思い出の更新
昨日急に思いたって、おもちつきをした。とは言っても、もちつき機はないので、Google先生に質問してみるとどうやら、ホームベーカリーでできるらしい。
ふとした思いつきには付きものの小さなちいさなつまずきが、即座に解決できるなんてホントにイイ時代だ。
さて。
わが家にホームベーカリーはあるけれど、もち機能はついていない。そんな時は炊飯器でもち米を炊き、パン生地コースでこねて小さく丸めればイイらしい。これなら私にもできる!!というより、過去に何度ももちつきを経験していたことを思い出した。とりあえず目に付いたレシピで挑戦してみる。
☆・☆・☆
私が小学生だった頃、おもちつきは正月前のわが家の恒例行事だった。朝から、もち米一升分(!)を母が蒸し器にかけて下準備をする。蒸しあがったら、いよいよ家族全員でスタンバイ。ダイニングテーブルの上に、こたつの天板だけを載せ片栗粉を広げる。ふわふわサラサラとした真っ白の片栗粉は、さわっているだけで何だか楽しくなってくる。つい、いつもだったら絶対にしないのに
「雪降ってきた。」
そう言って、精一杯手を伸ばし片栗粉をハラハラと上からまいてみる。もちろんヒジから先は真っ白だ。もうそれだけでケラケラ笑う。
だけど、間髪入れず怒鳴られた。一瞬にしてワタシたち家族全員から笑顔が消え、不機嫌な父と一日中過ごすしかなかった。
今ならそんなに怒鳴らなくても…と思うし、子供相手にそれだけの事で丸1日悪い方へ機嫌を保っているなんてホントに飽きれる。
当時のワタシは、泣かなかったけど怒られたことがショックで悲しかった。「楽しい時間が続くと思ってたのに…こんなんじゃないはずやのに。」そうも思いながら、とにかく黙ってひたすらおもちを丸めてたっけ。
そうは言っても、1升分のおもちつき作業の時間は長い。もち米を2~3合づつ蒸してはつき、ひとかたまりのおもちをテーブルにだして小分けにする。これを4回ほどくり返す。
ワタシはちゃんと次の楽しみを見つけていた。
つまみ食い。
最初は小さな声で「食べても、いい?」と遠慮がちに聞いてはひと口だけ。次第にお砂糖、おしょうゆをつけて大胆に頬ばる。つきたてのお餅はたまらなく美味しく、つまみ食いは最高のごちそうだった。
☆・☆・☆
今回、初めて1人でついたおもちは、びっくりするぐらいデロデロの1度触るとまとわりついて離れないどうしようもなく柔らかな、ワタシの記憶とはまるで違った白い物体となった。
思ってたんと違う。
おもちは、持ち得る能力を遺憾なく発揮して、テーブルの上とワタシの手に広がっていた。
そしてワタシは、改めてギョッとする。
前もってテーブルに敷いていたはずのクッキングシートがない。なんと、ワタシとおもちがイチャついてる間に、するりとテーブルから舞い降りて床の上で静かにスタンバイしていた。
片付けの後に残されたのは、傷だらけのテーブル、救出された数少ないおもちと失敗のレシピ。
再挑戦を楽しみに変えて、無事に思い出の更新が終了した。
きっと他にも経験済で未更新のコトが沢山あるのだろう。新しいことへの挑戦がちょっと億劫なときには、更新をしてみよう。苦い経験と楽しみがあるはずだから。
大惨事のあと。
ひぇ…ヒドい。
キッチンマット買いました。(笑)