練習の科学⑩意識的練習と付随的練習
練習の科学シリーズの10回目です。
今回はジョシュ・カウフマン著「たいていのことは20時間で習得できる」という本の中にある「意識的練習と付随的練習」についてご紹介します。
カウフマンさんは「スキル習得オタク」みたいな人で、いろんな技術を身につけることが趣味の人です。
自分を実験台にして、スキル習得に関する本を書いているのですが、この中で自身が「タッチタイピング」を習得する過程も紹介されています。
QWERTY配列とColemak配列のキーボード
今回の話の背景から説明すると、キーボードの配列って僕らが馴染みがある配列とは別の配列もあるんですよ。
僕らが馴染みがあるのは「QWERTY配列」というキーボードで、どうやらこの配列は効率はあまりよくない配列なんだとか。
そこでカウフマンさんは、馴染みがあるQWERTY配列をやめ、効率がよいと言われているColemak配列を学び直そうとしました。
目標は1分間で60語(60WPM)
だいたい仕事で生産性があがるタイピングの速さが毎分60ワード打てるかどうか(60WPM)らしいので、この数値を目標と設定しました。
事前に計測してみたところ、馴染みがあるQWERTY配列では61WPMなのでカウフマンさんはクリア。
ではこれから習得しようとしているColemak配列だったらどれくらい速くタイピングできるのかとテストしてみたら、5WPMでした。
ここからどういう練習過程で、どれくらい速くなるかというのを記録するわけです。
意識的練習で45WPMまで上達
あまり細かい過程は本を読んでいただくとして、カウフマンさんは毎晩45分間タイピングの練習を続けて、練習時間が14時間になったところで、45WPMまで上達しました。
この45分間は、タイピングを練習するためだけの45分間、タイピングに集中した45分でした。
これを「意識的練習」と呼びます。
いったん意識的練習をやめてみると…
45WPMに到達した時点で、カウフマンさんは意識的練習をやめ、「付随的練習」に切り替えました。
どういうことかというと、毎晩45分の練習をいったんやめ、仕事中にColemak配列のタッチタイピングを使うことで、それを練習としたのです。
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