商品売買の基本
今回からいよいよ本格的な取引である商品売買を見ていきます。
検定試験の初級と3級では、販売業における【商業簿記】をベンキョーしています。
三分法(さんぶんぽう)
商品を売ったり買ったりする際には、三分法(さんぶんぽう)と呼ばれる三つの勘定科目【仕入・売上・繰越商品】を使って仕訳をします。
商品を買ってきた時には仕入勘定(費用)、商品を販売した時には売上勘定(収益)を使います。今まで何度か例題でも使ってきたので、予測がついた方もいらっしゃるかもしれませんね。商売をしていると圧倒的に使われる勘定科目です。ぜひ、何度も仕訳を書いて定着させていきましょう。
繰越商品(くりこししょうひん)勘定は資産の科目でして、3級で詳しくベンキョーしますが、決算時点で持っている在庫を表す勘定科目です。初級では出てこないので、仕訳での使い方はここでは解説しませんが、三分法と言われれば三つの勘定科目を思い出せるよう記憶に留めておきましょう。
さて、商品売買時に仕訳が必要なタイミングは、以下の通りです。
①商品を売買したとき
②決済したとき
③返品があったとき
④商品売買にまつわる費用がかかったとき
⑤商品よりさきに代金の一部を受け渡ししたとき
今回は『①商品を売買したとき』『②決済したとき』を見ていきます。
仕入(費用)
販売するための商品を買ってきたときは、仕入勘定を使います。勘定科目では送りがなは不要です。
仕入れをする相手先のことを仕入先(しいれさき)とよんでいて、多くの場合ひと月の間に何度も取引が発生します。そうすると、毎回現金を用意するは大変手間ですし、取引規模が大きくなっていくと盗難や紛失も心配です。そこで、双方の信頼関係をもとに支払いルールを決め、掛取引(かけとりひき)が行われます。
掛取引
代金の支払いを後日行う取引のことで、いわゆるツケのことです。あとで支払う側を買掛金(かいかけきん)、あとで受け取る側を売掛金(うりかけきん)として処理します。
買掛金は負債でして、あとでおカネを支払う義務が増えたことを表しています。また、この義務のことを『債務(さいむ)』といいます。
一方、売掛金は資産です。これは、あとでおカネを回収できる権利が増加したことを表していて、この権利のことを『債権(さいけん)』といいます。
例題でみてみましょう。
①商品を購入したとき
問題文には、商品を買って代金の一部は現金ですぐに支払ったけれども、残額は仕入れた日ではなく月末に支払うとあります。ですので仕訳は、残額を買掛金とし、負債の増加を表すホームポジション側に記入しています。
また買掛金は、約束の日が来たら必ず支払わなければいけません。このとき預金から支払うコトを決済(けっさい)といいます。
②決済したとき
決済することで、買掛金として計上していた債務が減少し、当座預金も減るのでそれぞれホームポジションの反対側に仕訳しています。
ここまでで、ようやく30,000円で仕入れた商品にまつわる取引が完了しました。
さて。
仕入れた商品は、しっかり売っておカネに変えないといけません。そうでなければ、アナタのお給料は現物支給…なんてことに。(汗)
早速、販売したときの仕訳を見ていきましょう。
売上(収益)
仕入れた商品を販売したときは、売上勘定を使います。この時も勘定科目に送りがなは書きません。販売する取引先のことを得意先(とくいさき)といいます。仕入時と同じように、頻繁に取引のある得意先とは掛取引で行います。
①商品を販売したとき
商品を販売しているので、売上勘定が収益のホームポジション側に記入し、代金は掛とありますから、あとでおカネを回収するコトが分かります。ですので、売掛金勘定を資産のホームポジション側で仕訳しています。
もちろんこの売掛金は、約束の日に回収が必要です。
②決済したとき
振込み=決済されたことで、おカネを回収する権利(債権)がなくなったので、売掛金がホームポジションの反対側に仕訳されていますね。
ここまでで、ようやく40,000円で販売した商品の取引が完了しました。
商品を購入すると言っても、ワタシたちが日頃コンビニでお買い物するのとはずいぶん様子が違いますよね。お店や会社は、こういったひとつ一つを記録し、長く経営できるように管理しています。
まとめ
・商品売買時は、三分法=仕入・売上・繰越商品勘定で仕訳する
・商品を購入したら仕入、販売したら売上
・あとでおカネ支払う取引を掛取引という
・あとでおカネを支払う義務(債務)を買掛金という
・あとでおカネを回収する権利(債権)を売掛金という
・預金からの支払いを決済という
今回はここまで。
お疲れさまでした。