曲水
とても そわそわしていた…
ずっと あることが
気になっていて仕方がなかった
接点のないまま 間接的に
それとなく 言葉重ねて気を引いたり
逆に引かれたりした
わざと逆撫でするようなことを
して見せたり されたりもした
それに疲れて
思いきって手紙を送った
すぐに返信がきた
お互い心を隠しながら
すこしだけ見せるよう
関をゆるめた
何度かやり取りが続いた
近づいたように思えたり
わざとよそよそしく装ったりもした
少しだけ素直になると
自然の流れで
合う約束が出来た
彼女は
こっちが考えていることは
だいたいわかっているくせに
わからないフリをした
こっちが
それに気づかないフリをしているのも
知っていた…
当日 近くまで迎えに行くと伝えた
彼女は
自分で調べて
電車で行くと言った
前の日
そわそわして明け方 少ししか
眠れなかった
約束の場所に早く着きすぎた
近くの苔水のある庭で
随分と時間を潰した
15分前
約束の場所へ戻る途中で
彼女が歩いてくるのが見えた
「あっ もう来てたんだ」みたいな顔で彼女が笑った
そわそわがドキドキに変わって
少しフラっとした
彼女がトコトコと近づいてくる
どう 一声かけよう…
心が全力で
誰か助けて と
叫びだした…
彼女は 自分の思うがまま
操るものを
手に入れてゆく
最初から
ぼくのほうが悪かったのは
わかっていた
ぼくは自分から勝手に転んで
心に大怪我をした……
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