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貸倒引当金Ⅱ-引当金残高がある場合-

貸倒引当金は決算時に設定しますが、以前に設定した貸倒引当金の残高がある場合は、その残高当期の貸倒見積額差額を貸倒引当金として計上します。この処理方法を差額補充法(さがくほじゅうほう)といいます。

貸倒引当金残高より当期の貸倒見積額が多い場合は、引当金を増やさなければいけない状態です。

貸方貸倒引当金勘定(その他の勘定科目)、借方に貸倒引当金繰入勘定(費用)を差額分だけ計上します。

反対に、貸倒引当金残高より当期の貸倒見積額が少ない場合は、貸倒引当金勘定を減らさなければいけない状態です。

借方貸倒引当金勘定(その他の勘定科目)と貸方に貸倒引当金戻入(かしだおれひきあてきんもどしいれ)勘定(収益)を差額分だけ計上します。

スライド54


貸倒引当金残高<貸倒見積額

【例題13-4】①
決算にあたり、売掛金残高1,000,000円に対し2%の貸倒れを見積もった。 なお、貸倒引当金の残高は16,000円である。貸倒引当金の設定は差額補充法によること。

貸倒れを見積もっていることから、貸倒引当金の設定をおこなっていることが分かります。当期の貸倒見積額は、債権残高1,000,000 ✕ 2%=20,000となり貸倒引当金勘定の残高16,000円より多いので、差額4,000円を貸倒引当金残高に増やす仕訳が必要です。貸方=貸倒引当金を記入します。

例題13-4①1


貸倒引当金の残高より当期の貸倒見積額の方が多いということは、いままで以上にリスクへの備えが必要だということです。費用の発生=貸倒引当金繰入を記入します。

※貸倒引当金勘定を記入して上記の時点で、相手科目の記入欄は借方が空欄となっています。その時点で、費用の勘定科目を記入すると判断してもOKです。

例題13-4①2


貸倒引当金残高>貸倒見積額

【例題13-4】②
決算にあたり、売掛金残高1,000,000円に対し2%の貸倒れを見積もった。なお、貸倒引当金の残高は22,000円である。貸倒引当金の設定は差額補充法によること。

貸倒れを見積もっていることから貸倒引当金の設定をおこなっていることが分かります。当期の貸倒見積額は、債権残高1,000,000 ✕ 2%=20,000となり貸倒引当金残高22,000円より少ないので、差額2,000円を貸倒引当金残高から減らす仕訳が必要です。借方=貸倒引当金を記入します。

例題13-4②1


貸倒引当金残高より当期の貸倒見積額の方が少ないということは、これまでほどリスクへの備えが必要でなくチョットお得な気分ということです。収益の発生=貸倒引当金戻入を記入します。

※貸倒引当金勘定記入した上記の時点で、相手科目の記入欄は貸方が空欄となっています。その時点で、収益の勘定科目を記入すると判断してもOKです。

例題13-4②2


残高がある場合の貸倒引当金の設定は、貸倒引当金の残高と当期の貸倒見積額を比較し必要な金額を仕訳するという手順になるので、確認事項が多く戸惑うことが多いかもしれません。

まずは、貸倒引当金残高<貸倒見積額の場合をしっかりと確認して慣れることから始めましょう。少し慣れてきたら、もう一方にもチャレンジしてみてください。

今回はここまで。
ではまた。


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