電子記録債権と電子記録債務
今まで商品売買時に出てきた
『あとで代金を受取る権利(債権)』
『あとで代金を支払う義務(債務)』
これらは、決済時に振込みや口座からの引き落としで、代金を受取ったり支払ったりします。
ただ、そのためには決済日の管理と手配が必要で、取引先が増えれば増えるほど煩雑で事務負担が大きくかかります。
そういった事情から、これらの債権・債務を電子化して、コストを抑えながら資金調達をより柔軟に行うための仕組みが作られました。
これが『でんさい』でして、手形や掛取引を電子化することで、取立や振込みの管理が楽になるだけでなく譲渡や分割もでき、とても便利になります。
※譲渡や分割は、2級でベンキョーします。
この電子化された債権を電子記録債権勘定(資産)、債務を電子記録債務勘定(負債)で仕訳します。
電子化された債権は、電子債権記録機関で記録・管理してもらいます。
また債権・債務は、取引銀行を通じ電子債権記録機関に登録します。
この登録のことを発生記録請求と呼んでいて、支払い義務のある債務者側からの請求を債務者請求方式、受取る権利のある債権者側からの請求を債権者請求方式といいます。
どちらから発生記録請求をしたとしても、権利・義務の発生は取引銀行を通じて通知されます。
なお、債権者請求方式は、発生記録の請求からの流れが、上記スライドと反対の流れ(左回り)になります。
黒シバさん → しろくまさん
そして支払期日がくれば、それぞれの取引先である銀行同士で自動的に決済してくれます。
仕訳のタイミングは…
①債権・債務の発生時
② 〃 決済時 です。
例題で見ていきましょう。今回は、債務者請求方式です。
債務者側の処理
①債務の発生時
②債務の消滅時
①②債務の発生と消滅の流れ
次に、債権者側の処理を見ていきます。
債権者側の処理
①債権の発生時
②債権の消滅時
①②債権の発生と消滅の流れ
処理はシンプルですが、どのようなタイミングで仕訳をするのか?をきちんと確認しておきましょう。
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ここからは、手形や掛取引を電子化するとどんなイイことがあるのか?について、もう少し具体的に書いてみます。試験には直接関係のない実務的な話なので飛ばしてもらっても大丈夫です。興味がある方は、チェックしてみてください。
手形や掛取引を電子化することでできる機能は、ほとんど手形と同じですが、他にもお得なことがあります。書き出してみますね。
例えば、掛代金の振込や手形決済を行う側は、以下の手続きや注意が必要です。
・手形発行の手間が必要
・振込の手配
・券面金額に応じて印紙税が必要
・紛失のリスク
・二重譲渡ミスのリスク
これらが、電子化されることで以下のようなメリットがあります。
・手形の発行不要=発生記録とよばれる登録のみ
・手形や振込等の支払いをでんさいだけで管理可能
・紛失リスクなし
・譲渡や金額分割ができ管理が簡単になる
メリットは支払側だけではありません。受取側にも
・手形の受取なし(紙ベースの管理不要)
・取立手続きが不要=自動で入金
などがあり、とても便利です。そういったこともあって、最近は手形よりも普及が進んでいます。
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今回はここまで。
お疲れさまでした。