練習の科学①効果がある練習とない練習
練習の科学シリーズを始めます。
練習の科学については,YouTubeでも解説した動画があるので,興味がある方はみてください(けっこう尺が長いですが)。
Aゼミ online では,練習の科学についてアップデートした内容のあるので,あらためてまとめたいと思います。
今回は効果がある練習とない練習について,アンダース・エリクソン著「超一流になるのは才能か努力か?」の内容をもとに解説していきます。
エリクソンさんは,練習には三段階あると主張しています。
愚直な練習
目的のある練習
意図的な練習(deliberate practice)
結論から言えば「意図的な練習をしましょう」ということです。
愚直な練習
愚直な練習とは,単に何かを繰り返すだけで技能が上達していくと期待するような練習方法のこと。
例えば,次の会話は音楽教師と生徒の会話ですが,皆さんも身に覚えがないでしょうか?
上記の会話を文字で見たとき,「そりゃあこの人は上手くならんわな」と思うでしょうが,そう思っているあなたもこうなっている可能性はかなり高いでしょう。
ダンスだと,レッスンには来てるんだけど,レッスンメニューをこなすことだけに徹している人は「愚直な練習」をしていると言ってもいいでしょう。
やたら必死に振付を覚えようとしていて,振付を覚えたら満足という人たちです。
もちろん楽しむことが目的ならOKなのですが,愚直な練習だと5年10年たっても「上手い」と他人と言われることはまずないでしょう。
もし上手くなりたいという意志があり,愚直な練習しかしてない場合は改める必要があります。
目的のある練習
愚直な練習だけをしていると,そこそこのレベルにしかならないのですが,目的のある練習だと「上手く」なることができます。
目的のある練習には4つのポイントがあります。
1. はっきりと定義された具体的目標がある
その日の練習が上手くいったかどうか判断することができるような目標設定が必要である。例えば「課題の振付を音楽でミスなく最後まで3回連続で踊れること」のような目標を決める。
長期的な目標を達成するためのたくさんの小さなステップを目標とし,積み重ねていく。例えば「バトルで優勝したい」というのは長期的な目標としては良いが,練習の効果を高めるには定義があいまいである。
バトルで優勝するためには,1つ1つのベーシックの質が大事だと仮定すると,じゃあベーシックの質を上げるためには何をする必要があるか,とどんどん深堀りしていき,練習メニューとして何ができるのかを考える。
重要なのは「上手くなりたい」という漠然とした目標を,改善できそうだという現実的期待を持って努力できるような具体的目標に変換することだ。
2. 集中して行う
やるべき練習に全神経を集中しなければ,たいした進歩は望めない。
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