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簿記上の取引を考えてみよう
前回は財務諸表の復習と各グループ所属の勘定科目一覧をご紹介しました。
勘定科目一覧(日商簿記初級用)、よかったらダウンロードしてご活用くださいね。
今日は、取引について学んでいきます。
簿記の世界の取引とは
日頃、耳にする取引と簿記の世界の取引はビミョーに違っています。
どのように違っているかというと、一般的に取引と呼ばれているものでも簿記の世界では違う場合があったり、反対に一般的には取引とは呼ばないけれども簿記の世界では取引となる場合があります。
例えば、『事務所月額10万円でを借りる契約をした』としましょう。
これは一般的には取引と呼びますが、簿記の世界では取引とはなりません。
契約をしただけでは、資産・負債・純資産は増減していませんし、費用・収益も発生していないからです。
また、『店舗が火事にあい、店内が丸焦げになってしまった』といった場合、一般的には取引とはなりませんが、簿記の世界では取引として扱います。
仕入れた商品や商品棚 (備品)が使い物にならなくなって(費用・資産の減少)、その金額が計算できるからです。
他にも、盗難や紛失も簿記の世界では取引として扱います。
このように簿記の世界では、金額で表すことができて、資産・負債・純資産・収益・費用の各グループ(取引要素)に影響するものはすべて取引として記録します。
ーーー問題ーーー
簿記上の取引には〇、そうでなければ✖をつけなさい。
①水道代8,000円を現金で支払った。
②取引先と新商品について商談した。
③アルバイトを時給900円で雇い入れた。
答え①〇 ②✖ ③✖
できたかな?
取引の8要素
貸借対照表と損益計算書の金額は、会計期間中に資産・負債・純資産・費用・収益の5つのグループ(取引要素)が増減・発生した記録の集計結果です。
言いかえると、一つひとつの取引は、この5つのグループが増えたり減ったり、発生することでできているということです。
では、5つのグループ(取引要素)を増減・発生に分解してみましょう。
資産の増加・資産の減少
負債の増加・負債の減少
純資産の増加・純資産の減少
費用の発生
収益の発生
『8つの取引要素』になりました。これらが組み合わさって、毎日の取引を記録していきます。
でね、簿記ってとても合理的にできてまして。
記録する時は『勘定科目と金額だけで書く』という話を以前にしたのを覚えてますか?
それだけしか書かないのに、どうして増えたとか減ったとかがわかるのかと言うと、財務諸表の勘定式で見た通り、書く場所が決まっていることを活用しているからなんです。勘定科目と金額を書いた場所によって意味を持たせているんですね。
簿記の世界では左側のことを借方(かりかた)、右側を貸方(かしかた)と呼んでいます。
ひだ『り』=か『り』かた
セットで覚えるか、借方は『り』で一致する左側と覚えるとよいです。あと漢字で借りる・貸すと書きますが、そういった意味はないのでご注意を。
では、さっき分解した『8つの取引要素』を借方、貸方に分けてみますね。
毎日記録する一つひとつの取引は、この借方要素と貸方要素の組み合わせでできています。
しかもこの組み合わせは、原因と結果の組み合わせになっていて、必ず一つの取引を二面的に記録しているんですね。
このような記録方法を複式簿記と呼んでいます。通常『簿記』といえば複式簿記を指しています。
なお、8つの取引要素の組み合わせパターンは以下の通りです。
うーん…。
見た瞬間にウゲッとなりますが(笑)、よく見ていただくと増加と発生は、貸借対照表と損益計算書勘定式のフォーマット通りの位置です。
フォーマット通りの位置のことをホームポジションと呼んでいます。
例えば、資産で確認してみましょう。
資産のホームポジションは貸借対照表の借方です。なので資産の増加があれば、借方に書きます。また資産の減少があれば、ホームポジションの反対側である貸方に書きます。
8つの取引要素が借方要素・貸方要素のどちらなのか?は、簿記の基本なのでしっかりと覚えなければいけませんが、初めのうちは混乱するかもしれません。
そういう時は、優先順位をつけて取り組むと効果的。
まずは、財務諸表のホームポジションをしっかり頭に叩き込みましょう。該当する取引要素が増え(発生し)たらホームポジション側です。
これを覚えられたら、借方要素・貸方要素の組み合わせである複式簿記を使いこなせる日は、グンと近くなります。
なお、借方要素同士や貸方要素同士の組み合わせはありません。
ーーー問題ーーー
( )に借方・貸方のどちら側に記入するか答えなさい。
①費用の発生は( )に記入する。
②純資産の増加は( )に記入する。
③負債の減少は( )に記入する。
答え①借方 ②貸方 ③借方
今回はここまで。
お疲れ様でした。
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