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経過勘定Ⅲ-費用の未払い-

費用の中には、まだ支払いはしていないけれど当期に発生している費用があります。

例えば、決算日3月31日の会社が5月1日に借入れ、利息の支払いは半年分として3,000円ずつを10月末と4月末に支払っているような場合です。タイムテーブルにまとめるとこんな感じ。

1費用の未払い

利息の支払いは、借入れをした半年後におこなわれるわけですね。 

では、決算日3月31日の時点で、利息の支払いがどこまで終わっているのか?を確認してみましょう。

2費用の未払い

初回はx1年10月31日なので支払いが完了していますが、次回がx2年4月30日です。

そうするとx1年11月1日~x2年3月31日までの5ヶ月分は、利息が発生しているのにも関わらず支払いをしていないため、仕訳がおこなわれていない状態です。

このようなまだ支払いはしていないけれども当期に発生している費用のことを費用の未払いといい、決算時に未払費用(みばらいひよう)勘定(負債)で処理します。

未払費用の費用の部分には、具体的な費用名を入れます。例えば、支払利息であれば『未払利息』といった具合です。

費用の未払い

【例題13-8】①
x1年7月1日に借入金1,000,000円を年利率3%にて借入れ、利息は12月末と6月末に6ヶ月分を現金でまとめて支払っている。決算にあたり、利息の未払分を計上する。なお、決算日は3月31日である。

まずは、利払日をタイムテーブルに書き起こし情報を整理します。

例題13-8①1


『決算日は3月31日』とあるので、当期の決算日はx2年3月31日だということが分かります。そうすると、当期利息の未払分は、x2年1月1日~3月31日までの3ヶ月分だということが分かりますね。

例題13-8①2


ここまで、当期の支払利息(費用)とすべき期間が確認できました。あとは金額を把握し仕訳します。

問題文に『借入金1,000,000円を年利率3%にて借入れ』とあります。これは、借入金1,000,000円に対し年間3%の利息を支払うという意味です。そうすると3ヶ月分の利息額は、1,000,000 ✕ 3% ✕ 3ヶ月 ÷ 12ヶ月 = 7,500円となります。

当期分として7,500円の利息が発生しているので、費用の発生=支払利息を記入します。

例題13-8①3


時間が過ぎているにも関わらずまだ支払っていないので、負債の増加=未払利息を記入します。

例題13-8①4


では、総勘定元帳で支払利息勘定の残高を確認してみましょう。
12月末の利払額は、1,000,000 ✕ 3% ✕ 6ヶ月 ÷ 12ヶ月 = 15,000円です。当期末の支払利息勘定の残高は、決算整理仕訳の未払分と合計し15,000 + 7,500 = 22,500円となります。

例題13-8①5


再振替仕訳

決算で処理された未払利息勘定は、必ず翌期再振替仕訳をおこないます。

【例題13-8】②
翌期となり、決算整理仕訳の未払利息7,500円について、再振替仕訳をおこなう。

決算時に支払利息として処理した費用を逆仕訳します。費用の消滅=支払利息を記入します。

例題13-8①6


負債の減少=未払利息を記入します。

例題13-8①7


総勘定元帳を確認すると、再振替仕訳が終わったあとの支払利息勘定は、貸方残高となっていてマイナスの状態です。

例題13-8①8


ところが利払日である6月末には、x2年1月1日~6月30日までの半年分の利息を現金で支払います。金額は、1,000,000 ✕ 3% ✕ 6ヶ月 ÷ 12ヶ月 = 15,000円です。そうすると、x2年4月1日以降の支払利息勘定残高はどうなるでしょうか?

例題13-8①9


そうなんです。期首の再振替仕訳があることで、当期の費用だけが残高となるんですね。

あ~、ホントこの仕組みを考えた人たちってば…天才だ。

というわけで今回は、まだ払っていないけれど当期の費用として処理する未払費用について解説しました。次回は、収益の未収についてベンキョーします。

ではまた。


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