【エッセイ】SCPライセンスガイド改訂 裏話
私はここ数年、少しずつではあるが日本の法律について勉強し、理解を深めようと努力している。
理由としては、勿論自衛のためでもあるが、仕事に活かすためでもある。
かつて創作サイト「SCP財団」に参加していた時期。
著作権について長期に議論を交わしたことがあった。
今回はそんな法律と、少し前にひと暴れしていたときの話。
あんなに怒り狂った時期はないだろう
3年前、私は幾度も激昂した。
それは、「SCP財団」という著名な創作サイトのライセンスガイドを抜本的に改善するチームに加入し、議論をしていた時のことだった。
Before
After
私が本気で怒りたくなるほど、SCP財団の(一部の)スタッフの対応の悪さや著作権/著作隣接権への理解度の低さはひどいものだったと、今でも振り返ることがある。
有名コンテンツのハズなのに
SCP財団といえば、VTuberの中ではましろメメさん、天開司さんなど名だたる方々もサイトwikiや2次創作ゲームなどを通じて楽しんでいる。
オンリー即売会が開催されたり、書籍を始めとする2次創作商業グッズが様々など販売されるなど、影響力がとても大きいコンテンツだ。
「これから日本のサブカルチャーの人気コンテンツの著作権ルールを決めましょう」
そんな時に、SCP財団で使用されている「クリエイティブ・コモンズ」というライセンスをはじめ、著作権や著作隣接権に詳しい人間はスタッフ側に、ほぼいなかったのだ。
とほほ……
念のために補足するが、彼らはあくまで「SCP財団」という創作サイトを管理する日本語版のボランティアスタッフである。
私の考えでは、ボランティアとはいえ、管理する以上は法を知っておくには越したことはないし、そもそも最低限サイトで使用している「クリエイティブ・コモンズ」に関する知識はついてて欲しかった。(勿論、今のスタッフの法知識については知るところではない。)
当初議論を始めた際には、あまりに先方と話がすれ違い、まるで進まなかった。
すれ違う様子に、一般ユーザーから参加した私達は困惑した。一般ユーザー同士でも互いに牽制もしつつ、不満を裏で漏らしていた。
当時の様子を振り返るとこんな事があった。
・大事な変更なのに、再三注意しても多数のスタッフが議論に参加しない
・参加者に知らされずに進むライセンスの内容変更
・2次創作のルールを決めるのに2次創作について知らない
・ストレスのあまりに各位が胃痛、頭痛、鬱などに悩まされる
などなど。
箇条書きにしきれないほど、あのライセンスガイドには、尽力したスタッフを含めた参加者の苦労がある。
私自身感情的になっていたこともあり、正直にあの当時の行動については恥じるべき点もあったと認識している。
あの時、あまりに感情的になっては議論にならないという点も学ぶべきだった。
(あの時とにかく動かないスタッフを動かすかが大変だった……。勿論、あの時に関わった方々には今では感謝の気持はある。)
7年以上修正されていなかった誤り
私はあのライセンスガイドにおいて、2次創作に関する内容を中心に、冒頭の注意喚起などを追加した。
中でもファインプレーを1つ上げるなら、SCP財団の創作をする上で守らないといけない「クリエイティブ・コモンズ」のライセンス上、必要な「公表年」が書かれていなかったのを修正したことだ。
これはかなりの問題で、これまで日本のSCPのコミュニティは多数の2次創作を作成してきている。
SCP財団の2次創作は「ライセンスを守れば、2次創作を作れる」という名目だったわけだが、ライセンスガイドが間違っていたことで、その大半の創作物が「クリエイティブ・コモンズ」を正確に守れていなかったのだ。
それに気づくまでに7年以上も要しており、あの時に私がたまたま見つけなければ、今も間違ったままだっただろう。
誤りを見つけたときには「まさか」だった。
なお、今でも2次創作には色濃く間違いが浸透しており、最早補正は難しいだろう。
最近の法律の勉強の話
あれから、ライターにもなり、ほんの少しではあるが、落ち着いた方だと思う。
法律の知識も日々少しずつ学びつつある。
現在は有料記事であるが2022年にはVTuberの法的動向にも着目した記事を書いており、東京地方裁判所に行ったり、「判例タイムズ」を読んで判例を確認して記事を書いた。
ごく最近では、メタバースやAIの早い開発スピードを考慮した政府の法整備にも着目して、官公庁の動向チェックも仕事の上では必要になっている。
単に現行の法律や裁判例ではメタバース、AIイラスト、チャットAIを判断できる材料は少ないため、新しい動きも見ながら、著作権/著作隣接権を中心に知識を取り入れている。
私は法律を知ることは生きていく上で必要なことだと考える。
いつ、何があるか分からない人生。
感情論だけでなく、冷静に判断していくのも大事なのだと今では思う。
(本文はSCP財団の2次創作でなく、クリエイティブ・コモンズからの生成物でもないため、著作権および著作隣接権は古月に還元されます。)