についてはこちらを参照。『小説にできること』は小説というものの可能性について論ずると共に、創作論的な部分も強い書籍だったと感じた。僕は創作らしい創作をしないのであまり「そ~~~なんだよな~~~」と共感したことはなったのだが。

アメリカ革命は憲法制定を中心に建国期アメリカについて解説したもので、まさにこういうものを新書くらいのノリで読みたかったんだよなと中公新書の新刊ツイートを見たときから思っていた。ただその時にあんまりお金を持っていなかったので買わず、買わずにいたらそもそも存在を忘れてしまい購入したのが11月3日の誕生日のことである。内容については期待通りの面白さで、民主主義の聖典かのように扱われることすらある合衆国憲法の形成、また憲法として用いることへの合意に至る過程など、割と意外性もあって面白かった。

12月

『十字軍と地中海世界』
『オスマンvsヨーロッパ<トルコの脅威とは何だったのか』
『東欧世界の成立』
『フェリペ2世』
『カンブリアンモンスター図鑑 カンブリア爆発の生き物たち』
『オスとは何で、メスとは何か?性スペクトラムという最前線』

最後に今月。『十字軍と地中海世界』、『東欧世界の成立』、『フェリペ2世』の3冊はいずれも山川出版社が出す「世界史リブレット」シリーズの本だ(正確には『フェリペ2世』は世界史リブレット人という人物に注目したシリーズ)。今月の特徴の一つはこの世界史リブレットブームだろう。9月ほどでもないものの今月も多少忙しく、休日の数時間で読み切れて楽しい世界史リブレットシリーズはとても今の自分に合っていると思う。

『オスマンvsヨーロッパ<トルコの脅威>とは何だったのか』はオスマン帝国史でありながらヨーロッパとの関係に重きを置いた書籍。一通り読みはしたが、この一回の通読以上にこれからバルカン史をやっていくうえで良い資料になるかなという意味も込めて買った。

『カンブリアンモンスター図鑑 カンブリア爆発の生き物たち』『オスとは何で、メスとは何か?性スペクトラムという最前線』は『進化論はいかに進化したか』から続く生き物系ブームと「図鑑はパラパラ見て楽しいからかえって疲れてる時でも知識収集できるな~」というインプット奴隷的思考から購入、一通り眺めてみたといった具合だ。

『オスとは何で、メスとは何か?性スペクトラムという最前線』に関しては全体的に面白く勉強にもなったが、ほかの動物の問題と社会の問題を簡単に連結してよいのだろうか?という疑問は抱いた。著者は性スペクトラムという考え方がLGBTQの理解増進に寄与するのではないかとしていたが、安易に生物学上の概念や発見を人間社会に導入することはそれこそLGBTQに対する不寛容が発生する時に行われていたことではないだろうか。

懺悔─収支について

ということでここからは胃の痛い話をしようと思う。アマゾンの注文履歴などを見て、買った本と読んだ本のバランスがどれくらいとれているのか見てみようと思う。

僕の2024年のアマゾン書籍購入数は










51冊。

51冊、51冊。これはもう、見た途端に分かる。全くと言っていいほど消化できていない。しかも、世界史リブレットシリーズを筆頭に図書館もかなり利用するので、この51冊から33冊を読んだわけではない。なので今年買ったものの積読は34冊ある。

積読のうち、今年買った書籍(1)
積読のうち、今年買った書籍(2)

どうしてこうも積読が増えてしまうのか?この答えはいたってシンプルだ。僕という人間はあまりにもセールに弱い。そして飽き性。

セールに弱いという点についてはもう論ずる必要もないくらい単純なことだと思われるが、飽き性であるという点について、また自分の読書スタイルについて少し書きたい。

僕の読書スタイルは以下のようなものだ。まず、3~6冊ほどの本がある。そしてそれをその時々の気分や体力によって読み替え、飽きてきたら別の書籍を読む。進捗が分散するので時間がかかるが、2,3冊くらいは読み終わる。こういったカラクリなので、上に示している積読書籍も大半は「ちょっとだけ読んだ」の状態になっている。

来年は気を付けたいな、と思いつつ多分また同じ轍を踏むだろうから、すっぱり諦めてこの宿痾と仲良く暮らそうと思う。以上、今年の読書を振り返るのコーナーでした。また来年。

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