仕訳ってなんだろう?

前回は
・簿記上の取引の定義
・5つの取引要素(資産・負債・純資産・費用・収益)を借方要素と貸方要素の二つに分解する
・分解した要素を結合して記録する
というお話をお伝えしました。

今回は取引例を使って、分解した取引要素をどのように結合するのかを見ていきます。

例題


(1)商品を現金で仕入れた。
商品を購入することを仕入れと言いまして、その代金を現金で支払ったという取引になります。ここでは仕入れという費用が発生して、現金という資産が減っています。ですので解答は… 

費用の発生 ⇔ 資産の減少
 (仕入  ⇔  現金)

となります。解答の下にある( )はヒントとして勘定科目を書いています。


(2)銀行からおカネを借りて普通預金に入金した。 

銀行からおカネを借りることを借入をすると言います。これは銀行に借金をすることでして、負債が増えている状態です。また、それによって手元に増えるのは現金になりますが、今回はその現金を普通預金に入金したと言っているので、資産が増えています。つまり…

資産の増加 ⇔ 負債の増加
 (普通預金  ⇔  借入金)

このように簿記の世界では
『何かが増減・発生したから、何かが増減・発生した』
というように、二面的に取引を捉えて記録をしていきます。

一つの取引が行われたら、借方要素と貸方要素に分解し、どのように結びついているのか?を把握することがとても大切です。

ーーー問題ーーー
以下の取引を、資産・負債・純資産の増減、費用・収益の発生にて借方要素・貸方要素に分解し結合しなさい 。( )内はヒント
①商品の陳列棚を現金で購入した。 (備品 ⇔ 現金)
②商品を売り上げ、代金は現金で受け取った。 (現金 ⇔ 売上)
③アルバイトの給料を普通預金から振り込んだ。 (給料 ⇔ 普通預金)


答え
①資産の増加⇔資産の減少 ②資産の増加⇔収益の発生 ③費用の発生⇔資産の減少


仕訳とは

毎日の取引には、取引要素の分解・結合をより詳しく勘定科目を使って記載し、日付と金額を合わせて1セットにして記録します。

この作業のことを仕訳(しわけ)と呼んでいます。

例えば、『4月10日に10,000円の商品を現金で仕入れた』との取引が行われたとしましょう。これを仕訳すると…

4/10  (借) 仕入 10,000 (貸) 現金 10,000

このように記録します。とてもシンプルでしょ?

では、仕訳に必要な3つを順番に見ていきましょう。

日付

今回の取引は文章で記載されていましたが、実際にはレシートや納品書とよばれる証ひょう(ウラ付書面)に、取引がおこなわれた日付が記載されています。
検定試験では設問で問われた時のみ解答すればOKです。でも実務では必ず書かなければいけません。

勘定科目

まず、取引要素の分解・結合を見てみると、『商品の仕入れ』と『現金での支払い』という取引が行われています。
商品の仕入れは費用の発生なので、借方に勘定科目の『仕入』と書いています。それと引き換えに現金で代金を支払っています。会社からは現金が出ていったので、これは資産の減少として貸方に勘定科目の『現金』を記入しています。

勘定科目に慣れるまでは、各勘定科目の所属取引要素(?)が分からないと思うので、先日アップロードした勘定科目一覧で探しながら仕訳してくださいね。

金額

仕入れた商品代は10,000円なので、出ていった現金ももちろん10,000円です。

今回はとてもシンプルな取引なので分かりやすいですが、取引がどんなに複雑になっても仕訳の借方と貸方の合計金額は必ず一致します。次の例題で確認してみましょう。

ーーー例題ーーー  次の仕訳をしなさい。
84円切手1枚(通信費)と200円のボールペン(消耗品費)を現金で購入した。
(借)通信費   84 (貸)現金 284
  消耗品費 200


例題は、借方は費用の発生が2種類、貸方は資産の減少1種類となっていますが、金額は一致しています。

これをベンキョーの世界では『貸借平均の原理』(たいしゃくへいきんのげんり)といいます。

では仕訳の練習をしてみましょう。


ーーー問題ーーー
以下の仕訳を答えなさい。ただし( )にある勘定科目を使用のこと。
①商品の陳列棚(備品)を100,000円で購入し、現金で支払った。
②電車の回数券(旅費交通費)3,000円を現金で購入した。
③アルバイトの給料40,000円(給料)を普通預金から振り込んだ。
④50,000円の商品を売り上げ(売上)、現金で受け取った。
⑤84円切手(通信費)を10枚、現金で購入した。


答え
①(借)備 品  100,000 (貸)現 金   100,000
②(借)旅費交通費 3,000 (貸)現 金       3,000
③(借)給 料   40,000 (貸)普通預金   40,000
④(借)現 金   50,000 (貸)売 上    50,000
⑤(借)通信費     840 (貸)現 金           840

最後まで、お疲れさまでした。

今回ベンキョーした仕訳は、簿記に欠かせない概念です。
まずは感覚をつかむつもりで、同じ問題で練習してみましょう。もちろん答えを見ながらでOKです!

次回は仕訳にまつわる帳簿についてベンキョーします。
お楽しみに。

いいなと思ったら応援しよう!

しぃ
サポートをいただいてありがとうございます♪ 大好きな本の購入に使わせていただきますね。😃