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All's Well That Ends Well / Theo Katzman 【和訳】

Did you hear the one
聞いたことがあるかい
About the old man and the son
老人とその息子の話を
Who had a horse
馬を持っていて
Who ran away?
その馬が逃げてしまった

All the neighbors came and said
近所の人がみんな来て言った
"We're sorry 'bout the stallion
「あの牡馬は残念だったね
He must have cost a fortune
ずいぶん高かっただろうに
What a shame"
気の毒だ」

But the old man, he knew better
でも、老人はよく知っていた
Any moment anything can change forever, yes
いつ何が起こってもおかしくないと

All's well that ends well
終わりよければ全てよし
But all's well even if it doesn't
End well
でも、終わりがよくなくても全てよしなのさ

All's well that ends well
終わりよければ全てよし
But all's well, even if it doesn't
End well
でも、終わりがよくなくても全てよしなのさ

One day, out of nowhere
After months had passed
数ヶ月が経ったある日、どこからともなく
The horse came back
馬が帰ってきた
And this time had a lady with him
今度は相手を連れて

She gave birth to baby horses
牝馬は子馬を産んだ
All the neighbors said
周りの人々は言う
 "congratulations
「おめでとう
What a fortune, God is great"
何という幸運だ、神は偉大だ」

But the old man, he knew better
でも、老人はよく知っていた
Any moment anything can change forever, yes
いつ何が起こってもおかしくないと

All's well that ends well
終わりよければ全てよし
But all's well even if it doesn't
End well
でも、終わりがよくなくても全てよしなのさ

All's well that ends well
終わりよければ全てよし
But all's well even if it doesn't
End well
でも、終わりがよくなくても全てよしなのさ

And the boy rode all the horses
そして、息子は全ての馬に乗った
Till one day he got kicked off and landed
On his back and broke it
蹴飛ばされて背中から落ちて骨折した日まで
All the neighbors sunk their heads and said
人々はみな頭を下げて言った
"How terrible, the poor young lad
「なんてことだ、かわいそうな若者だ
He'll never ride a horse again"
もう二度と馬には乗れないだろう」

It's hard to say just how the story ends
この話の終わり方は言いづらいのだけど
It's still unfolding, but we know the son was injured bad
まだ続く、でも息子は酷いけがを負った
Then a war broke out across the land
そんな折、各地で戦争が勃発した
And all the men were drafted but the boy
Who had the broken back
そして、背骨の折れたその少年以外の男たちはみな徴兵された

And as he lay there in bed, in the hospital
彼は病院で横たわっていた
All the young men were killed in the battle
若者は皆、戦死してしまった
You see, the old man, he knew better
老人はよく知っていた
Any moment anything can change forever, yes
いつ何が起こってもおかしくないと

All's well that ends well
終わりよければ全てよし
But all's well even if it doesn't
End well
でも、終わりがよくなくても全てよしなのさ

All's well that ends well
終わりよければ全てよし
But all's well even if it doesn't
End well
でも、終わりがよくなくても全てよしなのさ

題名は、シェイクスピアの戯曲で、日本でもことわざとなっている「終わりよければ全てよし」というものだ。
でも、読んでいくと分かる通り、この歌が実際に言っていることは「人感万事塞翁が馬」である。よく略して「塞翁が馬」とも言われる。
その意味は「幸運か不幸かは容易に判断しがたい」というものだ。
一見すると良いことが後々悪いことにつながったり、またその逆も然りということである。
そういう意味を含めて、終わりがよくなくても全てよし、としている。

言っているメッセージはとても良いものだ。

しかし、故事成語に詳しかったり、高校の漢文の内容を良く覚えてる人はこう思ったかもしれない。

「なんか細かい所違くない?」と。

まず、この曲では老人の息子は背中を骨折したが、原文では「堕ちて其の髀を折る。」となっている。

髀とはふとももの骨のことであり、足を骨折しているのだ。

恐らく韻を踏むためとか、後のin the hospitalとin the battleの対比のために脊椎損傷という重傷を老人の息子に負わせたのだろう。
そんなことをして心が痛まなかったのだろうか。

それにGod is greatなんて当時の中国人が言うのかという所も気になった。

人感万事塞翁が馬の話が最初に書かれたのは、前漢の時代に著された淮南子(えなんじ)という書物の中である。淮南子は紀元前150年前後の書であり、当時の中国の宗教は主に三教と呼ばれる儒教、道教、仏教であった。
この辺りの宗教関連の話は不勉強な上に死ぬほど面倒なので省略するが、三教のどれも「神は絶対唯一の存在」的な思想はなく、God is Greatなどというキリスト教的な発想には到らないと思われる。
もちろん原文にもそのような記載はない。

戦勝国とは勝手なものである。(偏見)

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