●古備前焼の特徴と見分け方とは?古備前の窯印・陶印って何?古備前研究の古陶磁鑑定美術館が解説!
【古備前焼】とは、江戸時代よりも前に作られた備前焼の総称です。
一言で古備前焼と言っても、室町時代や、安土・桃山時代や、江戸時代などの時代ごとで文化や流行が異なりますので、当然、時代によって作風や器種は異なります。
そのため、伝来している古備前焼の【姿形】を見ることで、その器がどの時代に作られたものか、ざっくりと想定できるのです。
例えば、室町時代時代以前の古備前焼は、いわゆる「壺・甕・すり鉢」の三種の神器を主に作っていましたから、室町時代の伝来品は、概ね「壺・甕・すり鉢」のどれかになりますし、江戸時代には、細工物や徳利などを主に作っていましたので、それらの伝来品が多くなります。
古陶磁鑑定美術館では、古備前焼の研究、調査、鑑定、蒐集、保存、継承事業を通じて、古備前焼の文化的、歴史的謎の解明を追求しています。
今回の記事では、古備前焼の年代別の見分け方や特徴の主要なポイントを解説します。
■①時代ごとの流行品目を理解する
~室町時代:壺・甕・すり鉢の実用品がメイン。国内シェアナンバーワン。
安土桃山時代~江戸時代初期:実用品+茶道具の時代。黄金時代。
江戸時代中期~江戸時代末期:細工物・徳利などの実用品がメイン。
明治時代以降:個人窯の時代。現代の備前焼に繋がる。
■②窯印・陶印を見る
窯印とは作品に記された「印」のこと。作者や注文主を表したと言われる。
窯印は、時代ごとに大きさや位置に特徴があるため、鑑定の参考になる。
例:安土桃山時代までの窯印は、櫛目や箆目で胴部や腰部に大きく印を刻み込む傾向がある。江戸時代以降は、高台の目立たない位置に小さな印を押印するようになるなど。
■③時代別の焼け肌や土質を理解する
やや玄人向けの内容になりますが、古備前焼は、時代ごとに土の荒さや、窯の構造、焼成による景色が若干異なりますので、それらの違いを見ることでも年代区分の参考になります。例えば、江戸時代に入ると、「伊部手」と呼ばれる塗り土を施す手法が使われ始めます。また胎土も水簸された細かい土を使うようになりましたので、それ以前の造形とは大きく異なります。それらで時代を分けることが可能になります。
これらが、古備前焼の年代を見分ける、主な特徴とポイントです。
実際に、当時の伝来品を見ることが最も参考になりますので、ぜひ古陶磁鑑定美術館のホームページをご覧ください。
また、古陶磁鑑定美術館では、古備前焼の鑑定のコツやポイントを解説した「古備前焼の年代鑑定」を出版しています。
全国の書店やオンラインショップで販売中ですので、ぜひご購入ください。
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