さまざまな預金Ⅰ①
銀行で取り扱っている預金には様々な種類があります。その中でも会社が持つことの多い預金口座は、普通預金(ふつうよきん)・定期預金(ていきよきん)・当座預金(とうざよきん)の3つです。
今回は、普通預金と定期預金を見ていきましょう。
普通預金
普通預金は、一般的な個人利用でもとてもなじみのある預金口座です。通帳を発行してもらい、預け入れた金額に応じて利息を受け取ることができる口座です。最近では通帳の有無にかかわらずWebで確認をするモノも増えています。
普通預金の取引があったら、普通預金勘定(資産)で処理します。仕訳が必要なタイミングは、①入金があったとき ②出金があったときです。
①入金があったとき
【例題3-1】①
銀行から普通預金口座に利息300円が入金された。
普通預金へ入金されているので、資産の増加=普通預金を記入します。
入金分は利息として受け取っているので、収益の発生=受取利息を記入します。
②出金があったとき
【例題3-1】②
火災保険料12,000円を普通預金から支払った。
普通預金から支払っているので、資産の減少=普通預金を記入します。
出金分は保険料として支払っているので、費用の発生=保険料を記入します。
商売をしているとお取引先が増えて、複数の銀行に口座を作ることがあります。その場合は、銀行名も一緒に勘定科目とします。これは勘定科目を『普通預金』としただけでは、どこの銀行の普通預金なのか?がすぐに分からず、管理に大変な手間がかかるからです。
【例題3-1】③
A銀行に普通預金口座を開設し、現金100,000円を入金した。
A 銀行の普通預金へ入金しているので、資産の増加=普通預金A銀行を記入します。
現金を預けているので、資産の減少=現金を記入します。
普通預金への入金なのに、資産の減少として現金勘定を減らす仕訳をしているので、戸惑う方がいらっしゃるかもしれません。現金が減っている理由は、会社から銀行へおカネを持ち出したからです。
仕訳を考える際に忘れてはいけないのが、すべての仕訳は『会社を中心』におこなっているということです。迷ったときには、会社から物事を見ていることを思い出しましょう。
定期預金
定期預金は、銀行が取り扱う商品の中で元本が保証されている金融商品です。名前に定期とついているように、期間を定め一定金額を預け入れることで、銀行から期間に応じた利率で利息を受け取ることができます。
定期預金は、通帳が発行され利息を受け取ることができます。取引があったら、定期預金勘定(資産)で処理します。仕訳のタイミングは、①定期預金に預け入れたとき ②満期をむかえたときです。
①定期預金に預け入れたとき
【例題3-2】①
普通預金から1,000,000円を定期預金に振り替えた。
定期預金へ入金しているので、資産の増加=定期預金を記入します。
普通預金から出金しているので、資産の減少=普通預金を記入します。
②満期をむかえたとき
【例題3-2】②
定期預金1,000,000円が満期となり、利息20円とともに普通預金へ入金した。
満期となった定期預金を出金しているので、資産の減少=定期預金を記入します。また同時に利息を受け取っているので、収益の発生=受取利息も合わせて記入します。
出金された定期預金と受取利息は、普通預金へ入金しています。資産の増加=普通預金を記入します。金額は2つを合計した金額です。
今回の例題では利息額が与えられていましたが、検定試験はもちろんのこと一般的には、金利を使って利息を計算します。
金利は年利率(ねんりりつ)といって、1年間あたりの金利を%で表示します。
例えば、『預入期間6ヶ月の定期預金に年利率1%の利息がつく』といった形です。もしこの定期預金に1,000,000円を預けたとすると、利息は
1,000,000 ✕ 1% ✕ 6ヶ月 ÷ 12ヶ月 = 5,000円
となります。この計算式をヒモ解くと、年利率1%は元金である1,000,000円に対する利率です。1年間預ければ、10,000円(=1,000,000 ✕ 1%)の利息となります。ところが、この定期預金は6ヶ月間だけ預け入れる商品なので、その半分の金利を受け取ることができるわけです。
検定試験では、当たり前のように利息の計算を問われるので、しっかり押さえていきましょう。
ちなみに定期預金は、普通預金より高い利率となっています。また実務では、受取利息の一部からさらに税金が差し引かれます。詳しくは、2級でベンキョーします。
今回はここまで。
では、また。
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