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練習の科学⑤上手くなりたかったら「繰り返さない反復練習」をしよう
練習の科学シリーズの5回目です。
前回までで「意図的な練習」の概要と具体的なロードマップを紹介しました。
それだけでも皆さんの練習ライフは向上すると思いますが,今回は意図的な練習をもっと効果的なものにするハックを紹介します。
「慣れ」はスキル習得にとって邪魔になる
今までのダンス人生の中で,おそらくほとんどの人が「反復練習」をしてきたと思います。
反復練習は上手くなるためには必須です。
ですが,やり方を間違えるとあまり効果が出ない練習になってしまうので注意が必要です。
そもそも人間は反復練習をしていくとどうしても「慣れ」が生じます。
これは繰り返された行動は自動的に習慣化しようとする性質があるためです。
靴ひもの結び方を覚えた当初は手順を意識して1つずつ丁寧に結んでいたでしょうが,今では手が勝手に動くと思います。
人間が生きていく上で,すべてのことを意図的にすると脳への負荷が凄いので,負荷がかからない行動にしていくことは仕方がないことですが,スキルを習得する上ではこの習性は逆効果になってしまうのです。
だから反復練習するときには,反復する必要があるけど,それを慣れさせないようにしなければならないという,なんともわがままな条件が必要なのです。
上手くなりたいなら「繰り返さない反復練習」をしよう
そんなわがままな練習方法があるのかと言えば,実はあるのです。
それが「リコンソリデーション」と言われる練習方法です。
リコンソリデーションとは,あるスキルを反復練習するときに微妙に変化をつけながら行う反復練習のことです。
トム・ヴァンダービルト著「初心にかえる入門書」には
だが、極めて反復的な動きであっても、じつは毎回微妙に変化している。運動には、つねに調整と最適化が必要だからだ。そのため、ベルンシュテインは、同じスキルを練習する際も、たんに「運動上の問題を解決する手段としての動きを何度も何度も繰り返す」べきではないと述べている。要は、すでにできつつある技を、同じ条件下で、完成するまで延々と練習するのはよくないということだ。それではあまりに柔軟性に欠け、ちょっと条件が変わっただけで、技が上手くいかなくなってしまう可能性がある。
というふうに反復練習する際には,まったく同じように反復するべきではないと書かれています。
このように反復練習に微妙な変化をつけながら行うことで,僕たちは毎回微妙な調整を要求されるわけです。
だから「慣れる」ことが軽減され,つねに「意図的な練習」が発動している状態になるんですよね。
これが「繰り返さない反復練習」の正体です。
繰り返さない反復練習の具体例
とはいっても具体例がないとピンと来ないと思いますので,具体例をいくつか紹介したいと思います。
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