練習の科学③トッププレイヤーが持っている「心的イメージ」とは
練習の科学シリーズの3回目です。
前回は意図的な練習に特有の2つの特徴の内,1つ目についてお話しました。
今回は2つ目の特徴「上手くなるためには指導者が必要」ということについて考察していきたいと思います。
「習わなくても上手くなれる」と主張する人もいますが,習ったほうが早く上手くなることはすでに疑いようがない事実。
では「習う」と「習わない」では何が違うのでしょうか。
指導者に習うことで得られるもの
習うほうが上手くなるスピードが早いということは,習わない人よりも学びが深くなるということです。
では指導者は学習者に何を与えているのでしょうか。
最初に思いつくのは「フィードバック」です。
自分一人で練習していて,自分自身にフィードバックをすることも不可能ではないのですが,自分だけの視点は,やはり自分の域を超えないわけです。
他者からの視点,とくに専門家である指導者からの視点は自分では気がつかないようなフィードバックを与えてくれます。
また学習者にとって不足しているところにフォーカスして教えてくれることも,学習者の限界を1歩超えて負荷をかけることも,しっかりとした指導者なら可能でしょう。
ゴルフやスケートなど,プロの選手でもコーチをつけるのが常識となっているのは,やはり指導者がいるというのは上達にとって必要なことなのです。
心的イメージを獲得していく
意図的な練習の第一人者のアンダース・エリクソンの著書「超一流になるのは才能か努力か?」によると,意図的な練習の大部分は「その活動に役立つ有効な心的イメージ(mental representation)を作り上げていくことだ」と書かれています。
心的イメージとは,直訳すると「心の中に考えやイメージとして表現すること」,エリクソンさんが言うには「が今考えているモノ、概念、一連の情報など具体的あるいは抽象的な対象に対応する心的構造」ということです。
僕も始めてこの本を読んだとき,意味がわからなかったので,とりあえず本に書いてある具体例みたいなものを引用します。
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